生態

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知る・学ぶ 2023-05-31

世界で一番大きな生き物は? 陸と海の最大種について

世界最大の生物をご存知ですか?ゾウ、キリン、クジラなど色々な動物を思い浮かべますよね。
世界には想像をはるかに超える巨大生物がいます。「怪獣映画かな?」と思ってしまいそうなサイズに圧倒されますよ。

有り得ない大きさと重さ! 世界最大の動物は全長約24メートル!

世界最大の動物は「シロナガスクジラ」です。なんと平均全長は約24メートルにもなるのだそう。学校やスポーツジムのプールとほぼ同じ長さだと考えると、その大きさに唖然としてしまいそうですね。

全長だけではなく、体重や寿命も規格外です。平均体重は110トン、いままで計測された最大体重は190トンもあります。キロではありません、トンですよ。想像するのもひと苦労の重さではないでしょうか。

舌の重さだけでも2.7トンあり、口を全開にすると90トンの水とエサを入れられます。ただ、食道はたったの30cm程度なのだそうです。これならうっかりシロナガスクジラの口に入っても、食べられることはなさそうで安心ですね。

身体が大きければ声もビッグです。吠えると数百キロ離れた場所でも聞こえます。シロナガスクジラのスケールは何もかも大きく、地球が生み出す生命の幅広さをしみじみと感じられそうです。

シロナガスクジラは赤ちゃんも大きい!

シロナガスクジラは生まれたときから規格外の大きさです。生まれたばかりの赤ちゃんは体長約7~8メートル、体重は約2.5トン以上もあるのだそう。一般的なカバと同じサイズです。
毎日母乳を500リットル以上飲むこともあるそうで、お母さんクジラの体力に脱帽ですね。

シロナガスクジラの赤ちゃんは成長がとても早く、1時間ごとに体重が約3.6キロ、1日で計算すれば約90キロの増加です。もちろん体長もぐんぐんと伸び、1日で約3.8メートルも大きくなります。
この成長速度なら、大人になったシロナガスクジラがあれほど大きいことにも納得です。赤ちゃんの頃から何もかもスケールが違うのですね。

まるで映画の世界!大きすぎる生き物たち

世界最大の動物はシロナガスクジラですが、大きな(大きすぎる)生き物はほかにもたくさんいます。

ヘラジカ

シカと言えば奈良でおせんべいを食べる愛らしい姿を…と思うかもしれませんが、アメリカに棲息する「ヘラジカ」はおせんべいどころではありません。
体長は約2.5メートルにもおよび、体高はなんと約2メートルにもなる個体が少なくありません。バスケットボール選手のような高さを持つヘラジカが歩く姿は圧巻です。大きな角もついているため、実際に見たときの威圧感は相当なものになるのではないでしょうか。
欧米ではヘラジカと車が交通事故を起こし、ドライバーが死傷するケースもあるそうです。

バイソン

バイソンもアメリカに棲息する動物です。かつては個体数が約1,000頭まで減ってしまいましたが、現在は保護動物になり、約50万頭まで増えています。
アメリカではヘラジカと並んでビッグな生き物として知られるバイソンは、ヘラジカと同様に約2~3メートルの体高を持ち、体重は約500~1トン近くになることも。
また、「バッファロー」という別名も持っています。学術的には違いがあるようですが、一般的にはバッファローと呼ぶことも少なくないそうですよ。

アフリカマイマイ

アフリカマイマイはカタツムリの一種です。カタツムリで想像するのは指先に乗る小さな種類ではないでしょうか。人によっては愛らしさを感じることもありますね。
愛らしさはともかく、アフリカマイマイは日本の一般的なカタツムリとまったく違うサイズです。世界最大級のカタツムリと言われ、約20センチを超える個体も存在します。
注意したいのは、日本ではアフリカマイマイが「要注意外来生物」であることです。人間の健康に害を及ぼす寄生虫を持っていたり、農作物への食害を引き起こしたりします。もし見かけたときには個体や這った跡を決して素手で触らないように注意してくださいね。

オサガメ

オサガメは体重が約300キロ以上、甲羅が約1.5メートルにもなるカメです。カメとしては世界最大であり、日本の三陸地方では漁師たちの信仰対象にもなっているそうですよ。
予想外に甲羅は柔らかく、まるでゴムのような感触です。大きさもさることながら、独特の甲羅にも驚きですね。
他にも1,200メートルも潜水したり、産卵地はパプアで餌場はカリフォルニアなど広い行動範囲を持っていたりなど、何かと神秘的な印象がある不思議なカメです。
現在は個体数が減り、保全活動がおこなわれています。大西洋では少しずつ増加傾向にあるようです。今後、よい結果につながってほしいですね。

