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知る・学ぶ 2024-08-26

尻尾の動きや仕草で分かる? 猫の気持ちを読み解くポイントについて

猫は、尻尾の動き、鳴き声、行動、そして仕草を通じて自分の感情や欲求を表現します。言葉を使わない猫の気持ちを理解することは、飼い主にとって重要です。
そこで今回は、猫の気持ちを読み解くポイントについて分かりやすくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1.猫の尻尾の動きから気持ちを知る

猫の尻尾は、感情を最も明確に表現する部位の一つです。尻尾の動きや位置によって、猫が感じていることを読み取ることができます。

尻尾をピンと立てる

猫が尻尾をまっすぐに立てているときは、機嫌が良く、自信に満ちている状態を示しています。これは、特に飼い主に対して挨拶をする際に見られる行動で、猫が喜びや安心感を感じていることを表しています。

尻尾をゆっくり振る

尻尾をゆっくりと左右に振っている場合は、猫が考え事をしているか、興味を持っている状態を示しています。しかし、尻尾の動きが徐々に速くなる場合は、イライラや不安を感じ始めているサインであり、注意が必要です。

尻尾を膨らませる

尻尾を大きく膨らませ、毛を逆立てている場合、猫は恐怖や驚きを感じている状態です。これは攻撃的な態度を示すこともあり、身を守ろうとする防御反応です。このようなとき、猫に無理に近づくと攻撃される可能性があるため、少し距離を置いて見守るのが良いでしょう。

尻尾を下げている

尻尾を下げ、体に巻き付けている場合は、猫が不安や恐れを感じている状態です。この姿勢は、猫が自分を小さく見せようとする試みであり、周囲の状況に対して警戒心を持っていることを示しています。

2.鳴き声から猫の気持ちを読み取る

猫の鳴き声は、その気持ちを理解するための重要な手がかりです。鳴き声にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる意味を持っています。

「ニャー」

最も一般的な鳴き声である「ニャー」は、猫が何かを要求している場合に多く聞かれます。例えば、食事を催促しているときや、ドアを開けてほしいときなど、飼い主に何かを伝えたいときに使われます。また、飼い主に対して愛情を表現する場合にも「ニャー」と鳴くことがあります。

「ゴロゴロ」

猫が喉を「ゴロゴロ」と鳴らすのは、リラックスしているときや満足しているときのサインです。撫でられたり、飼い主と一緒にくつろいでいるときに聞こえることが多いですが、病気や不安を感じているときにも鳴らすことがあるため、他の行動と合わせて判断することが大切です。

「シャー」

「シャー」という威嚇音は、猫が強い恐怖や警戒心を抱いているときに発せられます。この鳴き声を聞いた場合、猫はストレスを感じており、攻撃的になっている可能性があるため、無理に近づくことは避けた方が良いでしょう。

「ムムム」

「ムムム」という低い声で鳴くことがあります。これは、猫が警戒しているときや、不満を感じているときに発する音で、特に他の猫や見知らぬ人に対して用心深くなっている状況で聞かれることが多いです。

3.行動から猫の気持ちを理解する

猫の行動は、その感情や状態を理解するための重要な手がかりです。日常的な行動を観察することで、猫がどのように感じているのかを知ることができます。

すり寄る

猫が飼い主や家具に体をすり寄せるのは、愛情や親しみを示す行動です。猫は自分の匂いを対象に移すことで、「これは私のもの」というメッセージを送っています。すり寄ってくる行動は、猫が安心感を持っていることの証です。

毛づくろい

猫は頻繁に毛づくろいをしますが、これは単なる清潔保持だけでなく、ストレスを感じたときにも行われます。過度な毛づくろいが見られる場合は、ストレスや不安が原因となっている可能性があるため、注意が必要です。

隠れる

猫が突然隠れるようになった場合、恐怖や不安を感じている可能性があります。特に大きな音や知らない人が訪れた場合、猫は安全な場所に逃げ込もうとします。この行動が頻繁に見られる場合は、猫が安心できる環境を整えることが求められます。

突然の疾走

猫が急に走り出す「ズーム」行動は、エネルギーの発散やストレス解消のために行われます。特に夜間にこの行動が見られることが多く、これは猫が夜行性であることに由来します。日中に十分な遊びが足りていない場合にも、この行動が増えることがあります。

