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知る・学ぶ 2024-04-25

人間との関わりも深い「馬」の生態や生活スタイルについて

馬は古くから人間の生活に欠かせない存在であり、交通手段、農業、スポーツなど、様々な面で重要な役割を果たしてくれています。
一方で、馬の生態や生活スタイルについては実はあまり知らないという方も多いのではないでしょうか?

馬はどんな動物?

馬は生物学で「哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属」というグループに分類されており、群れで生活します。
このグループにはロバやシマウマなどがいて、姿形がよく似ていますよね。
奇蹄目にはサイやカバも属していますが、体が重くて水中での生活に適していることや、単体で行動する点が異なります。

馬は大きな体と力を持っていますが、温和で友好的な草食動物で、攻撃的でない性格が多くの人々に人気がある理由の一つとなっています。
ただ、そのような性格がゆえに細かな環境の変化に敏感で、突然の動きや予期せぬ音に反応して驚いてしまう場合があるのです。
このため、馬は安定した環境と予測ができる暮らしを好み、信頼できる人間との関係を大切にします。

この臆病で敏感な性格は、馬が持つ「逃げる」という本能に直結していて、危険を感じた際には戦うよりも逃げるという手段を選ぶという、野生の環境で生き残るための戦略から芽生えたものです。
人間はこの本能を理解し、適切なトレーニングとケアを提供しており、馬との深い絆を築いています。

馬の特性について

体の大きさ

馬の体の大きさは、種類によって異なります。
最も小さい種類の馬は、成長しても体高が約76センチメートルから97センチメートルほどにしかなりませんが、大型の馬は体高が160センチメートルを超えることも珍しくありません。
体重も幅広く、約150キログラムから1,000キログラム以上まで様々です。

種類

馬はスポーツ、農業、レジャーなど、人間の様々なニーズに応じてくれていますが、体の大きさと同様に、種類によって性格や学習能力、適応能力が異なり、作業の向き不向きがあるのです。
例えば、競馬に最も一般的に使用される種である「サラブレッド」は高いスピードと持久力を持ち合わせており、「アラビアン」は耐久力が高く、長距離の競技や乗馬に向いています。
「クォーターホース」という短距離のスプリントやロデオ、乗馬に優れている種も存在しますね。
競走馬以外では、「シャイア」という重い荷物や馬車を引くのに適した大型の馬や、独特の斑点が特徴的で主に牧場作業などで活躍してくれる「アップルーサ」が代表的な種です。
他にも個性的な馬が多くいるので、興味があればぜひ図鑑などで詳しく調べてみて下さいね。

視力と聴力

馬の視力は、人間と比べると物を鮮明に見るという点ではやや劣るものの、動体視力が優れており、広範囲を警戒するのに適した視界を持っています。
視界は、目が頭部の側面に位置していることから、ほぼ死角のない約350度に及び、捕食者に対して迅速な対応が可能です。
特に黄色、緑、青を識別する能力に長けており、これは食べ物の探索や他の馬とのコミュニケーションに役立ち、紫外線も感知できるため、夜間の視認性が高いことでも知られています。
その一方で、赤色の識別が難しいとされていますが、これは低照度環境や夜間の視認性に適応しているためです。

そして馬の耳は非常に柔軟で、最大約180度の回転が可能です。
この能力は遠く離れた場所からの音や、地表を伝わる微小な振動を感知し、超音波も聞き取れるため、視覚と合わせて捕食者などの脅威をいち早く察知するのに役立ちます。馬を観察する際は、ぜひ耳の動きにも注目してみて下さい。

嗅覚

嗅覚も他の感覚と同様かなり発達しており、人間と比べて約1,000倍の感度を持っているといわれています。
この嗅覚を利用して自分の子供や他の群れのメンバーを識別したり、食物の新鮮さや品質を判別したりと、多くの情報を得ているのです。
また、特定の人間の匂いを覚え、安心感や親近感を覚える能力もあり、それが飼育者やトレーナーと良い関係を築ける理由にもなっています。

寿命

馬の寿命は、品種、飼育環境、健康管理など様々な要因によって大きく異なりますが、大型馬よりも小型馬やポニーのような品種の方が比較的長生きする傾向にあります。
平均寿命は約20年から30年ですが、最も長いものではイギリスの「オールドビリー」という馬が、なんと62歳まで生きた例があります。
飼育下で寿命を延ばすためには、獣医による定期的なチェック、適切な餌と水やり、適度な運動が必要で、清潔で安全な環境にいる馬はストレスが少なく、健康的な生活が送れるため、長生きする可能性が高まります。

馬の生活スタイル

食性と好物

馬は前述したとおり草食動物です。
草や干し草を主食としているため、消化器系は草類を効率よく消化するよう進化していますが、果物などの甘いものに対しても好みを示します。
馬の好物と言えば「ニンジン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
よく物語やアニメなどの描写にもあるように、実際にニンジンをご褒美として使い、訓練やケアの際の動機付けとする場合があります。
その他、穀物を活動的な馬や競走馬のエネルギー源として与えられるケースも多いですね。
馬の食事は、年齢、体重、健康状態、活動レベルに合わせて調整し、慎重な管理が必要です。

睡眠パターン

一般的に馬の総睡眠時間は1日に約3時間程度とされており、これは他の哺乳類と比較してかなり短い部類に入ります。
この短い睡眠時間は野生の環境に適応した結果であり、敵からの攻撃を避けるために長時間の深い睡眠を取らないようにしているのです。

睡眠時の姿勢は大きく分けて二つあり、一つ目は立ったまま睡眠をとる「立ち寝」と呼ばれるもので、立った状態で軽い眠りにつきます。
立ち寝はとても浅い睡眠で、いつでも素早く起きて逃げる準備ができるという姿勢です。
二つ目は、地面に腹這いになって眠る「伏せ寝」というもので、深い睡眠をとる際に見られる姿勢です。
この睡眠は身体の回復に不可欠ですが、伏せ寝は立ち上がるのに時間がかかるため、安全で落ち着いた環境でのみ行われます。
群れでの生活をする中で、他の個体が周囲を警戒している間に安心して伏せ寝をするのです。

