ベタ

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知る・学ぶ 2021-06-29

「コップでも飼える」は本当? ベタに最適な飼育環境や注意点について

ドレスのようなヒレがとても優雅で美しいベタ。まるで水の中に小さな花が咲いたかのようなその様子は大変神秘的であり、実際にお水を入れた瓶の中でインテリアの一部のようなスタイルで飼育している事例もあります。
しかし、実はベタを小さい容器で飼うことはあまりおすすめできません。

そこで今回は、ベタの特徴や飼育に最適な水槽の選び方、必要なアイテム、飼育の際の注意点についてご紹介します。

「気の強い美魚」ベタの特徴

鮮やかな赤や青の長いヒレが特徴的なベタは、タイ原産の熱帯魚です。
見た目の美しさから、観賞魚として世界中で親しまれており、丈夫で飼育しやすい点も魅力の一つです。

ところが、その優雅な外見からは想像もつかないほど気性が荒く、他の魚と一緒に飼うのは難しいとされています。特にオスは縄張り意識が強いため、同じ水槽に入れて混泳させるとお互いに攻撃し合ってしまうことも。
まさに「気の強い美魚」なわけですが、特徴があるのはヒレや性格だけではありません。
ベタにはエラの上部に補助呼吸器官である「ラビリンス器官」があり、空気中の酸素を直接取り込める機能が備わっています。
ベタを入れた水槽や花瓶にエアポンプがついていないことが多いのはこのためで、水中の溶存酸素濃度をそれほど気にしなくても良いという理由から、「小さい容器に入れて飼育ができる」といわれるのです。

ベタを飼育するのに最適な水槽とは?

ベタは低酸素状態に強いとは言え、小さな容器では水量が少なく汚れやすいため、ベタにとっては過酷な悪環境になってしまいます。
したがって、ベタの飼育には瓶やコップではなく、ある程度のスペースを確保できる水槽がおすすめです。

「20㎝キューブ水槽」がおすすめ

金魚鉢でも飼育はできますが、小さいものだと水質管理が難しくなるため、最低でも「20㎝キューブ水槽」くらいの大きさで飼育するようにしてください。
「20㎝キューブ水槽」とは、高さ・幅・奥行きがすべて20cmのサイズの比較的小型の水槽のこと。熱帯魚初心者の方でも扱いやすく、ワンルームマンションでスペースに余裕がない場合でもコンパクトにおさまってくれます。
最近では、ベタを飼育するためのアイテムがセットになった水槽も販売されているので、初心者の方はこのようなセット商品を購入すると、手軽にベタの飼育を始められるのではないでしょうか。

また、ベタの大きさに対して、水が多めに入る水槽を用意すると水質が安定します。最低3L〜4L以上入る水槽を中心に探しましょう。「20㎝キューブ水槽」の場合は約8Lです。
素材はガラスとアクリルのどちらでも構いませんが、ガラスは透明度が高いので、ベタの美しさが際立って見えるでしょう。一方、アクリルの場合はガラスより軽いので、水槽を移動させる機会が多い方は無理せずアクリルを選んだ方が無難です。
万が一破損した場合でも、ガラスのように破片が飛び散ることがないので安心です。

水槽には飛び出し防止の蓋を!

なお、ベタは勢いよくジャンプする習性があります。水槽から外へ飛び出してしまうことも珍しくないので、水槽にはフタを付けましょう。密封状態にならないように水槽の間に空気の通り道を作ってください。

「コップの中のベタ」はインテリアとしては大変美しいですが、生き物である以上、飼い主さんにはベタに快適な飼育環境を与えてあげる義務があります。
見た目の美しさの追求だけではなく、ベタの過ごしやすさについても気を払ってあげてくださいね。

ベタの飼育で最初に用意するもの

ベタは確かに気が強く、体も丈夫で飼育しやすい熱帯魚です。その反面、ストレスを感じやすいところもあるため、飼育する場合は最初から次に挙げるものを用意して、しっかり飼育環境を整えてあげましょう。

水質調整剤

体が丈夫なベタであっても、水道水をそのまま水槽で使うのは好ましくありません。水道水はあくまで人間に適した水であるため、水道水をベタの飼育に使うためには塩素中和剤(カルキ抜き)やバクテリア剤、pH調整剤などを使用して水質を熱帯魚向けに調整してあげる必要があります。

熱帯魚用の餌を1日1~2回、4~5粒くらい与えましょう。ベタ用の餌であれば食べやすさや栄養価の面でも安心です。
与えすぎて食べ残すと水が汚れてしまうので、与える量は守ってください。稚魚から飼うときは大きくなるまで稚魚用の餌を与えましょう。

ヒーター

ベタは熱帯の国・タイ原産の熱帯魚。寒さには弱い魚です。
そのため冬場はヒーターで水温を25度~28度の水温を保つ必要があります。
また、夏は逆に水温が上がりすぎないように注意しなければなりませんので、暑い日が続くときは冷却ファンを使用すると良いでしょう。
ヒーターと冷却ファンの価格はどちらも2000円〜3000円程度と高額ではないので、ぜひ用意してあげてください。

なお、予算に余裕がない場合は先ほどご紹介した初心者用の飼育セットを購入するのも手です。
水槽は小さめですが、ベタの飼育に必要なアイテムが揃っていますし、小型のベタ1匹なら十分飼育可能なので検討する価値はあるでしょう。

ベタを飼育する際の注意点

ベタを飼育する際の注意点
ベタの飼育には水槽の大きさのほか、次のような注意点があります。
これからベタを飼う方は、これらの注意点をしっかり守って飼育環境作りをしてあげましょう。

オス同士を混泳させない

ベタは縄張り意識が強い魚であるため、オス同士で混泳させると負傷するような大喧嘩を始めてしまうことがあります。
したがってオスを飼う場合は後からオスを混泳させてしまわないよう注意しましょう。
また、オスとメスの場合もオスがメスを追いかけ回してメスにストレスをかけさせてしまうことがあります。
つまり、ベタは基本的に混泳に適さない魚なので、「仲間がいた方がいいかな」と安易に混泳させないように注意しましょう。

ろ過フィルターは水流の弱いものを使う

ベタの飼育にろ過フィルターは必須ではありませんが、もし使用する場合は水流が弱いものを選んでください。
ベタは水流がある水の中を泳ぐのが得意ではないため、水流が常にある状態だとストレスがかかってしまったり、ヒレに傷をつけてしまったりする原因となります。
頻繁に水替えできない場合は、水替え不要の水槽セットを検討してみてはいかがでしょうか。

ヒレに優しい水草を使う

魚にとって理想的な飼育環境を整えてくれる水草は水槽の外観も美しくしてくれる多機能なアクアリウムグッズですが、ベタを飼育する水槽内に入れる場合はヒレを傷つけないものを選ぶ必要があります。
たとえば、葉の柔らかいマツモやアナカリスはベタの飼育に向いていますし、アヌビアス・ナナやミクロソリウムなどは硬いので不向きです。
ベタは水草なしでも飼育できるので、水草についての知識があまりない場合は無理して入れる必要はありません。

まとめ

ベタは初心者にも飼いやすい丈夫な魚ですが、だからといってどんな環境でも生きていけるわけではありません。
また、気が強い割にはストレスを感じやすい魚でもあるため、飼い始める前には必要なものを用意して、水質や水温、泳ぐスペースをしっかり管理してあげましょう。
快適な環境で飼育すれば、優雅で美しい姿をしっかり見せてくれます。
ベタの飼育を検討している方はまず、ベタの「見た目」より「健やかさ・快適さ」に重点を置きながら準備してあげてくださいね。

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