4.仕草から猫の気持ちを察する

猫の仕草は、その感情を細かく伝える手段です。耳、目、体全体の仕草から、猫が何を感じているのかを理解することができます。

目の動き

猫の目は感情を反映します。例えば、ゆっくりとまばたきをする「猫のキス」は、飼い主への信頼と愛情の表れです。一方、目を大きく見開いている場合は、興奮しているか、警戒している状態を示します。

耳の向き

猫の耳は感情によって向きが変わります。前方に向いている耳はリラックスしているか、興味を持っている状態です。逆に、耳が後ろに引かれている場合は、恐怖や怒りを感じているサインです。

尻尾の動き

尻尾の動きも猫の感情を示します。尻尾をピンと立てている場合は自信や喜びを表し、尻尾を巻き込んでいる場合は不安や恐れを示します。尻尾を振る速度や形状も重要な手がかりとなります。

仰向けになる

猫が仰向けになり、腹部を見せる行動は、信頼とリラックスのサインです。ただし、全ての猫が腹部を触られることを好むわけではなく、触ろうとすると急に攻撃的になることがあるため、慎重に対応する必要があります。

5.猫との信頼関係を深めるために

猫の気持ちを理解し、良好な関係を築くためには、以下のポイントに注意することが大切です。

猫のペースに合わせる

猫は自分のペースを大切にします。無理に抱き上げたりせず、猫が自分から近づいてくるのを待つことが、信頼関係を築く第一歩です。特に新しい環境では、猫が慣れるまでに時間がかかることを理解してあげることが重要です。

遊びを通じて交流する

猫は狩猟本能が強いため、遊びを通じてこの本能を満たしてあげることが必要です。定期的に遊び時間を設けることで、ストレスを軽減し、飼い主との絆を深めることができます。猫の好みに合ったおもちゃを使い、楽しい時間を過ごすことが効果的です。

健康管理に気を配る

猫の行動や仕草に変化が見られた場合、健康問題が原因であることも考えられます。定期的な健康チェックや、食生活の管理を通じて、猫の健康を維持することが重要です。健康状態が良好であることが、猫の精神的な安定にもつながります。

まとめ

猫の尻尾の動き、鳴き声、行動、仕草から気持ちを読み解くことは、猫との深い絆を築くための重要なステップです。
今回ご紹介したポイントが全ての猫に必ず当てはまるというわけではありませんが、猫が発する一般的なサインを正しく理解し適切に対応することで、猫は安心感を得て、より信頼される飼い主になることができます。
猫との生活をより豊かで幸せなものにするためには、日々の観察と理解が不可欠です。猫が何を感じ、何を求めているのかを把握し、それに応じたケアを行うことで、猫との素晴らしい関係を築くことができるでしょう。

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知る・学ぶ 2024-05-27

噛み癖は直せるの? 愛犬が手を噛んでくる理由と改善法

飼い主さんの中には、愛犬の噛み癖に悩んでいる人がいるかもしれません。子犬でも成犬でも、噛み癖はなるべく早く直さなければ後になってトラブルを起こす恐れもあります。
噛み癖が起こる原因は複数考えられるため、愛犬の事情に合わせた対応が必要です。愛犬に寄り添いながら適切なトレーニングをして改善を目指しましょう。

今回は、愛犬の噛み癖を直す必要性や、噛み癖の原因、改善方法などについて詳しくご紹介します。

犬の噛み癖の理由は? 本能と環境に左右される!

犬の噛み癖に悩んでいる飼い主さんは、その原因に心当たりがあるでしょうか。まずは愛犬が噛んでしまう原因を知り、改善について考えていきましょう。犬が噛み癖をつけてしまう代表的な5つの原因をご紹介します。

口の中がかゆい

もしも噛み癖のある犬がまだ子犬なら、歯の生え変わりが原因で「口の中に違和感がある!かゆい!」と感じ、解消しようとして噛んでいるのかもしれません。
犬の歯は、一般的に生後約4~6か月の頃にかけて生え変わります。この時期に噛むようになったら、歯が健康的に生え変わってきているかどうかをチェックしてあげてみてください。

遊んでいるつもり

飼い主にとっては深刻な噛み癖でも、愛犬は遊んでいるつもりの場合があります。
子犬時代に飼い主が「なんだ、遊んでいるだけなのか」と譲歩して噛み癖をそのままにしてしまうと、成犬に成長して力が強くなっても続けてしまいかねません。
遊ぶ姿はかわいいものですが、愛犬の将来を考えて、早めに対処することを考えましょう。