馬の行動とコミュニケーション

馬は通常、穏やかで友好的な動物ですが、ストレスや不安を感じる状況では稀に攻撃的な行動をとります。
特に、噛む行動は警告や自己防衛として、蹴る行動はより直接的な脅威に対する強い反応として起こり、これらの行動を示す時は、何らかのストレスや不安、不快感を覚えているサインである可能性が高いです。

私たち人間と馬の接触においては、適切な関わり方を理解し、安全のために注意を払うのが重要で、馬を驚かせないよう、特に大きな音や突然の動作は避けましょう。
馬は視界が広いものの、直接背後を見られないため、死角からの接近を避ける必要があり、接近する際は前方からゆっくりと近づくことが望ましいですね。
また、人の感情や意図を感じ取れるとされているため、触れ方や声のトーンなども穏やかで安心させるように接するよう心掛けましょう。

飼育者やトレーナーはこれらの行動原則を理解し、馬が感じるストレスを最小限に抑えて関係を構築しています。
馬の社会的特性に合った教育方法を実践することで、人間と強い絆を持つパートナーとして成長してくれるのです。

馬と直接関わりを持ってみよう

このように馬は元々、野生の中で群れで生活する社会的な動物でしたが、今では私たち人間の生活にとって欠かせない存在となっていますよね。
ただ、その一方で現在では野生の馬がいなくなってしまい、保護活動の一環として野生に返すプロジェクトも行われています。

日本では、乗馬クラブや地域の農場を通じて直接触れ合えるので、興味があればぜひ訪れてみて下さい。
馬との交流は、新しい感動や発見があるかもしれませんよ!

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知る・学ぶ 2024-04-23

ペットとは一生一緒に! どうしても飼えなくなったらやるべきこと

犬や猫に限らず、最近はさまざまな動物がペットとして飼われています。サル、キツネ、フクロウなど珍しい種類も飼育されるようになり、SNSや動画サイトで見かける人も多いでしょう。
それと同時に注目されつつある問題に「ペットの野生化」があります。飼育できなくなったペットを無責任に野に放つことによって起きる問題です。

この記事では、ペットの野生化が引き起こす自然界への問題、どうしても飼育できない事情ができたときの対応法などについて詳しく解説します。

ペットの野生化とは?

ペットの野生化とは、ペットが何らかの事情で飼育されなくなり、もともと生息地ではない環境に住み着いてしまうことです。野生化のほか、移入とも言われます。
野生化したペットはさまざまな問題を引き起こす可能性があり、実際に問題が顕在化している事象も確認されています。

場合によっては地域の生態系をおびやかす危険があることも事実です。特にそのような危険が高い動物は「侵略的外来種」と呼ばれます。
侵略的外来種は飼育放棄されたペットに限りませんが、なかにはアメリカザリガニやアライグマのように、もともとペットとして飼育されていた種も混ざっています。

野生化する原因1:海外からの流入

ほかの環境で生息していた動物が野生化する原因は、大きく分けて2つあります。
ひとつは本来の生息地以外(海外や国内のほかの地域)から届く貨物や移動してくる人に付着していたり、混入していたりなど、意図的ではない流入があることです。
この場合はペットの野生化ではなく、他地域から人の生活の流れによって移動してきたといえるでしょう。動物に限らず、貨物を運ぶ船舶に付着した海藻が移動してくることもあります。
しかし生態系に影響を及ぼす可能性は否定できないため、近年では大きな問題としてとらえられていることも事実です。

野生化する原因2:ペットの脱走や飼い主の飼育放棄

ペットや家畜が逃げ出したり、飼い主が飼育放棄をしたりするなどの事情で野生化することもあります。飼育できない環境や事情になったからといって放棄するのは非常に無責任ですが、残念ながらそのような飼い主がいることも事実です。
野生化したペットのなかには、住み着いたエリアで繁殖を繰り返し、本来そのエリアで営まれていた生態系を大きく変化させてしまうものもあります。
それだけではなく、そのエリアで暮らす従来の生物を捕食し、固有種の存続をおびやかしてしまうことも否定できません。
例えばペットのエサとして輸入されていたトカゲのグリーンアノールは、逃げ出したり捨てられることによって日本で繁殖し、固有種である蝶のオガサワラシジミを絶滅させた可能性が高いと言われています。

ペットが野生化することで生まれる問題

ペットが野生化することによって生まれる問題は多く、人間にとっても動物にとっても被害が出るケースは少なくありません。人間社会への被害や生態系の変化、動物自身の安全など、いくつもの問題をはらんでいます。

人間社会に害を及ぼすことがある

野生化したペットの生きるための行動が、人間社会に被害を与えることがあります。その結果、ペットとして飼育することができなくなり、害獣認定されてしまうケースも生まれているのです。
顕著な例としては北米のアライグマです。かつて日本ではアライグマをペットとして飼うブームが起こりました。
幼少時のアライグマは人間になつき、かわいらしさも相まって大人気でしたが、成獣になると気性が荒くなるため飼育放棄をする飼い主が増え、野生化と繁殖が進みます。
その結果、農作物や家屋に被害が出るようになり、いまでは害獣として駆除が進められることになってしまいました。学術研究や展示目的以外での飼育も禁じられ、ペットとして飼うことはできなくなっています。

生態系を変化させてしまう

捕食や繁殖の規模が大きく、生態系、自然環境に重大な影響を与えることもあります。このような種は侵略的外来生物や特定外来生物のカテゴリーに分類され、駆除対象になるケースが少なくありません。
たとえば沖縄ではハブの駆除を目的に、アフリカやインドなどに生息するマングースを迎え入れ、地域に放ちました。
しかし、繁殖したマングースは人々の期待に反してハブ退治には効果がなく、それどころか固有種のヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど、貴重な動物を捕食するようになったのです。
結果として特定外来生物に指定され、駆除が進められるようになりました。
マングース自身には何の問題もないはずが、人々の都合と野生化によって害獣扱いされるようになってしまっています。
飼育するべき人間の責任放棄や無計画な受け入れは、何の罪もない動物を苦しめ、人間社会にも影響を及ぼす可能性があることを知っておかなければいけない例だといえるでしょう。