スケールが違う! 大きな生き物に圧倒される

スケールが違う! 大きな生き物に圧倒される
シロナガスクジラをはじめ、大きな生き物のスケールには圧倒されてしまいます。まるで映画の生き物のようだと思っても、なかにはヘラジカのように人々の日常生活でバッティングする動物がいるのも驚きですね。
大きさのスケールが違うとはいえ、地球の大切な生命であることは人間と同じです。尊重しながらともに生きていきましょう。

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知る・学ぶ 2023-03-27

信じていいの? 動物にまつわる迷信のウソホント

日本や世界には動物にまつわる迷信が数多くあります。なかには動物が好きな人にとって、「ウソなの?ホントなの?」と思うような迷信もあり、気になるところですよね。

今回は動物にまつわる有名な迷信や、そのなかで実際に注意したほうがよい迷信についてご紹介します。

どうして迷信が生まれるの? よい結果を待ちたい希望のあらわれ

なぜ迷信が生まれるのでしょうか?迷信を聞くと「そんなの理屈に合わない、きっとウソ…でも少し不安になっちゃう」と思うものも多いですよね。

心理学的に、迷信は「○○したからよいことが起こると信じたい気持ち」から生まれるという説があります。

人それぞれの習慣や、事象が起きたタイミングが積み重なることにより、いつしか「○○したから…」という意識につながったのかもしれませんね。

動物にまつわる迷信は? 信じたくなるものもある!

迷信は数え切れないほど多くあります。動物にまつわる迷信も少なくありません。
縁起がよい迷信、悪い迷信、思わず信じたくなってしまう迷信など、いろいろな迷信について見てみましょう。

黒猫は縁起が「よい」「悪い」に分かれる不思議な動物

「黒猫は縁起がよい」「黒猫は縁起が悪い」。どちらも迷信としてよく聞く説ではないでしょうか。
よい、悪いが混ざっているため、猫好きにとっては「どっちなの?」と穏やかではない気持ちになってしまう迷信かもしれませんね。

日本では「縁起がよい」として愛されています。特に商売をする人にとっては注目される動物です。
商売繁盛と言えば招き猫ですよね。白の招き猫だけではなく、黒の招き猫も見かけませんか?日本は黒猫も幸福を呼ぶ動物だと考えられています。
江戸時代からは「黒猫を飼うと結核が治る」という迷信も広がりました。当時の結核は死の病です。黒猫はそんな重病を退ける力があると信じられていていました。
また、有名な文学作品「吾輩は猫である」のモデルは黒猫だったそうですよ。日本では思った以上に黒猫が重宝されていたようです。
イギリスでは「家に黒猫が来ると縁起がよい」、フランスでは「黒猫を大切にすると幸福がおとずれる」と言われているそうです。黒猫は世界のあちこちで愛されているようですね。

一方、黒猫は縁起が悪いと言われる地域もあります。「黒猫が横切ると不幸なことが起こる」という迷信を聞いたことがあるかもしれません。
この迷信はヨーロッパで生まれたと考えられています。暗闇で光る目が怖いと思われたり、中世の魔女狩りを思い出させたりなど、いろいろな理由があるようです。
地域によって印象が変わるのは興味深いことですね。

「蛇の夢を見たらお金持ちになれる」

蛇の夢は吉兆だと言われています。特に黄色の蛇の場合、お金関係でよいことが起こるそうです。本当かどうかは不明ですが、本当であってほしいと思う迷信かもしれませんね。
ほかにも蛇の夢はさまざまな解釈があります。代表的な解釈は「白い蛇は仕事や健康によい」「黒い蛇は縁起が悪い」など、色によるものです。夢に出たらぜひ色を覚えておいてください。

「カラスが夜に鳴くのは不幸の前兆」

夜中や早朝にカラスの鳴き声が聞こえると、「まさか不吉なことが…」と思うかもしれません。カラスは身体が真っ黒なことから、不吉だと感じる人が多いようです。
ところが、生物学的にはあまり関係がないと考えられています。というのも、カラスはもともと早起きで、なんと午前0時には目が覚めているのだとか。深夜の鳴き声は彼らにとって朝の挨拶かもしれませんね。
さらに人間が出す早朝のごみからエサを探すのも関係しています。仲間たちに「ここにエサがあるぞ!」と鳴いて知らせているそうです。
ほかにも危険が迫れば鳴いて知らせたり、カラスを狙うほかの動物を威嚇したりと、賢く強い鳥ならではの行動が迷信につながったのでしょう。