本能的な行動

犬は本能的に噛んでしまうこともあります。たとえば愛犬が寝ているときや遊んでいるとき、かわいいからといって、愛犬が予期しないタイミングで撫でたら噛まれた経験はありませんか。
急に触られた犬は「攻撃された!」と思い込み、身を守るために噛んでしまう可能性があります。
本能による行動はコントロールが難しいため、専門家のトレーニングを受けることの検討したり、周囲が注意して生活するなどの配慮が必要になるでしょう。

ストレス

犬にとって苦手なことをされたり、怖い思いをしたりなど、ストレスがかかったときにも噛む場合があります。嫌なシーンから逃げたいと考え、噛んでしまうということです。
たとえば爪切りや入浴のタイミングで噛むことがあれば、それは愛犬が苦手なシーンなのでしょう。また、運動不足や体調不良、環境変化などでストレスを感じるケースもあります。

飼い主の気を引こうとしている

飼い主に構ってほしい、甘えたいという気持ちから、「こちらを見てよ!」という意味で噛むこともあります。
なんともかわいい行動に思えますが、成犬になって力加減を間違えると大怪我をさせてしまう可能性もあるため、子犬の頃から「構ってほしくても噛んではいけない」と教えてあげてください。

噛み癖を放置しているとどうなる? 考えられるケースとは

噛み癖の放置は愛犬自身、飼い主、周囲の人など広い範囲に悪影響を与えてしまいかねません。もしも噛み癖を改善しないままにしておいた場合、どのようなことが起こりやすいのか考えてみましょう。

飼い主や他人に傷を負わせてしまう可能性

「噛んではいけない」と知らないまま成長してしまうと、自分の要求を通したいときやストレスから逃れたいときなどに「噛むこと」そのものを伝達手段としてしまうようになります。
子犬の頃は噛んでもそれほど力が強くなく、「甘噛みするなんてかわいいな」と思える程度かもしれませんが、成犬になればそれでは済みません。噛んだ相手に大怪我をさせてしまう可能性もあります。
たとえそれが害意を持った行動ではなくても、人を噛んだ犬は「咬傷事故を起こした犬」として扱われることになります。
他人が被害者であれば治療費や賠償も発生するため、誰にとっても後味の悪い結果になってしまうでしょう。

物を破損する可能性

室内飼いの場合、家具や衣類などを噛んで破損してしまう恐れがあります。インテリアが損ねられるだけではなく、破損したものの誤飲なども心配しなくてはいけません。
飼い主や家族の住環境が悪化するとともに、被害の度合いによっては金銭面でも悩みが出てしまうでしょう。
自宅ならまだしも、よその家や持ち物を噛んで破損してしまった場合、弁償する必要が生じたり、今後のお付き合いに悪影響が出たりすることもあります。

ブラッシングや入浴などが難しくなる

ブラッシングや入浴、爪切りなどのタイミングで噛む場合、力の強い成犬になっても噛み癖が直らなければ、飼い主の手に負えなくなります。
ブラッシングや入浴のたびに噛まれることは飼い主にとっても苦痛になり、きちんとしたお手入れをしてあげられなくなるかもしれません。
外部の力を借りてお手入れをするとしても、トリミングサロンによっては噛み癖のある犬を受け入れないこともあるため、やはり噛み癖の対策は必須になるでしょう。

噛み癖の対策は? 原因を探って適切な対応を

噛み癖を改善するためには、噛む原因を突き止めて対応していく必要があります。具体的にはどのようなことをするとよいのでしょうか。

噛まれたら「痛い」と表現する

愛犬に噛まれたときには黙ってやり過ごすのではなく、「痛い」と表現して「やってはいけないこと」だと教えましょう。
その際、大声で叱りつけるのではなく、「痛い」という事実を伝えてその場を立ち去るなどの方法がおすすめです。
「飼い主を噛んだら痛がり、そのせいで自分のそばからいなくなってしまう」と愛犬に学習させることにより、噛み癖の改善を目指します。
このとき、大声で注意したり、大げさに痛がったりすることはおすすめできません。「遊んでいるのかな」「楽しそう」と愛犬が勘違いして、効果が薄れてしまう可能性があります。

噛むおもちゃをあげて欲求を発散させる

もともと犬は噛む動物です。噛んで遊べるおもちゃをあげて、「噛みたい!」という欲求を満たしてあげましょう。
ただし、飼い主が手に持って遊ぶおもちゃは「おもちゃを噛んでよい=手も噛んでよい」と誤った学習をしてしまう恐れがあります。噛み癖がある場合、犬自身だけで遊べるおもちゃが適しているでしょう。