動物によっては生きていけないこともある

いままでペットとして飼育されてきた動物が野に放たれた場合、自分の力では生きていけないこともあります。
人間の家という安全な環境で食事をもらって快適に生きてきたペットが、外の世界で突然暮らすことになったらどうなるでしょうか。
狩りの方法や外敵から身を守る方法も知らない元ペットは、野生化したといっても生き方が分からず、場合によっては最悪の事態になってしまうことも考えられます。
人間の都合で飼育を放棄する行為は動物愛護観点からも誤ったものであり、絶対に避けるべきでしょう。

どうしても飼い続けられない時にできること

飼い始めは一生面倒を見るつもりだった人も、やむを得ない事情でペットを手放さなければならないことがあるかもしれません。
そんなときには野生化させるのではなく、できる限りの対応をしてみてください。

どんな事情があっても捨てない

「捨てない」ということは必ず意識しておきましょう。
日本には「動物の愛護及び管理に関する法律」があります。この法律では愛護動物(ペット)の飼育放棄を禁じており、違反した場合には100万円以下の罰金を支払う必要が生じるとされています。
法律面、金銭面でもペットの遺棄は飼い主にとって大きな問題をまねきます。
「どうしても飼えなくなった」という事情があっても決して捨てず、次項の動物愛護センターや行政の窓口に相談してください。

動物愛護センターや行政に相談

各自治体の窓口や動物愛護センターでは、飼えなくなったペットの面倒を見たり、次の飼い主を探すサポートをしたりするシステムが整えられています。
引っ越しや飼い主の高齢化などさまざまな事情に対応しやすいため、必要であれば相談を検討しましょう。

基本は「終生飼育」を意識して

ペットは寿命まで飼育する「終生飼育」が求められています。飼う前に「自分がペットの寿命を見届けてあげられるか」ということをよく考えましょう。
「飼う前から」考えておくことも、ペットの野生化を防ぐための重要な対策になります。

一度迎え入れたら最後まで! ペットの野生化は重大問題

ペットの野生化は日本だけではなく、世界でも問題視されています。従来の生態系をおびやかしたり、人間社会に被害を与えてしまったりなどの影響があり、ときには害獣として駆除対象になってしまうこともあるほどです。
ペットは人間に幸せを与えてくれる大切な存在であり、野生化してうとましがられるために生まれたわけではありません。一度生活に迎え入れたら最後まで愛情を持って飼育しましょう。

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美容・健康 2024-04-17

動物もアレルギーになるの? その原因と気をつけたい症状について

花粉アレルギーに悩まされる人も多い季節。アレルギーというと人間の身体反応だと思うことが多いのですが、動物にもアレルギーはあります。ペットの様子を見て「普段よりもかゆがっている」「何だかつらそう」と思ったら、それはアレルギー反応が起きているのかもしれません。
人間と違って言葉で伝えられないペットが長く苦しまないように、動物でも起こり得るアレルギーや対策について詳しく知っておきましょう。

今回は、動物が発症する可能性のあるアレルギーについてご紹介します。

動物は本当にアレルギーを起こすの?

人間と同様に、動物もアレルギーを起こすことがあります。アレルギーが発症する仕組みは人間も動物も基本的に同じなのですが、現れる症状が異なるのが特徴です。
花粉症やハウスダストアレルギーなど、人間のアレルギー症状として有名なものをイメージしてみてください。多くはくしゃみ、咳、鼻水など、呼吸や鼻に関するものが多いですよね。
一方、動物(特に犬)は症状が皮膚に現れることが多く見られます。身体をかきむしる、特定の場所を舐める・咬む、頻繁に顔をこするなどの様子が見られたら要注意です。
また、食物アレルギーも人間と動物に共通するアレルギーです。人間は皮膚のほか嘔吐や下痢のような症状が出ますが、動物は一般的に前述のような皮膚症状が多く出ます。

動物はかゆみのような身体の異状を我慢できないため、症状が出ている場所をかく・舐めるなどの行動を続けてしまいます。症状で弱っている箇所をさらに傷めて悪化させてしまいかねません。
飼い主が見ただけではアレルギーと判断することは難しく、場合によってはほかの病気が隠れている可能性もあります。「最近、身体をかいたり舐めたりすることが増えているな…」と気づいたら、かかりつけの動物病院へ相談してみてください。

動物はどんなアレルギーがある?

動物も人間と同じく複数のアレルギーがあります。ここでは飼育数が多い犬のアレルギーについて見てみましょう。

食物アレルギー

食物アレルギーは人間と同様、特定の食品が持つアレルゲンに免疫が過剰反応して起こります。
アレルゲンはおもにタンパク質であることが多く、もしも疑いのある様子を見せた場合には普段の食事(ドッグフードなど)やおやつの成分を確認してみましょう。
特に発症する可能性があるものは、鶏肉、牛肉、卵、乳製品、穀物類(小麦、大豆など)になります。

ノミアレルギー

ノミアレルギーは主に「ノミアレルギー性皮膚炎」に関係しています。皮膚に寄生したノミの排泄物や、吸血時に体内に注入される唾液が過剰な免疫反応を引き起こすことが原因です。
かゆみが強く、ノミが寄生している場所に蕁麻疹や発疹が起こる特徴があり、場合によっては脱毛するケースもあります。ノミが1匹でも症状が出ることがあり、飼い主にとっても厄介なアレルギーでしょう。
発症が多い時期はノミが多い夏から秋が一般的です。しかし暖房を使用する冬にも起こる可能性があるため、普段と違う様子を見せたら注意して観察しましょう。

