知る・学ぶ 2024-07-19

猫が暖かい場所を好む理由とは? 快適に過ごせる環境作りのコツ

猫を飼っている多くの人にとって、「猫は暖かい場所を好む」というのは共通の認識です。窓際の陽だまりや暖房のそば、さらには人の膝の上など、猫が暖かい場所に集まる光景は日常的に見られます。
そこで今回は、猫が暖かい場所を好む理由や、快適に過ごせる環境作りのコツや注意点、さらには寒さ対策について詳しく解説します。

猫が暖かい場所を好む理由とは?

猫が暖かい場所を好む理由は、いくつかの生理的・行動的要因が挙げられます。

生理的な理由

猫の体温は一般的に38〜39度と人間よりも高く、暖かい場所にいることで体温を効率的に維持することができます。特に寒い季節には、猫が体温を保つためにエネルギーを多く消費します。暖かい場所にいることで、このエネルギー消費を抑え、効率的に体温を保つことができます。
また猫の被毛は薄く、実は寒さに対する耐性が他の動物ほど強くありません。そのため、猫は寒さから身を守るために暖かい場所を好む傾向があります。特に短毛種や高齢の猫、病気を持つ猫は寒さに敏感で、暖かい場所で過ごすことで体調を維持しやすくなります。

進化の過程

猫は元々砂漠地帯に生息していた動物であり、暖かい環境に適応しています。現代の家猫もこの特性を引き継いでおり、暖かい場所を好むのは自然なことです。砂漠では夜間に寒くなることが多いため、昼間の暖かさを利用して体温を保ち、夜間の寒さに備えるという行動が進化の過程で身につきました。

安全性の確保

暖かい場所は一般的に風や寒さから守られており、安全で快適な環境です。猫は自然界では捕食者から身を守るため、安全な場所を選んで過ごす傾向があります。暖かい場所は、こうした安全性の観点からも猫にとって魅力的なのです。

快適な睡眠

猫は一日の大半を寝て過ごします。暖かい場所は猫の体をリラックスさせて、快適な睡眠を提供します。これにより、猫はエネルギーを効率的に回復し、活動的な時間を過ごすことができるのです。

猫にとって「日向ぼっこ」は様々な効果がある?

猫を飼っている方ならば、「日向ぼっこ」しているところをよく見かけることでしょう。日光浴は猫の健康に多くの利点をもたらします。
まず太陽の光に含まれる紫外線は、猫の体内でビタミンDの生成を助けます。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の健康を保つために重要です。さらに日光浴は皮膚の健康を維持し、被毛を美しく保つ効果もあります。

また日向ぼっこは猫にとって安心感をもたらします。太陽の暖かさは筋肉をリラックスさせ、ストレスを軽減することにつながります。
さらに猫は安全で快適な場所を好むため、日光が差し込む窓際やベランダは理想的な休憩場所となります。特に室内飼いの猫にとって、日光浴は外の世界との繋がりを感じる貴重な時間となるのです。

猫が過ごしやすい環境作りのコツと注意点

猫が快適に過ごせる環境を整えるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。

1.暖かい寝床の用意

猫がリラックスできる暖かい寝床を用意することは、猫の快適さを確保するための基本です。フリースや毛布を敷いたベッド、クッション付きのキャットハウスなど、猫が暖かさを感じられる場所を提供しましょう。また冬場は特に暖かさを保つために、寝床の周囲に風が当たらないように工夫することも大切です。

2.日当たりの良い場所を提供

猫は日光浴を好むため、日当たりの良い場所を提供することが重要です。窓際にキャットタワーやベッドを設置し、猫が日光を浴びながらリラックスできるスペースを作りましょう。上述した通り、日光は猫にとって暖かさを提供するだけでなく、ビタミンDの生成を助け、健康にも良い影響を与えます。

3.暖房器具の安全な使用

寒い季節には暖房器具を使用することが多くなりますが、猫が安全に暖かさを感じられるように注意が必要です。
例えば、電気ヒーターや床暖房を使用する場合は、猫が直接触れないようにガードを設けたり、温度を適切に調整したりしましょう。またヒーターの近くに寝床を置く際は、火傷や過熱を防ぐために一定の距離を保つことが大切です。

4.避難場所の確保

猫は驚いたり、不安を感じたりしたときに隠れる場所を必要とします。暖かい避難場所を提供することで、猫が安心して過ごせる環境を作ることができます。例えば、クローゼットやキャットハウス、狭いスペースに柔らかい毛布を敷くなど、猫がいつでも隠れることができる場所を用意しましょう。

5.定期的な健康チェック

猫が快適に過ごすためには、健康管理も欠かせません。特に高齢の猫や持病がある猫は、体温調節が難しくなることがあります。定期的に獣医の健康チェックを受け、体調管理に注意を払いましょう。また、寒さが原因で関節痛や筋肉のこわばりが悪化することもあるため、適切なケアが必要です。

猫の寒さ対策について

猫が寒さに対応できるようにするためには、以下のような対策が有効です。

1.防寒着の使用

猫用の防寒着を利用することで、寒い時期に体温を保つことができます。特に短毛種や体温調節が難しい高齢猫には有効です。ただし、猫によっては衣服を嫌がる場合もあるため、無理に着せることは避けて、猫の反応を見ながら調整しましょう。

2.温かい飲み物や食事

寒い季節には、温かい飲み物や食事を提供することも効果的です。温かいスープやウェットフードを温めて与えることで、猫の体温を内部から保つことができます。ただし、食べ物の温度が高すぎないように注意し、適切な温度で提供することが重要です。