力関係を明確にする

飼い主よりも自分のほうが優位だと勘違いした犬は、飼い主の言うことを聞かないばかりか、攻撃的な性格になってしまうことがあります。噛み癖を直すためのしつけも受け入れなくなるでしょう。
飼い主のほうが優位であるということを教え、噛んではいけない存在であることや、噛み癖を直すためのしつけを受け入れなくてはならないと学習させることが大切です。

愛犬に寄り添いながら噛み癖を改善しよう

噛み癖の原因や直し方にはさまざまで、この記事でご紹介したもの以外にも多くの種類があります。愛犬の噛み癖に困っている飼い主さんは、愛犬がなぜ噛んでしまうのかを突き止め、適切な方法で改善していきましょう。

自分の力ではどうにもならない、適切なしつけ方に自信がないという場合には、ドッグトレーナーさんに相談してみるのも有効な選択肢です。
社会の中で一緒に楽しく暮らしていくためにも、愛犬の噛み癖を直せるように、愛犬に寄り添いながら諦めずに頑張りましょう。

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知る・学ぶ 2024-04-23

ペットとは一生一緒に! どうしても飼えなくなったらやるべきこと

犬や猫に限らず、最近はさまざまな動物がペットとして飼われています。サル、キツネ、フクロウなど珍しい種類も飼育されるようになり、SNSや動画サイトで見かける人も多いでしょう。
それと同時に注目されつつある問題に「ペットの野生化」があります。飼育できなくなったペットを無責任に野に放つことによって起きる問題です。

この記事では、ペットの野生化が引き起こす自然界への問題、どうしても飼育できない事情ができたときの対応法などについて詳しく解説します。

ペットの野生化とは?

ペットの野生化とは、ペットが何らかの事情で飼育されなくなり、もともと生息地ではない環境に住み着いてしまうことです。野生化のほか、移入とも言われます。
野生化したペットはさまざまな問題を引き起こす可能性があり、実際に問題が顕在化している事象も確認されています。

場合によっては地域の生態系をおびやかす危険があることも事実です。特にそのような危険が高い動物は「侵略的外来種」と呼ばれます。
侵略的外来種は飼育放棄されたペットに限りませんが、なかにはアメリカザリガニやアライグマのように、もともとペットとして飼育されていた種も混ざっています。

野生化する原因1:海外からの流入

ほかの環境で生息していた動物が野生化する原因は、大きく分けて2つあります。
ひとつは本来の生息地以外(海外や国内のほかの地域)から届く貨物や移動してくる人に付着していたり、混入していたりなど、意図的ではない流入があることです。
この場合はペットの野生化ではなく、他地域から人の生活の流れによって移動してきたといえるでしょう。動物に限らず、貨物を運ぶ船舶に付着した海藻が移動してくることもあります。
しかし生態系に影響を及ぼす可能性は否定できないため、近年では大きな問題としてとらえられていることも事実です。

野生化する原因2:ペットの脱走や飼い主の飼育放棄

ペットや家畜が逃げ出したり、飼い主が飼育放棄をしたりするなどの事情で野生化することもあります。飼育できない環境や事情になったからといって放棄するのは非常に無責任ですが、残念ながらそのような飼い主がいることも事実です。
野生化したペットのなかには、住み着いたエリアで繁殖を繰り返し、本来そのエリアで営まれていた生態系を大きく変化させてしまうものもあります。
それだけではなく、そのエリアで暮らす従来の生物を捕食し、固有種の存続をおびやかしてしまうことも否定できません。
例えばペットのエサとして輸入されていたトカゲのグリーンアノールは、逃げ出したり捨てられることによって日本で繁殖し、固有種である蝶のオガサワラシジミを絶滅させた可能性が高いと言われています。

ペットが野生化することで生まれる問題

ペットが野生化することによって生まれる問題は多く、人間にとっても動物にとっても被害が出るケースは少なくありません。人間社会への被害や生態系の変化、動物自身の安全など、いくつもの問題をはらんでいます。

人間社会に害を及ぼすことがある

野生化したペットの生きるための行動が、人間社会に被害を与えることがあります。その結果、ペットとして飼育することができなくなり、害獣認定されてしまうケースも生まれているのです。
顕著な例としては北米のアライグマです。かつて日本ではアライグマをペットとして飼うブームが起こりました。
幼少時のアライグマは人間になつき、かわいらしさも相まって大人気でしたが、成獣になると気性が荒くなるため飼育放棄をする飼い主が増え、野生化と繁殖が進みます。
その結果、農作物や家屋に被害が出るようになり、いまでは害獣として駆除が進められることになってしまいました。学術研究や展示目的以外での飼育も禁じられ、ペットとして飼うことはできなくなっています。