通常疥癬

通常疥癬の原因もノミが該当します。この場合は「イヌセンコウヒゼンダニ」というダニがアレルギーを引き起こす存在です。
目で確認することが難しいほど小さなダニのため、飼い主がなかなか原因に気づかないケースもあるかもしれません。
やはり強いかゆみをともない、犬によっては皮膚をかきこわすほどかきむしってしまうこともあります。

皮膚炎

アトピー性皮膚炎やマラセチア性皮膚炎が該当します。
アトピー性皮膚炎はハウスダストや花粉などが原因で起こるアレルギー反応で、かゆみが長く続くことが特徴です。発症は比較的早く、生後半年で見つかることもあります。
マラセチア性皮膚炎はかゆみや外耳炎、べたついたフケを引き起こします。
原因は常在菌で、普段から皮膚に生息しているものです。しかし加齢や病気などで皮膚の免疫力が落ちているとき、異常増殖して皮膚炎を引き起こしてしまいます。
マラセチアは皮脂をエサにしているため、皮脂の分泌が多いタイプのペットは注意が必要になるでしょう。

アレルギーは治してあげられる?

大切なペットがアレルギー症状に苦しんでいる姿を見ると、一刻も早く治してあげたいと思う飼い主がほとんどでしょう。残念ながら人間同様に完治は難しく、動物病院でも基本的に対症療法が選択されることがほとんどです。

しかし、環境で起こるアレルギーであれば環境改善によって症状を軽減したり、発症しにくくしたりすることも可能です。
小まめなブラッシングや部屋の掃除でアレルゲンを減らす、アレルゲンが多い散歩コースを変更するなど、できることから取り入れていきましょう。

ペットがアレルギーになったときの対処法

ペットがアレルギーになったときには症状を軽減させる環境作りが大切です。
かかりつけや動物のアレルギーに詳しい獣医師さんと相談し、対処についてアドバイスをもらいながら、ペットにとって快適な環境作りを目指しましょう。
ここでは、代表的なアレルギーの対処法として効果が期待できる方法についてご紹介します。

食物アレルギー

食物アレルギーがタンパク質であった場合、それまで食べさせたことのないタンパク質が材料に使われているフードをあげてみましょう。自己判断が難しい場合は必ず獣医師さんに相談してみてください。
また、人間が食べるものに含まれたアレルゲンが空気中や床に飛散しないように気をつけることも大切です。意図しなくても体内にアレルゲンを取り込んでしまい、症状が出る可能性が考えられます。

ノミアレルギー・通常疥癬

ノミアレルギーと通常疥癬はどちらも原因がノミのため、薬で駆除する方法が一般的です。獣医師さんによってはステロイド剤のような対処薬を使い、かゆみをおさえることもあります。
ブラッシングやシャンプーで寄生しているノミや排泄物を取り除くことも大切です。
普段よりも丁寧にブラッシングしたり、散歩のあとはすぐにブラッシングしたりするなど、早くノミや排泄物が身体からなくなるようにひと手間かけてあげましょう。
ノミは繁殖力が高いことも厄介な特徴です。ほかにも同居しているペットがいる場合、ノミの駆除が確認できるまでは隔離しておいたほうが安心でしょう。

皮膚炎

アトピー性皮膚炎は薬を使ったり、スキンケアを念入りにしたりするなどの方法が採られます。ステロイド剤などを使ってかゆみをおさえ、スキンケアで皮膚の防御機能を高める方法です。
マラセチア性皮膚炎も同様で、薬で過剰なマラセチアを減らし、エサになる皮脂を過剰に分泌させないようにスキンケアを取り入れます。
いずれも薬とスキンケアが必要になり、飼い主の負担も大きくなりますが、大切なペットのためにぜひ意識してあげてください。

変化に気づいたら動物病院へ! アレルギーからペットを守ろう

アレルギーでつらい思いをしていても、ペットは言葉で説明することができません。飼い主が様子を観察し、普段と違うと気づいたらすぐに確認してあげましょう。
アレルゲンの特定や対処法の選択には専門知識があったほうが安心です。「アレルギーかな?」と思ったら、かかりつけや動物のアレルギーに詳しい獣医師さんと相談してみてください。

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知る・学ぶ 2024-03-28

鳥はどうやって飛んでいる? 体の仕組みや様々な飛び方について

鳥たちが空を自由に飛び交う様子は日常生活の中でもよく見る光景ですが、どのような体の使い方をして飛んでいるのかご存知でしょうか?

今回は鳥が飛ぶために備えている体の構造や、飛び方の種類などについてご紹介します。

鳥はどのようにして空を飛ぶの?

鳥が空を飛ぶことには、活動範囲が広がる、エサ探しが楽になる、危険から逃れやすくなる、群れを作りやすくなる、季節ごとに移動しやすくなるなど、様々なメリットがありますね。
そんなメリットの多い「飛ぶ」という能力は、翼と筋肉の特殊な構造によって成り立っています。

翼は軽量でありながら非常に強度が高く、空気の流れを効率的に操り、主翼と呼ばれる部分で空気を捉えて揚力を生み出し、空中で身体を支えるのです。
また、尾羽は方向を変える際に使用され、操縦の精度を高める役割を果たします。
表面の構造は抵抗を最小限に抑えるように設計されており、空気の流れを滑らかにし、飛行の効率性と機動性を高めるために精密に設計されているのです。

必要な筋肉は、胸部にある強力な大胸筋と小胸筋で、体重に対しての比重が大きく、羽ばたきの主要な力となっています。
大胸筋は羽ばたく際に翼を下げる力に使用し、小胸筋は翼を上げる動作を助け、長距離を飛ぶ際や急速に高度を変える際に必要な力を生み出しているのです。

飛び方には、エネルギー効率を最適化するための多様な戦略があります。
例えば、翼を広げたまま羽ばたかずに滑ることで、最小限のエネルギーで長距離を飛行したり、筋肉の瞬発力を利用して急速に羽ばたいたりして速度や高度を調整します。
飛行中のエネルギー消費を管理しながら、必要に応じて速度や方向を変えることができるのですね。
また羽根の形状や種類は、それぞれの鳥が生息する環境や生活様式に適応していて、多種多様です。

飛ぶ際に必要な筋肉を動かすためには当然エネルギーを消費しますが、主に食物から得られる糖や脂肪によって供給されます。
鳥たちは、飛行中に必要なこのエネルギーを効率よく使用できるような体に進化してきました。
例えば、滑空や上昇気流を利用してエネルギー消費を抑える鳥や、羽ばたきのパターンを変えることで、エネルギーの使用効率を最適化する鳥がいます。

このように、翼と筋肉の構造、エネルギーと運動の要素が複合的に機能することで、鳥は空を自由に飛び回ることができます。

鳥は種によって飛び方が違う?