3.適度な運動

運動は体温を上げるための効果的な方法です。室内で遊ぶ時間を増やし、猫が活動的に過ごせるようにしましょう。キャットタワーやトンネル、おもちゃを使って遊びを提供し、運動不足を防ぐと同時に体温を上げることができます。

4.湯たんぽやヒートマットの利用

湯たんぽやヒートマットを利用して、猫の寝床を暖かく保つことも有効です。ただし、直接触れると火傷の危険があるため、必ずカバーを使用し、温度を適切に調整しましょう。また湯たんぽやヒートマットの使用は、猫の反応を見ながら行い、猫が快適に過ごせるように注意を払いましょう。

5.室温の管理

室内の温度を適切に保つことも大切です。特に冬場は室温が低くならないように暖房を使用し、適切な温度を維持することが重要です。理想的な室温は猫が快適に過ごせる18〜24度です。また湿度も適切に管理し、乾燥しすぎないように加湿器を利用することも有効です。

まとめ

猫が暖かい場所を好む理由や、快適に過ごせる環境作りのコツ、注意点などについてご紹介しました。
主に体温維持、進化の過程、快適な睡眠、安全性の確保など、さまざまな要因が重なって猫は暖かい場所を好んでいます。
猫が安心して快適に過ごせる環境を提供することは、猫の健康と幸福に直結します。猫の自然な行動や生理的なニーズを理解し、それに応じた環境を整えることで、猫との生活はより豊かで楽しいものとなるでしょう。
猫の快適さを優先に考え、ぜひ生活環境を整えてあげてペットとの素敵な時間を過ごしてください。

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知る・学ぶ 2024-05-29

睡眠時間で見る動物の生態! 種ごとの睡眠の違いと理由について

私たち人間にとって「睡眠」は欠かせないものですが、それは動物たちも同じです。睡眠時間は種によって大きく異なり、独特な眠り方をする動物も少なくありません。
そこで今回は、ユニークな睡眠パターンを持つ動物や、動物によって睡眠時間が異なる理由、そしてどの動物がどれくらい眠っているのかについてご紹介します。

特殊な睡眠パターンを持つ動物たち

動物界には私たちの知らないユニークな睡眠パターンを持つものが存在します。
ここでは、いくつかの興味深い眠り方の例をご紹介します。

イルカやクジラ、渡り鳥は「半球睡眠」をする

イルカやクジラは「半球睡眠」と呼ばれる特別な睡眠パターンを持っており、脳の片方が眠っている間、もう片方は活動を続けます。
これは地上での呼吸を確保しながら、水中で外敵に対する警戒を維持するためで、海洋哺乳類にとって生存に欠かせないメカニズムです。
脳の半分が起きている状態なので、片方の目で外部を警戒しながら眠れます。
また、渡り鳥も半球睡眠を行います。
長距離を何日間も休まずに飛び続けるためには完全に眠れないので、片側の目を閉じて脳を休ませながら、もう片側の目で視野を確保しているのです。

魚類は睡眠が浅い

魚類は、人間のように完全に意識を失う深い睡眠がないといわれており、活動量と代謝を下げて休息状態に入る状態を睡眠とみなされています。
ゆっくりとした呼吸になり、水流に身を任せて漂う、または水底近くでじっとしていますが、完全に意識を失っているわけではないため、危険を感じるとすぐに逃げられるのです。

カバは陸地と水中の両方で眠る

カバは水中と陸地で眠りますが、睡眠時間の比率は水中の方が多い傾向にあります。
昼間は主に水深の浅い場所や水草の茂みなど、外敵から身を守りやすい場所を選んで水中で過ごし、眠る際は呼吸をするために鼻だけを水面に出して眠ります。
夕方から夜間にかけては陸に上がり、草を食べながら休息しますが、この時に眠る場合がありますね。

コウモリは逆さまで眠る

コウモリは逆さまにぶら下がって眠ります。
逆さまで眠ることで、地上にいる外敵から見つかりにくくし、すぐに飛び立てる状態を維持しています。
また、コウモリは飛ぶために多くのエネルギーを必要とするため、逆さまから飛ぶ方がエネルギー消費を抑えられるからという理由もあります。
そして逆さまにぶら下がることで体温を一定に保ちやすくなるともいわれています。

ペンギンは立ったままでも眠れる

なんとペンギンは立ったままでも眠れます。
これは極寒の環境で体温を保つための適応で、足元にある羽毛のクッションが地面の冷たさを防ぐため、立ったままで休むと体温を効率的に保てるのですね。
ただ、この場合は熟睡ではなく短時間の睡眠になります。
水中でも短い休息を取ることができますが、こちらも完全な睡眠状態に入るわけではなく、休息のために動きを減少させる程度のものです。
寒冷地に住むペンギンは、体温を保ち、風や寒さから身を守るために「ハドリング」と呼ばれる集団で密集して眠るのが一般的です。

番外編「冬眠」について

冬の間、長期間の睡眠状態に入る「冬眠」を行う動物もいます。
冬眠をする目的はいくつかあり、食糧の少ない冬にエネルギー消費を抑える、活動量が低下している時期に外敵に見つかりにくくする、冬眠によって出産時期を調整するなどが挙げられます。

睡眠時間が長い動物と短い動物

動物の睡眠時間は種によって大きく異なります。
ここでは、特に睡眠時間が長い動物と短い動物、そしてその理由について詳しく見ていきましょう。

睡眠時間が長い動物

まず、長時間睡眠で有名なのは「コアラ」です。
コアラは一日に最大18~22時間もの時間を眠りに費やしますが、これほど長時間の睡眠を必要とする理由は彼らが食べるユーカリの葉にあります。
実はユーカリの葉は毒素を含んでいるため、その解毒に時間がかかるのです。
さらにユーカリは栄養価も低いため、コアラはエネルギーを節約するために多くの時間を睡眠に当てています。