生態系を変化させてしまう

捕食や繁殖の規模が大きく、生態系、自然環境に重大な影響を与えることもあります。このような種は侵略的外来生物や特定外来生物のカテゴリーに分類され、駆除対象になるケースが少なくありません。
たとえば沖縄ではハブの駆除を目的に、アフリカやインドなどに生息するマングースを迎え入れ、地域に放ちました。
しかし、繁殖したマングースは人々の期待に反してハブ退治には効果がなく、それどころか固有種のヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど、貴重な動物を捕食するようになったのです。
結果として特定外来生物に指定され、駆除が進められるようになりました。
マングース自身には何の問題もないはずが、人々の都合と野生化によって害獣扱いされるようになってしまっています。
飼育するべき人間の責任放棄や無計画な受け入れは、何の罪もない動物を苦しめ、人間社会にも影響を及ぼす可能性があることを知っておかなければいけない例だといえるでしょう。

動物によっては生きていけないこともある

いままでペットとして飼育されてきた動物が野に放たれた場合、自分の力では生きていけないこともあります。
人間の家という安全な環境で食事をもらって快適に生きてきたペットが、外の世界で突然暮らすことになったらどうなるでしょうか。
狩りの方法や外敵から身を守る方法も知らない元ペットは、野生化したといっても生き方が分からず、場合によっては最悪の事態になってしまうことも考えられます。
人間の都合で飼育を放棄する行為は動物愛護観点からも誤ったものであり、絶対に避けるべきでしょう。

どうしても飼い続けられない時にできること

飼い始めは一生面倒を見るつもりだった人も、やむを得ない事情でペットを手放さなければならないことがあるかもしれません。
そんなときには野生化させるのではなく、できる限りの対応をしてみてください。

どんな事情があっても捨てない

「捨てない」ということは必ず意識しておきましょう。
日本には「動物の愛護及び管理に関する法律」があります。この法律では愛護動物(ペット)の飼育放棄を禁じており、違反した場合には100万円以下の罰金を支払う必要が生じるとされています。
法律面、金銭面でもペットの遺棄は飼い主にとって大きな問題をまねきます。
「どうしても飼えなくなった」という事情があっても決して捨てず、次項の動物愛護センターや行政の窓口に相談してください。

動物愛護センターや行政に相談

各自治体の窓口や動物愛護センターでは、飼えなくなったペットの面倒を見たり、次の飼い主を探すサポートをしたりするシステムが整えられています。
引っ越しや飼い主の高齢化などさまざまな事情に対応しやすいため、必要であれば相談を検討しましょう。

基本は「終生飼育」を意識して

ペットは寿命まで飼育する「終生飼育」が求められています。飼う前に「自分がペットの寿命を見届けてあげられるか」ということをよく考えましょう。
「飼う前から」考えておくことも、ペットの野生化を防ぐための重要な対策になります。

一度迎え入れたら最後まで! ペットの野生化は重大問題

ペットの野生化は日本だけではなく、世界でも問題視されています。従来の生態系をおびやかしたり、人間社会に被害を与えてしまったりなどの影響があり、ときには害獣として駆除対象になってしまうこともあるほどです。
ペットは人間に幸せを与えてくれる大切な存在であり、野生化してうとましがられるために生まれたわけではありません。一度生活に迎え入れたら最後まで愛情を持って飼育しましょう。

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美容・健康 2024-04-17

動物もアレルギーになるの? その原因と気をつけたい症状について

花粉アレルギーに悩まされる人も多い季節。アレルギーというと人間の身体反応だと思うことが多いのですが、動物にもアレルギーはあります。ペットの様子を見て「普段よりもかゆがっている」「何だかつらそう」と思ったら、それはアレルギー反応が起きているのかもしれません。
人間と違って言葉で伝えられないペットが長く苦しまないように、動物でも起こり得るアレルギーや対策について詳しく知っておきましょう。

今回は、動物が発症する可能性のあるアレルギーについてご紹介します。

動物は本当にアレルギーを起こすの?