鳥の飛行する能力は進化の過程で得たもので、種によって飛び方が異なります。
異なる理由は、それぞれの種が生息する環境や餌の種類、捕食者から逃れるための戦略に適応した翼の形状、筋肉の構造になったためです。

ここでは、いくつかの代表的な飛び方とその特徴をご紹介します。

はばたき飛行

最も一般的な飛び方で、連続的に翼を羽ばたかせて空中を飛び回ります。
スズメやハトなどが身近な代表例で、これらの鳥は羽ばたきを用いて、短距離を素早く移動します。

滑空飛行

羽ばたきをせずに翼を広げて滑るように飛ぶ方法で、エネルギー効率が良く、長距離の移動に適しています。
カモメやトンビなどがよく使う飛び方で、滑空を利用することによって、少ないエネルギーで長い距離を移動できるのが特徴です。

多くの鳥は、「はばたき飛行」と「滑空飛行」を使い分けながら飛んでいます。
特に多くの海鳥や渡り鳥がこの飛び方で、一定の距離を滑った後で翼を羽ばたかせて再び高度を上げます。

ホバリング

空中で静止するように飛ぶ技術で、高速で羽ばたくため、エネルギー消費が激しく、短時間のみ行われます。
ハチドリが代表的で、花の蜜を吸う際にこの技術を使って空中で静止します。

ダイビング

高いところから急速に降下して獲物を捕らえる飛び方で、非常に速い速度で降下するため強い攻撃力を持ちます。
最も代表的なのはハヤブサで、空中から獲物を目掛けて急降下し、驚異的な速さで捕らえます。

直線飛行

強力な羽ばたきで長距離を直線的に飛ぶスタイルで、主に海鳥が長距離を移動する際にこの飛び方を使用します。

バウンディングフライト(波状飛行)

空中で翼を畳んで一時的に落下し、その後で翼を広げて再び上昇する、という一連の動作を繰り返すものです。
この方法は、エネルギーの効率的な使用に役立つと考えられている飛び方です。

これらの飛び方は、それぞれの鳥が環境に適応し生き延びるために編み出され、発達してきました。
鳥の飛行技術は、食料の探索、捕食者からの逃避、繁殖地への移動まで、生存に直接関わる多くの側面をサポートしているのです。

速く飛ぶ鳥は?

最速の記録を持つのはハヤブサです。
ハヤブサはダイビング時に時速390キロメートル以上に達することが報告されており、これは鳥類の中で最速です。
体を細長い形状にし、空気抵抗を最小限に抑えることでこの速さを出せるようにできています。

ツバメも俊敏で速い飛行ができる鳥の一種で、特に獲物に襲いかかる際に高速飛行が見られますね。
他にも、直線飛行で高速を記録する種や、急降下時に驚異的な速度に達する種など、特定の飛び方で速さを発揮する種も存在します。

群れ飛行をする理由

カモや白鳥を含む多くの鳥類が群れを成して飛行するのには、いくつかの理由があります。
一つは、捕食者からの防御で、群れで行動することによって個々の鳥が捕食者に狙われるリスクを分散できます。
また、群れ飛行はエネルギー効率を高める効果もあり、例えばV字形で飛行すると、前にいる鳥が作った上昇気流を後ろにいる鳥が利用でき、飛行が助けられるという仕組みができあがります。
この協調行動は、長距離の移動において特に重要ですね。

鳥以外に飛べる生物は?

鳥以外にも飛べる生物は存在します。これらの生物も独自の進化をたどり、空中を移動するための方法を発達させてきました。
以下は、鳥以外で飛べる代表的な生物たちです。

昆虫

チョウ、ハチ、トンボ、セミなど、昆虫類は最も早くから飛行能力を獲得した生物群の一つです。
非常に軽量で、空気力学的に効率的な翼を持っており、速い羽ばたきや、一部では滑空を使うこともあります。

コウモリ

コウモリは哺乳類で唯一、自力で飛行できる動物です。
コウモリの翼は、非常に薄い皮膚が前肢から胴体、後肢、尾まで伸びており、高い飛行能力を持っています。

トビウオ

トビウオは水面から跳ね上がり、翼のように広がる胸びれを使って空中を滑ることができる魚です。
これによって、捕食者から逃れたり、餌を探したりできます。

爬虫類

一部のトカゲは、脇の下にある折りたたみ可能な襟状の皮膚を広げて滑空することができます。
これは主に、木から木へと移動する際や、捕食者から逃れる際に使用されます。

モモンガ

モモンガは、前肢と後肢の間にある特殊な皮膜を広げて、木から木へと滑空します。
この方法で長距離を移動し、捕食者から逃れたり、食料を探したりしています。
モモンガもコウモリと同じ哺乳類ですが、モモンガの場合は飛行はできず、滑空のみです。

これらの生物は、飛行という共通の能力を持っていますが、構造や飛び方が大きく異なり、進化の多様性を示していますね。

飛んでいる鳥を見たら注意深く観察してみよう!

鳥がどのように体を使って空を飛んでいるのか、お分かり頂けたでしょうか?
自由に空を舞うために、鳥たちは強力な筋肉と精密に設計された翼、エネルギーと効率的な運動の仕組みを体に備えています。
近くにいる鳥や動物園にいる鳥を見てみると、飛び方の違いを発見できて面白いので、ぜひ観察してみて下さいね!