ナマケモノの睡眠時間も長く、一日に15~20時間眠りますが、この理由は代謝が非常に遅く、エネルギー消費を抑えるために睡眠時間も長くなりやすいからだといわれています。
コウモリも一日に約16時間眠りますが、エネルギーの節約と体温調節のために長時間の睡眠を必要とします。
また、意外に思われるかもしれませんが、ライオンも一日に多くの時間を眠ります。
これは狩りで大量のエネルギーを消費するためで、長めの睡眠をとって体力を回復させるのです。

睡眠時間が短い動物

短時間睡眠の代表的なものは「キリン」で、一日に約2~4時間しか眠りません。
20分前後の睡眠を繰り返しますが、これは外敵からの危険を避けるためで、キリンは立ったまま常に警戒をして眠っているのです。
また、高い視点から広範囲を見渡せるため、危険を早期に察知できます。

馬も一日に約2~3時間しか深い睡眠を取りません。
キリン同様に短い昼寝を数回行い、必要な睡眠時間を補っていますが、こちらも外敵からの攻撃を避けるためです。
群れでいる時は、他の仲間と交代をしながら、うつ伏せになって深い眠りを取ります。
野生の象も一日に約2~4時間しか眠らないことが知られていますが、飼育下では長時間眠る傾向にあります。

中間層の動物

年齢や品種によって異なりますが、犬や猫の睡眠時間は一般的には12~16時間ほどです。
比較的、猫の方がより睡眠時間が長い傾向にあり、特に家猫は安全な環境だとリラックスして長時間の睡眠を取ります。
夜行性であるフクロウは、昼間に約8~10時間睡眠を必要とします。

睡眠時間の違いの理由

上記のように代謝や食性、外敵の存在などの環境要因が睡眠時間に影響を与えますが、外敵が多い環境では短い睡眠時間である動物が多いです。
また、草食動物は消化に時間がかかり栄養価の低い草を食べ続けなければならないため、必然的に起きている時間が長くなります。
逆に、高代謝率の動物や栄養価の高い食物を摂取する動物は、比較的短い睡眠で済む傾向にあります。

主な動物別の睡眠時間

動物の睡眠時間は種によって大きく異なることは解説しましたが、以下に主要な動物の平均睡眠時間を一覧にまとめました。

コアラ【一日18~22時間】
ナマケモノ【一日15~20時間】
馬、キリン、象【一日約2~4時間】
カバ【一日約4~6時間】
コウモリ【一日約16~20時間】

ライオン【一日約13~16時間】
犬、猫【一日約12~16時間】
フクロウ【一日約8~10時間】
渡り鳥【一日数分~1時間(飛行中に短い睡眠)】
イルカ、クジラ【一日約8時間(半球睡眠)】

カモノハシ【一日約14時間】
アルマジロ【一日約18~19時間】
ハリネズミ【一日約10~12時間】
ハト【一日約10時間】
カラス【一日約9時間】

ペンギン【一日約10時間】
カメレオン【一日約12時間】
ワニ【一日約17時間】
アマガエル【一日約12時間】
サメ【一日数時間(不規則)】

睡眠時間を頭に入れて観察してみよう

動物たちの睡眠時間とその理由について、新しい驚きや発見はありましたでしょうか。
人間と同じように、動物たちにもそれぞれの生活スタイルや生態に合った睡眠の取り方があるのです。睡眠だけ見ても、動物たちがどれだけ賢くて適応力が高いかが分かりますよね。
もし次に動物園や自然の中で動物たちを見かけたときには、この睡眠習慣についても思い出してみて下さい。特に睡眠時間が長い動物が起きている姿は必見ですよ!

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知る・学ぶ 2024-05-27

噛み癖は直せるの? 愛犬が手を噛んでくる理由と改善法

飼い主さんの中には、愛犬の噛み癖に悩んでいる人がいるかもしれません。子犬でも成犬でも、噛み癖はなるべく早く直さなければ後になってトラブルを起こす恐れもあります。
噛み癖が起こる原因は複数考えられるため、愛犬の事情に合わせた対応が必要です。愛犬に寄り添いながら適切なトレーニングをして改善を目指しましょう。

今回は、愛犬の噛み癖を直す必要性や、噛み癖の原因、改善方法などについて詳しくご紹介します。

犬の噛み癖の理由は? 本能と環境に左右される!

犬の噛み癖に悩んでいる飼い主さんは、その原因に心当たりがあるでしょうか。まずは愛犬が噛んでしまう原因を知り、改善について考えていきましょう。犬が噛み癖をつけてしまう代表的な5つの原因をご紹介します。

口の中がかゆい

もしも噛み癖のある犬がまだ子犬なら、歯の生え変わりが原因で「口の中に違和感がある!かゆい!」と感じ、解消しようとして噛んでいるのかもしれません。
犬の歯は、一般的に生後約4~6か月の頃にかけて生え変わります。この時期に噛むようになったら、歯が健康的に生え変わってきているかどうかをチェックしてあげてみてください。

遊んでいるつもり

飼い主にとっては深刻な噛み癖でも、愛犬は遊んでいるつもりの場合があります。
子犬時代に飼い主が「なんだ、遊んでいるだけなのか」と譲歩して噛み癖をそのままにしてしまうと、成犬に成長して力が強くなっても続けてしまいかねません。
遊ぶ姿はかわいいものですが、愛犬の将来を考えて、早めに対処することを考えましょう。