「ウサギはニンジンが大好き」

ウサギはニンジンが大好きなのか?と言うと、実際はそれほどでもないのだとか。もちろんニンジンを好むウサギもいますが、好き嫌いは人間と同様に個体差に左右されます。
迷信が生まれたのはニンジンを美味しそうに食べるウサギの絵本「ピーターラビット」の影響もありそうです。もしあなたが飼っているウサギがニンジンを好むなら、ピーターラビットのように可愛らしく食べる姿を楽しんでくださいね。

注意したい迷信も! ペットの様子に気を付けて

ほかにも動物にまつわる迷信は数多くあります。なかには迷信とは言い切れないものがあるため、ペットを飼っている人は注意が必要です。

「犬や猫の怪我は舐めれば治せる」

怪我をした犬や猫は、よく傷口を舐める仕草を見せます。「舐めれば治る」と思われるようになった理由のひとつはそのためでしょう。
しかし実際はあまり効果がありません。逆に舐めることで傷口を広げてしまったり、深くしてしまったりすることもあり、深刻な状態になってしまう恐れがあります。とくに猫の舌はざらついているため、傷口に大きなダメージを与えてしまいかねません。
もしも飼い犬や飼い猫たちが傷口を舐めるような仕草を繰り返していたら、早めに動物病院に連れて行ってあげましょう。

「猫はイカを食べると腰が抜ける」

こちらも注意したい迷信です。たった1度イカを食べただけで腰が抜けるわけではありませんが、大量に食べ続けるとそのような状態になってしまうかもしれません。
イカはカルシウムが不足しています。そればかりではなく、骨から強度を奪いがちなリンが多く含まれている食べ物です。イカばかりを大量に食べ続けると骨が弱ってしまい、足腰に悪影響が出る可能性が高くなるということですね。
猫にイカを与えてはいけない、というわけではなく、過剰に与えてはいけないと考えましょう。普段はキャットフードや猫用のおやつをあげて、イカはたまのお楽しみにするとよさそうですね。人間もペットもバランスのよい食生活が一番です。

「ウサギはさびしいと死んでしまう」

結論から言うと、ウサギはさびしさが理由で死ぬことはありません。もともとウサギは1匹で飼っていても健康的に生きられます。
この迷信の「さびしさ」は「ストレス」が転じたものだと考えられます。ウサギはストレスに弱い動物です。飼育環境の衛生面が悪い、近所で騒音が多いなど、ストレスが積み重なって体調を崩すことがあります。
体調を崩すばかりではなく、最悪の場合は死んでしまう可能性も否定できません。
ストレスはどんな動物にとっても悪影響ですが、ストレス耐性が低いウサギにはさらにつらいものに感じられるでしょう。少しでもストレスが軽減されるよう、環境に気を配ってあげたいですね。

明るい迷信を楽しんで! 注意したい迷信はペットのケアで参考に

明るい迷信を楽しんで! 注意したい迷信はペットのケアで参考に
迷信が生まれた時代や理由を調べてみると、思った以上に新しい発見があります。同じ動物でも地域によって正反対の意味になっていることがあり、意外な気持ちになりそうですよね。
また、迷信のなかにはペットのケアに大切な情報が隠れていることも。大切なペットと楽しく長く暮らすためにも、関係がありそうな迷信は調べてみるといいかもしれません。

今回ご紹介した迷信のほかにも、動物にまつわる迷信はたくさんあります。何か気になるものがあればぜひ調べて楽しんでみてください。

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知る・学ぶ 2023-02-27

ハイエナの生態や特徴は? 意外な一面や性格について

皆さんは、ハイエナにどんなイメージを持っていますか?
有名映画などでは悪役として登場したこともあり、獲物を横取りする「厄介な動物」とイメージしている方もいらっしゃいますが、実際のところどんな動物なのでしょう。

今回は、誤解されがちなハイエナの種類や生息地から、食生活、繁殖などの生態や特徴をお伝えします。

ハイエナの種類は4種類

ハイエナ科は「食肉目ハイエナ科」に属します。
ハクビシンなどが属する「ジャコウネコ科」から進化したと考えられていて、見た目は犬に似ていますが分類としてはジャコウネコに近いとされています。