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知る・学ぶ 2024-03-25

黄色いリボンは何のサイン? 犬を守る「イエロードッグプロジェクト」

黄色いリボンをつけてお散歩している犬を見かけたことはありませんか? もしかすると「イエロードッグプロジェクト」に関わる犬かもしれません。
その場合は周囲の人の配慮が必要になる可能性もありますが、聞き慣れない人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、イエロードッグプロジェクトについて詳しく解説します。

犬を守るイエロードッグプロジェクト

イエロードッグプロジェクトは、一部の犬を守るために立ち上げられたプロジェクトです。より多くの犬が安心して外出や散歩ができるよう、その概要や歴史について知っておきましょう。

イエロードッグプロジェクトとは?

散歩中の犬のリードに黄色いリボンがついていたら、それは「近づかないでほしい」「そっとしておいてほしい」という意思表示です。これは飼い主のわがままではなく、なんらかの事情を抱える犬をストレスや衝撃から遠ざけるためにつけられています。
ただ、近づかないでほしい理由は決してその犬が攻撃的だからではありません。むしろどちらかといえば、近づくと怖がったり、ストレスを感じたりしてしまう状態の犬がイエロードッグプロジェクトに参加しています。
リードに黄色いリボンをつけた犬を見かけたら、声をかけたい気持ちをぐっとこらえ、少し離れた場所から静かに見守ってあげましょう。愛犬との散歩中にすれ違ったときには、愛犬も同じように見守ってあげられるように導いてあげてください。

イエロードッグプロジェクトの歴史

イエロードッグプロジェクトは2010年代にスウェーデンで始まりました。オーストラリアでほかの犬や人に対して強すぎる興味を示したり、ストレスを感じたりする犬に目印をつけていることを知ったスウェーデンの学者が提唱したことがきっかけです。
この活動には早い段階から賛同者が集まり、犬を愛する人々の間で積極的に取り入れられるようになりました。最近は日本でも認知度が高まり、取材メディアや口コミなどを通して、一般の人の間でも知られるようになりつつあります。
リードについた黄色いリボンは「事情があるため距離を取ってほしい」という意思表示です。見かけた時にはぜひ意識してあげてください。

こんなアイテムを身につけている犬には配慮を

配慮が必要な犬のリードにつけられているのは黄色いリボンだけではありません。最近は大きめのタグやワッペン、サコッシュなども見かけるようになりました。
タグやワッペンにはメッセージが記載されていることも少なくありません。たとえば分かりやすく「近づかないでください」と書いてあるものや、「治療中です」「トレーニング中です」などの事情説明がされていることもあります。
いずれにせよベースには黄色が使われているため、イエロードッグプロジェクトに参加している犬(イエロードッグ)であることは分かりやすくなっています。リボン以外でも認識できるグッズがついている場合には、イエロードッグが飼い主さんと安心して散歩できるよう、そっと見守ってあげましょう。

なぜ黄色いリボンをしているの? イエロードッグの特徴

黄色いリボンをしているイエロードッグはそれぞれ個々の事情を抱えています。いくつか代表的な事情をご紹介します。
また、このほかにもなんらかの事情で黄色いリボンをつけているイエロードッグもいるかもしれません。見かけた時には「何かあるんだな」と考えることが一番の助けになるでしょう。

健康上に問題を抱えている、治療中である

身体に健康上の問題があったり、手術をしたあとだったりした場合(回復期の場合)、ほかの犬や人に近づいてほしくないときがあります。接近に興奮して激しい動きをすると、体調悪化や手術後の傷口に悪影響が出てしまう可能性が考えられるためです。
仲良しの犬とすれ違っても、イエロードッグのマークをつけているときには遊びを遠慮して、改めて元気に遊べる機会を待ちましょう。その配慮に、飼い主さんもきっと喜んでくれるでしょう。

社会復帰のトレーニング中

なんらかの事情で社会になじむトレーニングが不十分なまま大きくなった犬は、改めてトレーニングが必要になることがあります。また、残念ながら虐待が理由で社会から遠ざかりたがる犬もいます。
そのような犬も社会で快適に暮らせるようにするためには、社会復帰のトレーニングが重要です。トレーニング中はほかの犬や人とうまく関わることが難しいため、イエロードッグは黄色いリボンをつけて外出します。
社会復帰のトレーニング目的で黄色いリボンをつけているイエロードッグは、ほかの犬や人が親しみの気持ちから気軽に近づくと、適切な行動ができない可能性が否定できません。
トラブルの原因になり、どちらも哀しい思いをしてしまうことがあります。社会復帰のトレーニングをしているイエロードッグを見かけたら、心の中で「がんばれ!」と応援してあげてください。

ほかの犬や人間が怖い、過剰反応してしまう

犬の性格はそれぞれで、なかにはほかの犬や人に好奇心を持つあまり、過剰な反応をしてしまう犬もいます。
飛びついたり吠えかかったりなどの行動はトラブルの元になるため、ほかの犬や人から遠ざけておきたいと考える飼い主さんもいるでしょう。そのような場合にもイエロードッグとして黄色いリボンをつけることがあります。
また、その反対のケースもあるでしょう。性格や過去のトラウマから、ほかの犬や人を過剰に怖がる犬もいます。パニックの原因になってしまうため、やはり遠ざけておきたい、そっとしておいてほしいと願う犬や飼い主さんもいることもあると覚えておきましょう。

介助犬のトレーニング中

イエロードッグの中には、介助犬になるためのトレーニングをしている犬もいます。盲導犬、聴導犬をはじめ、セラピードッグなど、訓練を積んだ犬の仕事振りを見て頼もしいと感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
トレーニング中、好意でも声をかけたり飼い犬が交流したがったりすると、イエロードッグの気が散り、訓練の効果が薄れてしまうことがあります。立派な介助犬になれるよう、交流したい気持ちを我慢して、心の中で応援してあげましょう。

愛犬がイエロードッグでは?と感じたら慎重な対応を

イエロードッグの特徴を知り、「もしかすると自分の飼い犬もイエロードッグかも…」という疑問を持つ人もいるかもしれません。確かに、周囲の配慮が必要な行動をする犬がいることも確かです。
しかし、必ずしもイエロードッグであるとは限りません。むしろあらためてしつけをしたり、外部との関わり方を変えてみたりするだけで、今までとは違う前向きな行動になる可能性もあります。

すぐにイエロードッグだと判断する前に、獣医さんやイエロードッグの活動をしている団体などに相談してみることをおすすめします。

少しの配慮でイエロードッグが安心できる環境を!