本能的な行動

犬は本能的に噛んでしまうこともあります。たとえば愛犬が寝ているときや遊んでいるとき、かわいいからといって、愛犬が予期しないタイミングで撫でたら噛まれた経験はありませんか。
急に触られた犬は「攻撃された!」と思い込み、身を守るために噛んでしまう可能性があります。
本能による行動はコントロールが難しいため、専門家のトレーニングを受けることの検討したり、周囲が注意して生活するなどの配慮が必要になるでしょう。

ストレス

犬にとって苦手なことをされたり、怖い思いをしたりなど、ストレスがかかったときにも噛む場合があります。嫌なシーンから逃げたいと考え、噛んでしまうということです。
たとえば爪切りや入浴のタイミングで噛むことがあれば、それは愛犬が苦手なシーンなのでしょう。また、運動不足や体調不良、環境変化などでストレスを感じるケースもあります。

飼い主の気を引こうとしている

飼い主に構ってほしい、甘えたいという気持ちから、「こちらを見てよ!」という意味で噛むこともあります。
なんともかわいい行動に思えますが、成犬になって力加減を間違えると大怪我をさせてしまう可能性もあるため、子犬の頃から「構ってほしくても噛んではいけない」と教えてあげてください。

噛み癖を放置しているとどうなる? 考えられるケースとは

噛み癖の放置は愛犬自身、飼い主、周囲の人など広い範囲に悪影響を与えてしまいかねません。もしも噛み癖を改善しないままにしておいた場合、どのようなことが起こりやすいのか考えてみましょう。

飼い主や他人に傷を負わせてしまう可能性

「噛んではいけない」と知らないまま成長してしまうと、自分の要求を通したいときやストレスから逃れたいときなどに「噛むこと」そのものを伝達手段としてしまうようになります。
子犬の頃は噛んでもそれほど力が強くなく、「甘噛みするなんてかわいいな」と思える程度かもしれませんが、成犬になればそれでは済みません。噛んだ相手に大怪我をさせてしまう可能性もあります。
たとえそれが害意を持った行動ではなくても、人を噛んだ犬は「咬傷事故を起こした犬」として扱われることになります。
他人が被害者であれば治療費や賠償も発生するため、誰にとっても後味の悪い結果になってしまうでしょう。

物を破損する可能性

室内飼いの場合、家具や衣類などを噛んで破損してしまう恐れがあります。インテリアが損ねられるだけではなく、破損したものの誤飲なども心配しなくてはいけません。
飼い主や家族の住環境が悪化するとともに、被害の度合いによっては金銭面でも悩みが出てしまうでしょう。
自宅ならまだしも、よその家や持ち物を噛んで破損してしまった場合、弁償する必要が生じたり、今後のお付き合いに悪影響が出たりすることもあります。

ブラッシングや入浴などが難しくなる

ブラッシングや入浴、爪切りなどのタイミングで噛む場合、力の強い成犬になっても噛み癖が直らなければ、飼い主の手に負えなくなります。
ブラッシングや入浴のたびに噛まれることは飼い主にとっても苦痛になり、きちんとしたお手入れをしてあげられなくなるかもしれません。
外部の力を借りてお手入れをするとしても、トリミングサロンによっては噛み癖のある犬を受け入れないこともあるため、やはり噛み癖の対策は必須になるでしょう。

噛み癖の対策は? 原因を探って適切な対応を

噛み癖を改善するためには、噛む原因を突き止めて対応していく必要があります。具体的にはどのようなことをするとよいのでしょうか。

噛まれたら「痛い」と表現する

愛犬に噛まれたときには黙ってやり過ごすのではなく、「痛い」と表現して「やってはいけないこと」だと教えましょう。
その際、大声で叱りつけるのではなく、「痛い」という事実を伝えてその場を立ち去るなどの方法がおすすめです。
「飼い主を噛んだら痛がり、そのせいで自分のそばからいなくなってしまう」と愛犬に学習させることにより、噛み癖の改善を目指します。
このとき、大声で注意したり、大げさに痛がったりすることはおすすめできません。「遊んでいるのかな」「楽しそう」と愛犬が勘違いして、効果が薄れてしまう可能性があります。

噛むおもちゃをあげて欲求を発散させる

もともと犬は噛む動物です。噛んで遊べるおもちゃをあげて、「噛みたい!」という欲求を満たしてあげましょう。
ただし、飼い主が手に持って遊ぶおもちゃは「おもちゃを噛んでよい=手も噛んでよい」と誤った学習をしてしまう恐れがあります。噛み癖がある場合、犬自身だけで遊べるおもちゃが適しているでしょう。

力関係を明確にする

飼い主よりも自分のほうが優位だと勘違いした犬は、飼い主の言うことを聞かないばかりか、攻撃的な性格になってしまうことがあります。噛み癖を直すためのしつけも受け入れなくなるでしょう。
飼い主のほうが優位であるということを教え、噛んではいけない存在であることや、噛み癖を直すためのしつけを受け入れなくてはならないと学習させることが大切です。

愛犬に寄り添いながら噛み癖を改善しよう

噛み癖の原因や直し方にはさまざまで、この記事でご紹介したもの以外にも多くの種類があります。愛犬の噛み癖に困っている飼い主さんは、愛犬がなぜ噛んでしまうのかを突き止め、適切な方法で改善していきましょう。

自分の力ではどうにもならない、適切なしつけ方に自信がないという場合には、ドッグトレーナーさんに相談してみるのも有効な選択肢です。
社会の中で一緒に楽しく暮らしていくためにも、愛犬の噛み癖を直せるように、愛犬に寄り添いながら諦めずに頑張りましょう。

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楽しむ 2024-05-22

思わずほっこり、思わず涙…動物が活躍する本で読書タイムを楽しもう!