ハイエナには現在下記の4種が存在します。

ブチハイエナ

黄土色の体毛に黒い斑点があることから、ブチハイエナと名づけられ、または「マダラハイエナ」とも呼ばれます。
ハイエナのなかでは最大種で、体長1.6メートル、体重80キログラム以上になることもあります。
サハラ砂漠以南のアフリカに広く生息していて、サバンナ、森林、山岳地帯など様々な場所で観察されています。
生息数は約3万〜5万頭といわれていますが、西アフリカや東アフリカでは人間との衝突により多くのハイエナが死亡しているため、全体の個体数は減少傾向にあります。
日本で飼育されているハイエナの多くは、このブチハイエナです。

シマハイエナ

クリーム色の毛に黒い縞模様があるハイエナで、背中には立派なたてがみが生えていて「タテガミハイエナ」とも呼ばれています。
体長は1m、体重は50kgほどで、ブチハイエナに次いで2番目に大きいハイエナです。サハラ砂漠以北、中東、インドに生息し、草原や茂みを好み、人里近くでも観察されています。
生息数は約1万頭で、人間との接触や食料不足により、シマハイエナの数は減少の一途をたどっているため、将来的には絶滅の危機に瀕しているようです。
日本でシマハイエナを展示している施設はほとんどありません。

ブラウンハイエナ

ブラウンハイエナは、以前はシマハイエナと同属でしたが2006年に独立した属となりました。
ブラウンハイエナは茶色い体色をしていて、「カッショクハイエナ」とも呼ばれます。
長い毛に覆われ四肢に縞模様があり、体長は約1m、体重は約40kgの細身のハイエナです。
アフリカ南部の砂漠や雑木林などの乾燥地帯に約7,000頭が生息し、その約半数がボツワナに住んでいるようです。
個体数は維持されているものの、IUCNレッドリストでは絶滅危惧種(準絶滅危惧)に格付けされ、日本では飼育されていません。

アードウルフ

アードウルフは別名「ツチオオカミ」と呼ばれ、オオカミという名前が付いていますがハイエナの仲間です。シマハイエナ同様にクリーム色の毛で覆われ、体や手足に黒い縞模様があります。
体長は80cm、体重は10kgほどで、ハイエナの中では最も小さい種類です。
アードウルフの最大の特徴は、肉食性ですがシロアリを食べる点です。
長い舌で舐めたり噛んだりすることがほとんどないためか、とても小さな顔をしているので強靭な顎を持つ野生のハイエナのイメージとは程遠い見た目をしています。
アードウルフはアフリカの東部と南部の草原や雑木林の保護区に生息しており、日本では飼育されていません。

ハイエナの生態と特徴

4種類のハイエナにはそれぞれ特徴や生態が異なりますが、ここでは日本で最も一般的なハイエナの種類である「ブチハイエナ」について詳しく解説します。

ハイエナはメスの方が強い

ハイエナは単体でも群れでも活動し、昼間は茂みや巣穴で休み、夜になると活動を始めます。
ハイエナのメスは男性ホルモンの濃度が高く、メスの方が大きく成長します。また、外陰部はオスの生殖器に似ており、仮性陰嚢も持っているのが特徴です。
一族のリーダーはメスで自分の群れを守らなければならないため、戦うためには攻撃的な強さと体格が必要です。
ハイエナの外陰部は攻撃性の表れと考えられていて、リーダー以外のメスもオスに対して支配的です。

リーダーとは直接関係のないメスのハイエナは、一生同じ群れにとどまり、協力し合います。
「クラン」と呼ばれるメス同士の社会集団を形成し、10種類以上の鳴き声を使い、互いにコミュニケーションをとっており、1つのクランには20~30頭、多いときは100頭以上のハイエナがいることもあります。
一方、オスは成獣になると一族から外され、別の一族に入りますが、クランに入ったばかりのオスは最下層として扱われてしまいます。
オスは生殖以外には必要ないという立ち位置で、オスにとってはとても厳しい社会なのです。

ハイエナの狩りや食生活

ハイエナはテレビの映像などでは獲物を横取りしたり、他の動物の死骸を漁ったりするシーンが取り上げられがちですが、狩りもします。
基本的には群れで行い、狩りの成功率は60〜70%で、ライオンの30%前後よりも高いと言われています。
ハイエナは目、耳、鼻が優れているため、獲物を探すのが得意かつ体力があるので時速約60kmで獲物を追いかけることができます。

そのため、他の動物から獲物を奪わなくても食には困らず、主にシマウマなどの大型哺乳類や鳥類を捕獲し、食べるものの半分以上は自力で捕獲していると言われています。
動物から獲物を奪うことは、体力を使う狩りよりも効率が良いためで、他の動物の獲物の横取りはハイエナだけでなく、ヒョウやライオンもやっていることです。