イエロードッグはさまざまな事情を持った犬たちです。そんな犬たちを支援するイエロードッグプロジェクトは、わたしたちの少しの配慮と協力で大きな効果を発揮することにつながるかもしれません。
犬は社会で人と幸せに暮らせる性質を持った動物です。黄色のリボンをつけた犬を見つけたら、その犬が幸せに暮らせるよう、少しだけ配慮してあげてください。

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暮らし 2024-03-21

寒い時期には注意して! ペットの低温やけどは気づきにくいことも

冷え込む時期には、ペットに暖房器具を用意してあげる飼い主さんも多いことでしょう。体調管理に効果的な暖房器具ですが、気がつくと低温やけどをしていることがある点には注意が必要です。

そこで今回は、ペットの低温やけどの症状や対策などについて詳しく解説します。

ペットも人間も気づきにくい低温やけどの怖さ

寒い季節には人間もペットも暖房器具が恋しくなるものです。湯たんぽや使い捨てカイロ、ヒーター、ストーブなど、色々な暖房器具を使って快適な環境を作り出すでしょう。
ただ、製品の注意書きに「低温やけどに注意しましょう」と記載されていることに気づいている飼い主さんも多いかもしれません。実は人間だけではなく、ペットの低温やけども注意するべきなのです。

低温やけどとは?

低温やけどは、高温で起こる一般的なやけどとは異なり、約44℃~60℃の低い温度に長時間接触することで生じてしまうやけどが該当します。
一番低い約44℃の場合、普通の人なら「お風呂のお湯にしては少し熱いな」と感じる程度であることが多く、やけどの原因になる可能性がある温度とは思い至らないかもしれません。
しかし、動物は人間よりも長い毛で身体が覆われています。長い毛は熱さを感じにくい性質があるため、動物自身が「熱いな」と感じないままじわじわと熱が皮膚にダメージを与えてしまうおそれがあります。

低温やけどになるとどんな心配があるの?

低温やけどは、一般的な高温によるやけどよりも痛みに気づきにくい特徴があります。そのため気づいたときには症状が進行しており、治るまで長期化してしまうことも少なくありません。
痛みに気づきにくいとはいえ、症状が進行すれば痛みを感じるようになることは当然です。治るまで長期化する場合、その痛みが長く続くということにもつながります。ペットが痛みで長く苦しむのは飼い主にとっても哀しいことでしょう。
また、気づくまでに時間がかかりすぎ、やけどの範囲が広がってしまうケースも。体表面積の2~5割以上にやけどを負ってしまうと、敗血症の恐れも生まれると考えておきましょう。
ペットのために用意した暖房器具が、逆に健康を損ねては元も子もありません。暖房器具の設置方法やペットに過ごさせる環境には注意が必要です。

こんな状態は要注意! ペットの様子をよく観察して

低温やけどはペット自身も気づきにくいため、普段と違った様子を見せないことも多く、飼い主の発見が遅れてしまうケースが少なくありません。
もしもペットに以下のような様子があれば、低温やけどを疑い、必要であればかかりつけの動物病院に相談してください。

1:身体の同じ場所を気にしている、舐めている
2:特定の場所の被毛がはげている
3:皮膚が赤くなっている、水ぶくれができている、めくれている

このような状態は、低温やけど以外でもペット自身のクセやほかの原因で見られるかもしれません。
しかし、低温やけどをした動物に見られる行動でもあり、獣医師さんも注意を促していることは少なくないことも事実です。
あてはまる様子があれば、できるだけ早くかかりつけの動物病院へ行くことをおすすめします。

低温やけどの原因は? 症状は?

低温やけどの原因や症状について詳しく見てみましょう。ペットだけではなく人間も同様の原因で低温やけどが起こるため、飼い主もペットと一緒に気をつけるようにしてください。

低温やけどは熱さの感じにくさが原因に

前述の通り、低温やけどは約44~60℃の低めの温度に長く接触することが原因で起こります。ホットカーペットやペットヒーター、湯たんぽ、こたつのような熱源に長く触れていると起こりやすくなります。
どの暖房器具も、寒い時期には人間もペットも好んで使うものではないでしょうか。使っている時は温かく快適でも、長時間使い続けると低温やけどの原因になるため注意が必要です。

症状の深さは4段階

低温やけどの症状は4つの段階に分類されます。

【Ⅰ度】低温やけどの中ではもっとも軽い症状です。皮膚が赤くなったりヒリつきを感じたりします。

【Ⅱ度】水ぶくれができ、強い痛みが生じる段階です。ペットがしきりに同じ場所を気にしていたり、舐め続けているような様子があれば注意が必要になります。
また、進行すると皮膚の壊死や神経の損傷、感染症なども心配される段階のため、早めの処置が必要です。

【Ⅲ度】深いやけどが起きています。皮膚や皮下組織に重大な症状が見られるため、必ずすぐにかかりつけの動物病院へ連れて行きましょう。

低温やけどに気づいたら?

ペットの低温やけどに気づいたら、もっとも大切なことはかかりつけの動物病院で診てもらうことです。もしも症状がひどく、布や異物が傷口に付着している状態でも、はがさずに受診してください。
受診までの間は可能なら冷水を入れたポリ袋で冷やしたり、流水で積極的に冷やしてあげるのも効果が期待できます。冷やしたあとは清潔なガーゼで患部を覆い、傷を保護してあげましょう。

ペットを低温やけどにしない予防のポイント

低温やけどが心配だからといって、暖房器具をすべて撤去する必要はありません。注意を払いながら上手に使えば、低温やけどを防ぎながら快適な環境を作れるようになります。

湯たんぽや使い捨てカイロはここに注意!