人間と同様に、動物もアレルギーを起こすことがあります。アレルギーが発症する仕組みは人間も動物も基本的に同じなのですが、現れる症状が異なるのが特徴です。
花粉症やハウスダストアレルギーなど、人間のアレルギー症状として有名なものをイメージしてみてください。多くはくしゃみ、咳、鼻水など、呼吸や鼻に関するものが多いですよね。
一方、動物(特に犬)は症状が皮膚に現れることが多く見られます。身体をかきむしる、特定の場所を舐める・咬む、頻繁に顔をこするなどの様子が見られたら要注意です。
また、食物アレルギーも人間と動物に共通するアレルギーです。人間は皮膚のほか嘔吐や下痢のような症状が出ますが、動物は一般的に前述のような皮膚症状が多く出ます。

動物はかゆみのような身体の異状を我慢できないため、症状が出ている場所をかく・舐めるなどの行動を続けてしまいます。症状で弱っている箇所をさらに傷めて悪化させてしまいかねません。
飼い主が見ただけではアレルギーと判断することは難しく、場合によってはほかの病気が隠れている可能性もあります。「最近、身体をかいたり舐めたりすることが増えているな…」と気づいたら、かかりつけの動物病院へ相談してみてください。

動物はどんなアレルギーがある?

動物も人間と同じく複数のアレルギーがあります。ここでは飼育数が多い犬のアレルギーについて見てみましょう。

食物アレルギー

食物アレルギーは人間と同様、特定の食品が持つアレルゲンに免疫が過剰反応して起こります。
アレルゲンはおもにタンパク質であることが多く、もしも疑いのある様子を見せた場合には普段の食事(ドッグフードなど)やおやつの成分を確認してみましょう。
特に発症する可能性があるものは、鶏肉、牛肉、卵、乳製品、穀物類(小麦、大豆など)になります。

ノミアレルギー

ノミアレルギーは主に「ノミアレルギー性皮膚炎」に関係しています。皮膚に寄生したノミの排泄物や、吸血時に体内に注入される唾液が過剰な免疫反応を引き起こすことが原因です。
かゆみが強く、ノミが寄生している場所に蕁麻疹や発疹が起こる特徴があり、場合によっては脱毛するケースもあります。ノミが1匹でも症状が出ることがあり、飼い主にとっても厄介なアレルギーでしょう。
発症が多い時期はノミが多い夏から秋が一般的です。しかし暖房を使用する冬にも起こる可能性があるため、普段と違う様子を見せたら注意して観察しましょう。

通常疥癬

通常疥癬の原因もノミが該当します。この場合は「イヌセンコウヒゼンダニ」というダニがアレルギーを引き起こす存在です。
目で確認することが難しいほど小さなダニのため、飼い主がなかなか原因に気づかないケースもあるかもしれません。
やはり強いかゆみをともない、犬によっては皮膚をかきこわすほどかきむしってしまうこともあります。

皮膚炎

アトピー性皮膚炎やマラセチア性皮膚炎が該当します。
アトピー性皮膚炎はハウスダストや花粉などが原因で起こるアレルギー反応で、かゆみが長く続くことが特徴です。発症は比較的早く、生後半年で見つかることもあります。
マラセチア性皮膚炎はかゆみや外耳炎、べたついたフケを引き起こします。
原因は常在菌で、普段から皮膚に生息しているものです。しかし加齢や病気などで皮膚の免疫力が落ちているとき、異常増殖して皮膚炎を引き起こしてしまいます。
マラセチアは皮脂をエサにしているため、皮脂の分泌が多いタイプのペットは注意が必要になるでしょう。

アレルギーは治してあげられる?

大切なペットがアレルギー症状に苦しんでいる姿を見ると、一刻も早く治してあげたいと思う飼い主がほとんどでしょう。残念ながら人間同様に完治は難しく、動物病院でも基本的に対症療法が選択されることがほとんどです。

しかし、環境で起こるアレルギーであれば環境改善によって症状を軽減したり、発症しにくくしたりすることも可能です。
小まめなブラッシングや部屋の掃除でアレルゲンを減らす、アレルゲンが多い散歩コースを変更するなど、できることから取り入れていきましょう。

ペットがアレルギーになったときの対処法

ペットがアレルギーになったときには症状を軽減させる環境作りが大切です。
かかりつけや動物のアレルギーに詳しい獣医師さんと相談し、対処についてアドバイスをもらいながら、ペットにとって快適な環境作りを目指しましょう。
ここでは、代表的なアレルギーの対処法として効果が期待できる方法についてご紹介します。

食物アレルギー

食物アレルギーがタンパク質であった場合、それまで食べさせたことのないタンパク質が材料に使われているフードをあげてみましょう。自己判断が難しい場合は必ず獣医師さんに相談してみてください。
また、人間が食べるものに含まれたアレルゲンが空気中や床に飛散しないように気をつけることも大切です。意図しなくても体内にアレルゲンを取り込んでしまい、症状が出る可能性が考えられます。