顎の強さや消化力

ハイエナの顎は哺乳類の中で最も強く、最強クラスになると450kgにもなると言われていて、硬い肉はもちろん骨をも砕くほど強いものです。
ライオンやトラに比べると体も顔も小さいものの、他の動物が手を出せないようなものを噛み砕く力を持っているのです。
また、強力な消化能力も持っていて、他の肉食動物が獲物の多くを残すのに対し、ハイエナは強力な顎と消化能力で獲物のほとんどを食べ尽くすことができます。
このため、ハイエナは「サバンナの掃除屋」とも呼ばれていて、死骸に群がり腐肉をむさぼる姿はあまり良いイメージではないかもしれませんが、実はハイエナの残飯処理はサバンナをきれいに保つために必要不可欠なのです。

ハイエナの天敵

ハイエナは前述した優れた狩猟技術と強力な顎もあり、サバンナの中でも強さはトップクラスに位置します。
ヒョウやチーターでも、ハイエナを見つけると獲物から逃げ出すことがあるため、ハイエナには敵が少ないのです。

そんなハイエナの敵はライオンです。ライオンとハイエナの生活圏は重なっているため、ライバル関係にあります。
狩りでは、ライオンがハイエナの獲物を取ることもあれば、ハイエナがライオンの獲物を取ることもあります。
ライオンもハイエナ同様に群れで行動しますが、これはハイエナに勝つための対策とも言われています。
つまり、ハイエナの天敵であるライオンも、ハイエナを恐れているのです。

ただ、不用意にライオンの縄張りに侵入すると、捕食されてしまう可能性が高いです。

ハイエナの寿命

ハイエナは3年ほどで大人になります。寿命は20年程度と長く、飼育下では40歳まで生きた例もあります。
ただし、出産時に死亡する確率が高いことでも知られています。
ハイエナの産道は狭く、胎児が通る間に母親の皮膚が裂けてしまい、出産時の傷がもとで死亡することが多いのです。
死産が多いものの、外敵はライオンだけということもありハイエナの幼獣の生存率は高いとされています。

ハイエナの出産と育児

約4ヶ月の妊娠期間を経て一度に平均2頭の子供を産みますが、前述したように母子ともに死亡することもある過酷な出産になります。
メスのハイエナは子供を産んだ後、母乳を2年間も飲ませ続け1日に何時間も一緒に過ごします。
また、同じ群れのメスは協力して子育てをし、産みの親以外のメスも授乳することがあり、育児にはとても熱心なのです。

ぜひ動物園へハイエナを見に行こう!

ぜひ動物園へハイエナを見に行こう
以上、ハイエナの生態について解説しましたが、皆さんのハイエナに対するイメージは変わりましたでしょうか?
ハイエナはネガティブなイメージを持たれがちですが、サバンナで死骸を片付ける働き者でもあるのです。野生のハイエナは凶暴ですが、動物園で見られるものは人間に友好的で、かわいらしい一面もあります。
気になった方はぜひ動物園に足を運んでみて下さいね!

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知る・学ぶ 2023-01-27

川に帰ってくるサケの不思議な生態! 生き物の帰巣本能について

生き物の中には、遠くまで行っても自力で元の場所へ帰ってくることができる種が存在し、これを「帰巣本能」といいます。
では、それらの生き物は、どうやって自分の居場所や元いた場所を知ることができるのでしょうか?

例えば海に出たサケが繁殖する際に、生まれた川に戻ることができるのも帰巣本能のうちの一つです。
そこで今回は、帰巣本能を持つサケの生態についてご紹介します。

サケの生態

テレビなどで、サケの群れが産卵のために川を泳いでいる映像が流れているのを目にしたことがある方も多いのではないのでしょうか。
サケはまず川で生まれ、その後海へわたり2〜6年かけて成長し、また生まれた川へ戻り子孫を残して一生を終えます。

サケは、淡水から海水へ塩分濃度が変化したときに、体内の塩分濃度が変化しないようにエラや腎臓に調節機能が備わっています。
エラから余分な塩分を排出し、腎臓で不足している水分を体内に取り込むことで、海水に適応できるのです。

では、なぜ淡水魚であるサケが海へ回遊する必要があるのかというと「海の方が餌が多いから」という理由があります。
サケは冷たい川で生まれ、そこには食べ物がほとんどなく、さまざまな餌を求めて海へと回遊するのだといわれています。
川ではサケが成長するために必要な栄養を得ることが難しい一方で、海には外敵も多いものの一年を通してプランクトンや小魚介類が豊富に存在します。
その豊富な餌を食べることで、大きく成長し、卵をたくさん産むことができるようになるため、はるばる海まで行ってくるのです。