小説や児童文学の世界でも愛される動物たち。心揺さぶるような名作、大人になっても忘れられない物語…さまざまな作品が文学の世界を彩ります。
動物が登場する物語は子供向けが多い印象ですが、大人向けの読み応えある小説も数多いため、読書を楽しみたいときにはぜひ手にとってみてください。

今回は、大人も楽しめる小説や、子供の頃の気持ちを思い出させてくれる児童文学など、動物が登場する作品についてご紹介します。

大人も楽しめる動物小説5選

「いくつになっても動物が大好き」「我が家のペットもかわいいけれど、作品の中で活躍する動物が見てみたい」。そんな大人におすすめする動物小説5選をご紹介します。

「旅猫リポート」有川浩(著)/講談社

猫の目線から描かれる人間社会が印象的な小説です。2018年には福士蒼汰さん主演の映画も公開され、多くの人々の心をつかみました。
1匹と1人で楽しく暮らしていた元野良猫のナナとサトル。しかし、ある事情によってサトルはナナと別れる選択をします。ナナはサトルとともに銀色のワゴンに乗り、新しい飼い主を探しに旅立ちましたが…。
旅の途中に出会う人々との交流や美しい風景の描写が、読者も一緒に旅行をしているような気持ちにさせてくれる小説です。やがて明かされるサトルの秘密を知ったとき、思わず「嘘でしょ」と声が出るかもしれません。

「犬がいた季節」伊吹有喜(著)/双葉社

2021年の本屋大賞第3位を獲得し、当時話題を呼んだ小説。著者・伊吹有喜さんの母校を舞台にしたこの作品は実在した犬をモデルにしており、犬の視点を通して高校生の青春を描きました。
18歳ならではの悩み、友情、恋愛など、その時代にしか経験できない日々。昭和、平成、令和まで、オムニバス形式でさまざまな高校時代が鮮やかに描写されます。
読む年代によって、共感や追憶などそれぞれの楽しみ方ができる秀逸な小説です。

「人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日」トム・ミッチェル(著)、矢沢聖子(訳)/ハーパーコリンズ・ジャパン

年若い牧師と1匹のペンギンが親友になるまでを追った実話です。言葉が通じなくてもいつしか通い合うふたりの心の交流にぐっとくる人も多いかもしれません。
重油にまみれ、息絶えた数百羽のペンギン。そのなかでただ1匹生き残ったペンギンを保護したトムは、ペンギンを「フアン・サルバドール」と名付け、学校の屋上で飼うことにしたのですが…。
ペンギンの賢さやトムの思慮深さ、ふたりの間に生まれる友情。心ゆさぶられるようなラストシーンは涙なくしては読めません。

「ありがとう実験動物たち」太田 京子 (著)、笠井 憲雪 (監修)/岩崎書店

人間社会を支えてくれる一面に動物実験があります。なぜ動物実験が必要なのか、その動物に心を寄せたことはあるのか…。実験動物を世話する女性を追ったノンフィクションです。
人間の健康はそれに関わる動物や人々のおかげで保たれていることも確かな事実です。その動物の毎日を支えるために働く女性・テルは、どのように動物に接しているのか…。
デリケートなトピックを扱っていますが、読後感は決して悪いものではなく、社会を支えてくれる動物たちに改めて心を向けたくなる1冊です。

「動物農場」ジョージ・オーウェル (著)、高畠 文夫 (翻訳)/角川文庫

1945年に刊行された小説で、とある動物農場を通して当時の社会情勢を描いた小説です。文豪ならではの筆力が寓話の世界にリアリティを与え、パワフルな空間を描き出します。
とある農場の動物たちは、劣悪な環境を強制する農場主にうんざりし、反乱を起こして追い出してしまいました。これで理想的な環境になると思ったのもつかの間、リーダーの豚が独裁者になってしまい…。
当時の社会を風刺した小説ですが、歴史好き・動物好きの両方に訴える秀逸なストーリーです。

子供も一緒に楽しめる動物の児童文学4選

動物が登場する本といえば、やはり児童文学は欠かせません。幼い頃に読んでいた思い出の1冊、家族で一緒に読みたい1冊などの4選をご紹介します。

「長靴をはいた猫」シャルル・ペロー(著)/福音館書店・他

賢い猫が少し頼りない飼い主をあれよあれよと言う間に出世させる物語。幼い頃に読んだことがある人も多いのではないでしょうか。
亡くなった粉屋の親から遺産を相続した3人の息子たち。上の2人はよいものをもらったというのに、末息子が手にしたのはたった1匹の猫だけでした。がっかりする末息子ですが、賢い猫の言う通りにしてみると…。
猫の活躍で立身出世の道を駆け上る飼い主の姿は見事なものです。そんな賢さ持つ猫を見て、思わず自分の愛猫に「あなたも?」と話しかけたくなってしまうかもしれませんね。

「今泉先生のゆかいな動物日記」今泉忠明(著)/KADOKAWA

動物学者の今泉先生が日々の研究について紹介する1冊です。「研究を紹介する」というと堅苦しく感じますが、小説よりも波瀾万丈の毎日に思わずクスッとしてしまいます。
学者なら机に向かってたくさんの文献を読んで…と思いきや、今泉先生はとてもアクティブです。ミノムシを集め、動物にお弁当を奪われ、ときにはクマに遭遇することも…。
毎日大変ですが、刺激と笑いの絶えない日々の描写はいつの間にかページをめくるおもしろさに満ちています。イラストもかわいらしく、読書が苦手な人にもおすすめです。