ノミアレルギー・通常疥癬

ノミアレルギーと通常疥癬はどちらも原因がノミのため、薬で駆除する方法が一般的です。獣医師さんによってはステロイド剤のような対処薬を使い、かゆみをおさえることもあります。
ブラッシングやシャンプーで寄生しているノミや排泄物を取り除くことも大切です。
普段よりも丁寧にブラッシングしたり、散歩のあとはすぐにブラッシングしたりするなど、早くノミや排泄物が身体からなくなるようにひと手間かけてあげましょう。
ノミは繁殖力が高いことも厄介な特徴です。ほかにも同居しているペットがいる場合、ノミの駆除が確認できるまでは隔離しておいたほうが安心でしょう。

皮膚炎

アトピー性皮膚炎は薬を使ったり、スキンケアを念入りにしたりするなどの方法が採られます。ステロイド剤などを使ってかゆみをおさえ、スキンケアで皮膚の防御機能を高める方法です。
マラセチア性皮膚炎も同様で、薬で過剰なマラセチアを減らし、エサになる皮脂を過剰に分泌させないようにスキンケアを取り入れます。
いずれも薬とスキンケアが必要になり、飼い主の負担も大きくなりますが、大切なペットのためにぜひ意識してあげてください。

変化に気づいたら動物病院へ! アレルギーからペットを守ろう

アレルギーでつらい思いをしていても、ペットは言葉で説明することができません。飼い主が様子を観察し、普段と違うと気づいたらすぐに確認してあげましょう。
アレルゲンの特定や対処法の選択には専門知識があったほうが安心です。「アレルギーかな?」と思ったら、かかりつけや動物のアレルギーに詳しい獣医師さんと相談してみてください。

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暮らし 2024-03-21

寒い時期には注意して! ペットの低温やけどは気づきにくいことも

冷え込む時期には、ペットに暖房器具を用意してあげる飼い主さんも多いことでしょう。体調管理に効果的な暖房器具ですが、気がつくと低温やけどをしていることがある点には注意が必要です。

そこで今回は、ペットの低温やけどの症状や対策などについて詳しく解説します。

ペットも人間も気づきにくい低温やけどの怖さ

寒い季節には人間もペットも暖房器具が恋しくなるものです。湯たんぽや使い捨てカイロ、ヒーター、ストーブなど、色々な暖房器具を使って快適な環境を作り出すでしょう。
ただ、製品の注意書きに「低温やけどに注意しましょう」と記載されていることに気づいている飼い主さんも多いかもしれません。実は人間だけではなく、ペットの低温やけども注意するべきなのです。

低温やけどとは?

低温やけどは、高温で起こる一般的なやけどとは異なり、約44℃~60℃の低い温度に長時間接触することで生じてしまうやけどが該当します。
一番低い約44℃の場合、普通の人なら「お風呂のお湯にしては少し熱いな」と感じる程度であることが多く、やけどの原因になる可能性がある温度とは思い至らないかもしれません。
しかし、動物は人間よりも長い毛で身体が覆われています。長い毛は熱さを感じにくい性質があるため、動物自身が「熱いな」と感じないままじわじわと熱が皮膚にダメージを与えてしまうおそれがあります。

低温やけどになるとどんな心配があるの?

低温やけどは、一般的な高温によるやけどよりも痛みに気づきにくい特徴があります。そのため気づいたときには症状が進行しており、治るまで長期化してしまうことも少なくありません。
痛みに気づきにくいとはいえ、症状が進行すれば痛みを感じるようになることは当然です。治るまで長期化する場合、その痛みが長く続くということにもつながります。ペットが痛みで長く苦しむのは飼い主にとっても哀しいことでしょう。
また、気づくまでに時間がかかりすぎ、やけどの範囲が広がってしまうケースも。体表面積の2~5割以上にやけどを負ってしまうと、敗血症の恐れも生まれると考えておきましょう。
ペットのために用意した暖房器具が、逆に健康を損ねては元も子もありません。暖房器具の設置方法やペットに過ごさせる環境には注意が必要です。

こんな状態は要注意! ペットの様子をよく観察して

低温やけどはペット自身も気づきにくいため、普段と違った様子を見せないことも多く、飼い主の発見が遅れてしまうケースが少なくありません。
もしもペットに以下のような様子があれば、低温やけどを疑い、必要であればかかりつけの動物病院に相談してください。

1:身体の同じ場所を気にしている、舐めている
2:特定の場所の被毛がはげている
3:皮膚が赤くなっている、水ぶくれができている、めくれている

このような状態は、低温やけど以外でもペット自身のクセやほかの原因で見られるかもしれません。
しかし、低温やけどをした動物に見られる行動でもあり、獣医師さんも注意を促していることは少なくないことも事実です。
あてはまる様子があれば、できるだけ早くかかりつけの動物病院へ行くことをおすすめします。

低温やけどの原因は? 症状は?