そして成長し、産卵のために川に戻るのですが、これを「遡上」といいます。これはかなり過酷で、サケの遡上は、生存率が0.5%以下といわれています。
単純計算だと、約200匹に対し1匹しか遡上できない計算になるため、仮に1万匹を海に放流したら川に帰ってくるのは50匹程度です。

残りの9,550匹は、外敵に襲われたり、人間に捕獲されたり、病気にかかったりして戻ってくることができませんが、淡水魚が産んだ卵はその数や質量から海には向かず、海で成魚になる前に死んでしまうものが多いのに対し、川は荒れにくく、海に比べると外敵も多くありません。
特に流れが速くて水深の浅い場所が産卵場所として選ばれやすいことが分かっています。

サケの遡上の成功率が低い理由

川に入ると全く食べない

サケが遡上する際には、途中で何も食べず体内にある栄養分だけを持って産卵場所まで遡上します。
途中で栄養を補給することができないため、遡上するのに時間がかかり、途中でエネルギー切れになってしまうサケも少なくないのです。

雨季に水かさが増した瀬を遡上する

サケは梅雨の時期に遡上を開始しますが、その理由は雨で川の水位が上がらないと上流に行けないためです。
しかし、川の水量が増えるということは流れが激しくなることを意味するので、急流を泳ぎ続ける体力が要求されます。
その場合、浅瀬に取り残され、酸欠や感染症などで死んでしまうこともあるのです。

あらゆる肉食動物に捕食される

前述したように、断食状態で急流を上る過酷な遡上のため、疲れ果ててかなり弱っています。
それを狙い、サケの遡上シーズンになると捕食者たちに命を狙われるのです。
特に地上の動物たちは、食料の乏しい冬を越した後は空腹状態のため、強敵です。

このように絶食し、激流を登り、捕食者から逃れ、やっとの思いで生まれ故郷に戻っても、サケは産卵を終えると死んでしまいます。
たとえ0.5%の確率で産卵に成功したとしても、サケは生き延びることができないのです。

ご存知ない方も多いかもしれませんが、もしサケが死ななければ、森の動物たちだけでなく、自然さえも破壊されてしまう可能性が高いです。
サケが川に戻ってこなくなったら、森の動物たちはエサがなくて死んでしまいます。
そして、森の木々もサケの死骸に含まれる海の栄養分の恩恵を受けられなくなるのです。

サケが生まれた川に帰ることができる理由

サケが遡上する川のことを「母川」と言い、ここに帰ってくることを「母川回帰」といいます。
では、なぜサケは遠い海から生まれた川に帰ってくることができるのでしょうか?

これにはいくつかの仮説がありますが、最近の研究によると、サケの脳の中の器官がコンパスのように磁場を感知して、生まれた川の方向に戻ってくる説が濃厚なようです。
太陽コンパスや磁気コンパスを使っているといわれていますが、広大な海から海岸までどのように戻ってくるのかは、まだはっきりとは明らかになっていません。

海岸に着いた後は、川の匂いで自分の生まれた川を特定するといわれています。
川ごとに植生や地質の違いから水の中のアミノ酸組成が異なり、サケはそれを匂いとして記憶しているようです。

太陽や磁気コンパスを使った実験

ここでは、サケが母川回帰できるといわれている理由となっている説の一つである、太陽コンパスや磁気コンパスを主に鳥に使用した動物実験の一部をご紹介します。

太陽を使った実験

日中に移動するムクドリを使った実験では、太陽から自分の方向を知るというのが明らかになっています。
移動中のムクドリは、晴れた日には首を一定方向に振り、その方向が移動する方向と同じなのに対し、曇りの日には首を振る方向がいつも同じとは限らないようです。

また、鏡を使って違う角度で太陽を見せると、首をかしげる角度もそれに合わせてずれるという実験結果もあります。
さらに、体内時計と照らし合わせて太陽の方向も判断できたようで、この能力は特に伝書鳩に備わっているようです。

目を片方ずつ隠す実験では、「左目」を隠しても特に問題はなくても、「右目」を隠すと帰巣本能が働かない個体もあるとの報告もあります。

星を使った実験

昼間に移動する鳥が太陽の位置で自分の方向を知る一方で、夜間に移動する鳥は星を利用していると考えられています。
夜間移動するムクドリを使った実験では、空が曇っていると頭の向きがおかしくなることがわかっているようです。