「ハニーのためにできること」楠章子(著)/童心社

祖母との別れ、老犬の寿命と直面した家族たちが送る日々の物語。命と向き合い、命とは何かを考えるときに手に取りたい1冊です。
ふたばの祖母が突然亡くなり、残された老犬・ハニーを引き取ることに。はじめはぎこちない関係でしたが、やがて打ち解け、信頼関係を築けるようになりました。しかし、ハニーは重い病気にかかってしまいます。近づく別れにふたばや家族たちは「何ができるだろうか」と懸命に考え…。
動物と暮らす人が必ず直面する命の「終わり」だけではなく、「何ができるか」にフォーカスした物語です。児童向けですが、大人も深く考えさせられるのではないでしょうか。

「シャーロットのおくりもの」E.B. ホワイト (著)/あすなろ書房

クモのシャーロットと子ブタのウィルバーの交流を描いたハートフルストーリー。世界23カ国で翻訳され、4500万人の人が手に取った名作です。
子ブタのウィルバーは牧場でのんびり暮らしていましたが、ある日、いずれはハムにされてしまうことに気づきます。自分の運命に悩むウィルバーを、クモの女の子・シャーロットが助けてあげようとするのですが…。
シャーロットの賢さで人間を翻弄するシーンや、友情が深まっていくシーンなど、ほどよい波のあるストーリーが笑顔にさせてくれます。ふたりの友情の行く末が気になりますね。

文字が織りなす世界で動物との時間を楽しもう

映画やドラマでも動物が活躍する作品は多々ありますが、小説や児童文学のなかで活躍する動物たちもいとおしいものです。
文字が紡ぎ出す光景を想像すれば、笑顔になったり、涙をぬぐったりする時間が楽しめます。1人で、家族で、ぜひお気に入りの1冊を見つけてみてください。

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知る・学ぶ 2024-04-25

人間との関わりも深い「馬」の生態や生活スタイルについて

馬は古くから人間の生活に欠かせない存在であり、交通手段、農業、スポーツなど、様々な面で重要な役割を果たしてくれています。
一方で、馬の生態や生活スタイルについては実はあまり知らないという方も多いのではないでしょうか?

馬はどんな動物?

馬は生物学で「哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属」というグループに分類されており、群れで生活します。
このグループにはロバやシマウマなどがいて、姿形がよく似ていますよね。
奇蹄目にはサイやカバも属していますが、体が重くて水中での生活に適していることや、単体で行動する点が異なります。

馬は大きな体と力を持っていますが、温和で友好的な草食動物で、攻撃的でない性格が多くの人々に人気がある理由の一つとなっています。
ただ、そのような性格がゆえに細かな環境の変化に敏感で、突然の動きや予期せぬ音に反応して驚いてしまう場合があるのです。
このため、馬は安定した環境と予測ができる暮らしを好み、信頼できる人間との関係を大切にします。

この臆病で敏感な性格は、馬が持つ「逃げる」という本能に直結していて、危険を感じた際には戦うよりも逃げるという手段を選ぶという、野生の環境で生き残るための戦略から芽生えたものです。
人間はこの本能を理解し、適切なトレーニングとケアを提供しており、馬との深い絆を築いています。

馬の特性について

体の大きさ

馬の体の大きさは、種類によって異なります。
最も小さい種類の馬は、成長しても体高が約76センチメートルから97センチメートルほどにしかなりませんが、大型の馬は体高が160センチメートルを超えることも珍しくありません。
体重も幅広く、約150キログラムから1,000キログラム以上まで様々です。

種類

馬はスポーツ、農業、レジャーなど、人間の様々なニーズに応じてくれていますが、体の大きさと同様に、種類によって性格や学習能力、適応能力が異なり、作業の向き不向きがあるのです。
例えば、競馬に最も一般的に使用される種である「サラブレッド」は高いスピードと持久力を持ち合わせており、「アラビアン」は耐久力が高く、長距離の競技や乗馬に向いています。
「クォーターホース」という短距離のスプリントやロデオ、乗馬に優れている種も存在しますね。
競走馬以外では、「シャイア」という重い荷物や馬車を引くのに適した大型の馬や、独特の斑点が特徴的で主に牧場作業などで活躍してくれる「アップルーサ」が代表的な種です。
他にも個性的な馬が多くいるので、興味があればぜひ図鑑などで詳しく調べてみて下さいね。

視力と聴力

馬の視力は、人間と比べると物を鮮明に見るという点ではやや劣るものの、動体視力が優れており、広範囲を警戒するのに適した視界を持っています。
視界は、目が頭部の側面に位置していることから、ほぼ死角のない約350度に及び、捕食者に対して迅速な対応が可能です。
特に黄色、緑、青を識別する能力に長けており、これは食べ物の探索や他の馬とのコミュニケーションに役立ち、紫外線も感知できるため、夜間の視認性が高いことでも知られています。
その一方で、赤色の識別が難しいとされていますが、これは低照度環境や夜間の視認性に適応しているためです。

そして馬の耳は非常に柔軟で、最大約180度の回転が可能です。
この能力は遠く離れた場所からの音や、地表を伝わる微小な振動を感知し、超音波も聞き取れるため、視覚と合わせて捕食者などの脅威をいち早く察知するのに役立ちます。馬を観察する際は、ぜひ耳の動きにも注目してみて下さい。