低温やけどの原因や症状について詳しく見てみましょう。ペットだけではなく人間も同様の原因で低温やけどが起こるため、飼い主もペットと一緒に気をつけるようにしてください。

低温やけどは熱さの感じにくさが原因に

前述の通り、低温やけどは約44~60℃の低めの温度に長く接触することが原因で起こります。ホットカーペットやペットヒーター、湯たんぽ、こたつのような熱源に長く触れていると起こりやすくなります。
どの暖房器具も、寒い時期には人間もペットも好んで使うものではないでしょうか。使っている時は温かく快適でも、長時間使い続けると低温やけどの原因になるため注意が必要です。

症状の深さは4段階

低温やけどの症状は4つの段階に分類されます。

【Ⅰ度】低温やけどの中ではもっとも軽い症状です。皮膚が赤くなったりヒリつきを感じたりします。

【Ⅱ度】水ぶくれができ、強い痛みが生じる段階です。ペットがしきりに同じ場所を気にしていたり、舐め続けているような様子があれば注意が必要になります。
また、進行すると皮膚の壊死や神経の損傷、感染症なども心配される段階のため、早めの処置が必要です。

【Ⅲ度】深いやけどが起きています。皮膚や皮下組織に重大な症状が見られるため、必ずすぐにかかりつけの動物病院へ連れて行きましょう。

低温やけどに気づいたら?

ペットの低温やけどに気づいたら、もっとも大切なことはかかりつけの動物病院で診てもらうことです。もしも症状がひどく、布や異物が傷口に付着している状態でも、はがさずに受診してください。
受診までの間は可能なら冷水を入れたポリ袋で冷やしたり、流水で積極的に冷やしてあげるのも効果が期待できます。冷やしたあとは清潔なガーゼで患部を覆い、傷を保護してあげましょう。

ペットを低温やけどにしない予防のポイント

低温やけどが心配だからといって、暖房器具をすべて撤去する必要はありません。注意を払いながら上手に使えば、低温やけどを防ぎながら快適な環境を作れるようになります。

湯たんぽや使い捨てカイロはここに注意!

湯たんぽはそのまま置くのではなく、厚手のカバーをかけてあげましょう。直接触れると気持ちよいことは確かなのですが、低温やけどの原因になります。
また人間がよく使う、使い捨ての貼るカイロはペットの使用に向きません。こちらも低温やけどの原因です。どうしても使わせてあげたい場合には、湯たんぽと同じように厚手のカバーで包んであげてください。

暖房器具のそばで長時間過ごさせない

人間もペットも、温かいストーブやヒーターの前で長く過ごしたくなるものです。「こたつに入ったら出られない!」という人もいるでしょう。
しかし、暖房器具のそばで長時間過ごすことも低温やけどをまねきます。適度な時間が経ってもペットが暖房器具のそばから移動しない場合には、飼い主がほかの場所へ連れて行ってあげましょう。
エアコンを上手に使い、暖房器具のそばだけではなく、部屋中が温まる工夫をするのもおすすめです。暖房器具の周りに柵を作り、至近距離まで近づけないようにするのもよいでしょう。

定期的に身体をチェックしてあげる

低温やけどは初期段階で気づきにくいものです。特にペットは強い痛みのような大きな違和感を持つまで変わった様子を見せないかもしれません。その時点では進行している可能性が高くなっています。
暖房器具の前で過ごす時間が増えたと思ったら、定期的に身体をチェックしてあげましょう。赤くなっている部分や触れたら嫌がる特定の部分があれば低温やけどを疑い、早めに治療を始めることが大切です。

気づかないと怖い低温やけどは飼い主が注意しよう

低温やけどは気づきにくく、厄介なものですが、飼い主が注意することによって防げる確率は高くなります。
暖房器具の使い方や長時間の使用を避けつつ、万が一低温やけどになってしまった場合には、早めにかかりつけの動物病院で受診しましょう。

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