また、プラネタリウムでムシクイと呼ばれる鳥を放つと、すべての鳥が一斉に南の方向の空に向かって飛んでいったという実験結果もあり、さらにそのプラネタリウムをゆっくり回転させると、その回転に合わせて動いていったとのことです。
星をどのように使っているかは詳しくはわかっていませんが、星の日周運動をとらえることで方角を把握しているとも考えられています。

磁気を使った実験

地球は棒磁石のようなもので、磁場を形成しています。私たち人間に馴染み深い方位磁石は、地球の磁場を利用して方向を知るための道具ですが、動物たちも地球の磁場が生み出す磁気を自分のコンパスで読み取ることで、曲がるべき方向を知っていると考えられています。
ハトを使った実験では、ハトの頭にコイルを取り付けて飛ばし、周囲の磁場を乱すと、晴れの日は戻ってくるものの、曇りの日は戻ってこられなくなることが分かっています。
ハトが磁気をどこで感知しているのかについては、現在も研究が続けられていて、ワニなどの他の地上生物でも同じような実験結果になった例もあるようです。

生物の帰巣本能はまだまだ謎が多い

生物の帰巣本能はまだまだ謎が多い
生き物が自然の摂理や、地球から発生する磁場を感知し、その感覚を使って移動・帰還をする能力は驚くべきものがあります。
この能力は、今回ご紹介したサケをはじめとした魚類や鳥類、コウモリなど、さまざまな生物で知られていますが、その具体的なメカニズムはまだよく分かっておらず、どの生物でも決定的なものははっきりと見つかっていません。
神秘的な部分ではありますが、今後の実験や研究が進み、謎が解明されることを楽しみにしたいところですね!

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知る・学ぶ 2022-12-26

パンダとの違いは? レッサーパンダの生態や歴史について

レッサーパンダは、そのかわいらしい姿で人気を博し多くの動物園で飼育されていますが、日本には生息しないため生態などは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、レッサーパンダの生態や分布、歴史、習性などをご紹介していきます。

レッサーパンダってどんな動物?

分類

レッサーパンダは、ネコ目(食肉目)レッサーパンダ科に属する動物で、学名は「Ailurus fulgens」英名は「Lesser panda」です。
外見がアライグマやタヌキに似ていることから以前はタヌキ科に分類されていましたが、研究が進むにつれて独立した動物であることがわかり、現在はレッサーパンダのみがレッサーパンダ科に属しています。
インド北東部、中国南部、ネパール、ミャンマー、チベットに生息しているものの、森林伐採などにより生息地が減少しており、現在では絶滅危惧種に指定されています。
原因は、生息地の開発により餌が減り繁殖が不可能になったと言われていて、ワシントン条約に登録され、取引や捕獲が禁止・保護されています。

名前の由来

レッサーパンダの名前の由来は、その歴史にあります。
現在、「パンダ」といえばジャイアントパンダを指すことが多いですが、元々は先に存在が確認されていたレッサーパンダを「パンダ」と呼んでいました。

レッサーパンダはヨーロッパで最初に発見され、その後同じような食性を持つジャイアントパンダが発見されました。
「ジャイアントパンダ」と名前をつけられましたが、こちらの方がインパクトが強かったためか、「パンダ=ジャイアントパンダ」のイメージが定着したと言われています。
その後、レッサーパンダはジャイアントパンダと区別するために、「小さい」という意味の「レッサー」という英名が付けられました。
ちなみに、中国語ではレッサーパンダは小熊猫、ジャイアントパンダは大熊猫と呼ばれています。(ジャイアントパンダは「クマ科」です。)

「red panda」という英名もあり、これはパンダが赤い色をしていることに由来しているようです。
また、学名の「Ailurus」はラテン語で「猫と似ている」、「fulgens」は「光り輝く」を意味し、「光り輝く猫」という意味になります。

大きさ

レッサーパンダの体長は約50cm~63cmで、長くて柔らかい体毛で覆われています。
木の上でバランスをとるように長いふさふさのしっぽを持ち、しっぽの長さだけでも約30cm~50cmあり、尻尾を含めた体長は約80〜120cmになります。
尻尾にある縞模様もレッサーパンダの大きな特徴です。
体重は3~6kgで、大きさはオスとメスであまり変わらないとされていますが、オスの方がやや重い傾向があるようです。
また、木の上で滑らないように手足の裏にも毛が生えていて、木の上で生活できるような体の構造になっています。

レッサーパンダは生まれたばかりのときは体長15cm、体重100~130gですが、生後1年ほどで成獣と同じ大きさになります。
お腹が黒いのは、下から見上げたときに木陰に溶け込み、敵に見つかりにくくするためと考えられています。

レッサーパンダの生態

それでは、レッサーパンダの生態はどうなっているのでしょうか?