嗅覚

嗅覚も他の感覚と同様かなり発達しており、人間と比べて約1,000倍の感度を持っているといわれています。
この嗅覚を利用して自分の子供や他の群れのメンバーを識別したり、食物の新鮮さや品質を判別したりと、多くの情報を得ているのです。
また、特定の人間の匂いを覚え、安心感や親近感を覚える能力もあり、それが飼育者やトレーナーと良い関係を築ける理由にもなっています。

寿命

馬の寿命は、品種、飼育環境、健康管理など様々な要因によって大きく異なりますが、大型馬よりも小型馬やポニーのような品種の方が比較的長生きする傾向にあります。
平均寿命は約20年から30年ですが、最も長いものではイギリスの「オールドビリー」という馬が、なんと62歳まで生きた例があります。
飼育下で寿命を延ばすためには、獣医による定期的なチェック、適切な餌と水やり、適度な運動が必要で、清潔で安全な環境にいる馬はストレスが少なく、健康的な生活が送れるため、長生きする可能性が高まります。

馬の生活スタイル

食性と好物

馬は前述したとおり草食動物です。
草や干し草を主食としているため、消化器系は草類を効率よく消化するよう進化していますが、果物などの甘いものに対しても好みを示します。
馬の好物と言えば「ニンジン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
よく物語やアニメなどの描写にもあるように、実際にニンジンをご褒美として使い、訓練やケアの際の動機付けとする場合があります。
その他、穀物を活動的な馬や競走馬のエネルギー源として与えられるケースも多いですね。
馬の食事は、年齢、体重、健康状態、活動レベルに合わせて調整し、慎重な管理が必要です。

睡眠パターン

一般的に馬の総睡眠時間は1日に約3時間程度とされており、これは他の哺乳類と比較してかなり短い部類に入ります。
この短い睡眠時間は野生の環境に適応した結果であり、敵からの攻撃を避けるために長時間の深い睡眠を取らないようにしているのです。

睡眠時の姿勢は大きく分けて二つあり、一つ目は立ったまま睡眠をとる「立ち寝」と呼ばれるもので、立った状態で軽い眠りにつきます。
立ち寝はとても浅い睡眠で、いつでも素早く起きて逃げる準備ができるという姿勢です。
二つ目は、地面に腹這いになって眠る「伏せ寝」というもので、深い睡眠をとる際に見られる姿勢です。
この睡眠は身体の回復に不可欠ですが、伏せ寝は立ち上がるのに時間がかかるため、安全で落ち着いた環境でのみ行われます。
群れでの生活をする中で、他の個体が周囲を警戒している間に安心して伏せ寝をするのです。

馬の行動とコミュニケーション

馬は通常、穏やかで友好的な動物ですが、ストレスや不安を感じる状況では稀に攻撃的な行動をとります。
特に、噛む行動は警告や自己防衛として、蹴る行動はより直接的な脅威に対する強い反応として起こり、これらの行動を示す時は、何らかのストレスや不安、不快感を覚えているサインである可能性が高いです。

私たち人間と馬の接触においては、適切な関わり方を理解し、安全のために注意を払うのが重要で、馬を驚かせないよう、特に大きな音や突然の動作は避けましょう。
馬は視界が広いものの、直接背後を見られないため、死角からの接近を避ける必要があり、接近する際は前方からゆっくりと近づくことが望ましいですね。
また、人の感情や意図を感じ取れるとされているため、触れ方や声のトーンなども穏やかで安心させるように接するよう心掛けましょう。

飼育者やトレーナーはこれらの行動原則を理解し、馬が感じるストレスを最小限に抑えて関係を構築しています。
馬の社会的特性に合った教育方法を実践することで、人間と強い絆を持つパートナーとして成長してくれるのです。

馬と直接関わりを持ってみよう

このように馬は元々、野生の中で群れで生活する社会的な動物でしたが、今では私たち人間の生活にとって欠かせない存在となっていますよね。
ただ、その一方で現在では野生の馬がいなくなってしまい、保護活動の一環として野生に返すプロジェクトも行われています。

日本では、乗馬クラブや地域の農場を通じて直接触れ合えるので、興味があればぜひ訪れてみて下さい。
馬との交流は、新しい感動や発見があるかもしれませんよ!

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知る・学ぶ 2024-04-23

ペットとは一生一緒に! どうしても飼えなくなったらやるべきこと

犬や猫に限らず、最近はさまざまな動物がペットとして飼われています。サル、キツネ、フクロウなど珍しい種類も飼育されるようになり、SNSや動画サイトで見かける人も多いでしょう。
それと同時に注目されつつある問題に「ペットの野生化」があります。飼育できなくなったペットを無責任に野に放つことによって起きる問題です。

この記事では、ペットの野生化が引き起こす自然界への問題、どうしても飼育できない事情ができたときの対応法などについて詳しく解説します。

ペットの野生化とは?