分布と種類

レッサーパンダは、インド北東部、ミャンマー北部、ネパール、中国四川省、雲南省の温帯から亜熱帯にかけての落葉樹林、針葉樹林、竹林に生息し、主食となる竹や笹が多い場所で樹上生活をしています。
生息地によって以下の2種類に分類されます。

・シセンレッサーパンダ
中国南部からミャンマー北部に生息するレッサーパンダです。やや大型で体毛が黒っぽいのが特徴で、日本で飼育されているレッサーパンダのほとんどがこの種です。

・ネパールレッサーパンダ(ニシレッサーパンダ)
インド北東部、ネパール、ブータンに生息するレッサーパンダです。明るい体色が特徴で、日本ではほとんどの動物園で飼育されていません。
シシレッサーパンダに比べ白っぽい体色が特徴です。

食生活と外敵

「パンダ」といえば竹や笹というイメージが強い動物ですが、レッサーパンダも同じように竹や笹、タケノコが好きで、手に発達した骨の突起を爪のように使って掴んで食べます。
この突起は、手首の骨の一部が変化して指のような形成をしていて、「第6指突起」と呼ばれます。
指は5本ですが、この突起も使って上手く物を掴むことができるようになっていて、ジャイアントパンダにも同じものがあります。

また、果物も主食のうちの一つで、動物園で飼育されているレッサーパンダの多くはリンゴやバナナなどの果物を食べています。
レッサーパンダは上述のとおり「食肉目」という肉食動物のグループに分類されていますが、限りなく草食動物に近い雑食性です。
時には昆虫や鳥、鳥の卵、小動物なども食べるものの、これは環境の変化で適応したからと言われています。
人に向かって牙を剥くことはほとんどありませんが、肉食動物特有の鋭い爪は健在で、顎の力も強いので、触るときは注意が必要です。

野生のレッサーパンダの寿命は8~10年と言われていますが、動物園で飼育されている場合は13~14年、日本の動物園では20年以上生きたという記録もあるそうです。
これは野生のレッサーパンダには外敵が多いのに対し、飼育下では外敵がおらず、病気の治療もできるためと考えられています。
野生のレッサーパンダの天敵は、チベットやヒマラヤに生息するユキヒョウをはじめ、ヒョウ、ワシ、タカ、オオカミなどです。

習性と活動

レッサーパンダはどちらかというと夜行性の動物で、夜になると地上に降りてきて活動を始め、特に早朝と夕暮れ時に活発に動きます。
日中は外敵から身を守るため、木の上で寝ていることが多いです。

性格は、そのかわいらしい外見とは裏腹に、獰猛で強い気性を持っています。群れを作らず、基本的に単独で生活しているため、縄張り意識がとても強いです。
特にオスは肛門付近にある匂い腺から発する強い匂いで自分の縄張りをアピールし、繁殖期にはオスもメスも縄張りをめぐって争います。
小さな音にも敏感に反応し、ライバルに出会うと前足を上げて後ろ足で立ち上がり、すぐに攻撃態勢に入ったり、威嚇したりします。
有名な両足立ちのポーズは、自分を大きく見せるための威嚇行動の一つなのです。

繁殖と飼育

レッサーパンダの繁殖期は6月から8月で、この期間だけは2頭1組で行動します。
妊娠期間はおよそ90〜150日で、木の穴や岩の隙間で2頭の赤ちゃんを産むのが一般的です。
多いと4頭の赤ちゃんが生まれることもあるようです。
授乳期間は約5ヶ月で子育てはメスだけが行い、生後約1年で親と同じ大きさに成長し12~18ヶ月で性成熟を迎えます。

なお、レッサーパンダの国際取引はワシントン条約で規制されていて、個人でペットとして飼うことはできません。
日本では多くの動物園でレッサーパンダが飼われていて、世界のレッサーパンダの4分の1が日本の動物園で飼育されていると言われています。

動物園へレッサーパンダを見に行こう!

動物園へレッサーパンダを見に行こう
野生のレッサーパンダは過酷な生活をしており、絶滅が心配されています。
生息地を中心に保護活動が行われていて、日本の動物園でも個体数の増加に取り組んでいます。

野生のレッサーパンダが絶滅しないようにすることが一番大事ですが、動物園で保護することも重要なのです。
日本の動物園が繁殖に力を入れ続ければ、種の保存につながることでしょう。

まだレッサーパンダを直接見たことがないという方や、この記事を読んで改めて見たくなったという方は、ぜひ動物園に足を運んでみて下さいね!

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