ペットの野生化とは、ペットが何らかの事情で飼育されなくなり、もともと生息地ではない環境に住み着いてしまうことです。野生化のほか、移入とも言われます。
野生化したペットはさまざまな問題を引き起こす可能性があり、実際に問題が顕在化している事象も確認されています。

場合によっては地域の生態系をおびやかす危険があることも事実です。特にそのような危険が高い動物は「侵略的外来種」と呼ばれます。
侵略的外来種は飼育放棄されたペットに限りませんが、なかにはアメリカザリガニやアライグマのように、もともとペットとして飼育されていた種も混ざっています。

野生化する原因1:海外からの流入

ほかの環境で生息していた動物が野生化する原因は、大きく分けて2つあります。
ひとつは本来の生息地以外(海外や国内のほかの地域)から届く貨物や移動してくる人に付着していたり、混入していたりなど、意図的ではない流入があることです。
この場合はペットの野生化ではなく、他地域から人の生活の流れによって移動してきたといえるでしょう。動物に限らず、貨物を運ぶ船舶に付着した海藻が移動してくることもあります。
しかし生態系に影響を及ぼす可能性は否定できないため、近年では大きな問題としてとらえられていることも事実です。

野生化する原因2:ペットの脱走や飼い主の飼育放棄

ペットや家畜が逃げ出したり、飼い主が飼育放棄をしたりするなどの事情で野生化することもあります。飼育できない環境や事情になったからといって放棄するのは非常に無責任ですが、残念ながらそのような飼い主がいることも事実です。
野生化したペットのなかには、住み着いたエリアで繁殖を繰り返し、本来そのエリアで営まれていた生態系を大きく変化させてしまうものもあります。
それだけではなく、そのエリアで暮らす従来の生物を捕食し、固有種の存続をおびやかしてしまうことも否定できません。
例えばペットのエサとして輸入されていたトカゲのグリーンアノールは、逃げ出したり捨てられることによって日本で繁殖し、固有種である蝶のオガサワラシジミを絶滅させた可能性が高いと言われています。

ペットが野生化することで生まれる問題

ペットが野生化することによって生まれる問題は多く、人間にとっても動物にとっても被害が出るケースは少なくありません。人間社会への被害や生態系の変化、動物自身の安全など、いくつもの問題をはらんでいます。

人間社会に害を及ぼすことがある

野生化したペットの生きるための行動が、人間社会に被害を与えることがあります。その結果、ペットとして飼育することができなくなり、害獣認定されてしまうケースも生まれているのです。
顕著な例としては北米のアライグマです。かつて日本ではアライグマをペットとして飼うブームが起こりました。
幼少時のアライグマは人間になつき、かわいらしさも相まって大人気でしたが、成獣になると気性が荒くなるため飼育放棄をする飼い主が増え、野生化と繁殖が進みます。
その結果、農作物や家屋に被害が出るようになり、いまでは害獣として駆除が進められることになってしまいました。学術研究や展示目的以外での飼育も禁じられ、ペットとして飼うことはできなくなっています。

生態系を変化させてしまう

捕食や繁殖の規模が大きく、生態系、自然環境に重大な影響を与えることもあります。このような種は侵略的外来生物や特定外来生物のカテゴリーに分類され、駆除対象になるケースが少なくありません。
たとえば沖縄ではハブの駆除を目的に、アフリカやインドなどに生息するマングースを迎え入れ、地域に放ちました。
しかし、繁殖したマングースは人々の期待に反してハブ退治には効果がなく、それどころか固有種のヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど、貴重な動物を捕食するようになったのです。
結果として特定外来生物に指定され、駆除が進められるようになりました。
マングース自身には何の問題もないはずが、人々の都合と野生化によって害獣扱いされるようになってしまっています。
飼育するべき人間の責任放棄や無計画な受け入れは、何の罪もない動物を苦しめ、人間社会にも影響を及ぼす可能性があることを知っておかなければいけない例だといえるでしょう。

動物によっては生きていけないこともある

いままでペットとして飼育されてきた動物が野に放たれた場合、自分の力では生きていけないこともあります。
人間の家という安全な環境で食事をもらって快適に生きてきたペットが、外の世界で突然暮らすことになったらどうなるでしょうか。
狩りの方法や外敵から身を守る方法も知らない元ペットは、野生化したといっても生き方が分からず、場合によっては最悪の事態になってしまうことも考えられます。
人間の都合で飼育を放棄する行為は動物愛護観点からも誤ったものであり、絶対に避けるべきでしょう。

どうしても飼い続けられない時にできること

飼い始めは一生面倒を見るつもりだった人も、やむを得ない事情でペットを手放さなければならないことがあるかもしれません。
そんなときには野生化させるのではなく、できる限りの対応をしてみてください。

どんな事情があっても捨てない

「捨てない」ということは必ず意識しておきましょう。
日本には「動物の愛護及び管理に関する法律」があります。この法律では愛護動物(ペット)の飼育放棄を禁じており、違反した場合には100万円以下の罰金を支払う必要が生じるとされています。
法律面、金銭面でもペットの遺棄は飼い主にとって大きな問題をまねきます。
「どうしても飼えなくなった」という事情があっても決して捨てず、次項の動物愛護センターや行政の窓口に相談してください。

動物愛護センターや行政に相談

各自治体の窓口や動物愛護センターでは、飼えなくなったペットの面倒を見たり、次の飼い主を探すサポートをしたりするシステムが整えられています。
引っ越しや飼い主の高齢化などさまざまな事情に対応しやすいため、必要であれば相談を検討しましょう。

基本は「終生飼育」を意識して

ペットは寿命まで飼育する「終生飼育」が求められています。飼う前に「自分がペットの寿命を見届けてあげられるか」ということをよく考えましょう。
「飼う前から」考えておくことも、ペットの野生化を防ぐための重要な対策になります。

一度迎え入れたら最後まで! ペットの野生化は重大問題

ペットの野生化は日本だけではなく、世界でも問題視されています。従来の生態系をおびやかしたり、人間社会に被害を与えてしまったりなどの影響があり、ときには害獣として駆除対象になってしまうこともあるほどです。
ペットは人間に幸せを与えてくれる大切な存在であり、野生化してうとましがられるために生まれたわけではありません。一度生活に迎え入れたら最後まで愛情を持って飼育しましょう。

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