湯たんぽはそのまま置くのではなく、厚手のカバーをかけてあげましょう。直接触れると気持ちよいことは確かなのですが、低温やけどの原因になります。
また人間がよく使う、使い捨ての貼るカイロはペットの使用に向きません。こちらも低温やけどの原因です。どうしても使わせてあげたい場合には、湯たんぽと同じように厚手のカバーで包んであげてください。

暖房器具のそばで長時間過ごさせない

人間もペットも、温かいストーブやヒーターの前で長く過ごしたくなるものです。「こたつに入ったら出られない!」という人もいるでしょう。
しかし、暖房器具のそばで長時間過ごすことも低温やけどをまねきます。適度な時間が経ってもペットが暖房器具のそばから移動しない場合には、飼い主がほかの場所へ連れて行ってあげましょう。
エアコンを上手に使い、暖房器具のそばだけではなく、部屋中が温まる工夫をするのもおすすめです。暖房器具の周りに柵を作り、至近距離まで近づけないようにするのもよいでしょう。

定期的に身体をチェックしてあげる

低温やけどは初期段階で気づきにくいものです。特にペットは強い痛みのような大きな違和感を持つまで変わった様子を見せないかもしれません。その時点では進行している可能性が高くなっています。
暖房器具の前で過ごす時間が増えたと思ったら、定期的に身体をチェックしてあげましょう。赤くなっている部分や触れたら嫌がる特定の部分があれば低温やけどを疑い、早めに治療を始めることが大切です。

気づかないと怖い低温やけどは飼い主が注意しよう

低温やけどは気づきにくく、厄介なものですが、飼い主が注意することによって防げる確率は高くなります。
暖房器具の使い方や長時間の使用を避けつつ、万が一低温やけどになってしまった場合には、早めにかかりつけの動物病院で受診しましょう。

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知る・学ぶ 2024-02-28

両生類ってどんな生き物? 特徴や生態、爬虫類との違いについて

「両生類」と聞くと、どのような生き物を思い浮かべますか?カエルやイモリ、サンショウウオなど、水辺で見かける可愛らしい生き物たちのことです。
そんな両生類ですが、具体的にどんな生態や特徴を持っているのかご存知でしょうか。

今回は、両生類の特徴や種類、生態、外見がよく似ている爬虫類との違いなどについて詳しくご紹介していきます。

両生類とは

両生類は、その名の通り「二つの生活」を意味する言葉からきています。
幼生期には水中で呼吸をし、成長すると陸上で生活するようになるという、一生のうちに大きな変化をすることが特徴です。
生まれた時は水中でエラ呼吸をし、成長すると陸上での生活に適応するため肺呼吸に移行します。

カエルを例に取ると、初めにオタマジャクシとして生まれ、水中でエラ呼吸をします。
しかし成長に伴い、後肢を発達させ、次いで前肢が現れ、エラが退化して肺呼吸になるのです。
また、柔らかく湿った皮膚から皮膚呼吸も行います。
その皮膚は乾燥に弱いため、生活場所は、池、川などの湿った環境が主で、常に湿度の高い場所を好むのです。

成体になると陸上生活をすることが基本ですが、例外として一部のサンショウウオは成長しても陸上生活に移行せず、一生を通じて水中で過ごす種もいます。
これらがなぜ両生類に分類されているとかというと、稀に陸上生活に移行する個体があるためです。

両生類と爬虫類は何が違う?

両生類の一種である「イモリ」と姿形がよく似ている「ヤモリ」や「トカゲ」がいますが、これらは爬虫類に分類されます。
一見似ているように見える種でも生態には大きな違いがあります。

生活環境

まず生活環境の面から見ると、両生類は水辺の湿った環境を好みます。
これは湿った皮膚を通じて呼吸するため、常に湿気を保ち、生活の一部または全てを水中で過ごす必要があるからです。
一方、爬虫類は肺呼吸のみで生きており、乾燥した環境にも適応しているため、湿度の高い場所よりも乾燥した岩場や砂漠、草原などで見られることが多いですね。

皮膚

両生類の皮膚は薄く、ウロコ、甲羅、体毛を持たず、体は粘液で覆われた柔らかい皮膚を持っています。
これに対し爬虫類は、硬いウロコや甲羅で覆われており、乾燥に強いです。

繁殖方法

両生類の多くは水中に卵を産み、ゼリー状の物質で覆われており、乾燥から保護されています。
一方で、爬虫類は硬い殻で覆われた卵を産む種がほとんどで、陸上での生活により適応していますね。

両生類と爬虫類の共通点は?

上述したように両生類と爬虫類では異なる生態を持っていますが、共通点も持っています。

卵から生まれる

まず、両生類と爬虫類は両者とも卵から生まれることです。
陸上で生活する多くの生物に共通していますが、爬虫類と両生類では特に大きな共通点でしょう。
両生類は水中に卵を産み、爬虫類は地上に卵を産む種が多いです。

変温動物である

爬虫類と両生類は、変温動物(冷血動物)としての性質も共通しています。
変温動物は、体温が周囲の環境温度に強く依存するものです。
これは、自らの体温を内部で調節する能力が限られている、または全く持っておらず、体温を調節するために環境内で特定の行動を取る必要があります。
例えば、暖かい場所で日光浴をすることで体を温めたり、影に隠れたり水中に潜ることで体温を下げたりします。
このような行動により、活動に適した体温を維持し、生存と繁殖のために必要な条件を確保するのです。
両生類は湿度の高い場所で体温を保つことが多く、爬虫類は日光浴をすることで体温を調節することが多いですね。

この動物は両生類? それとも爬虫類? 見分けるポイント

自然の中で両生類や爬虫類のような外見をしている動物を見かけた際に、「この動物は両生類?それとも爬虫類?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
ここでは、両生類と爬虫類を見分けるためのポイントをご紹介します。

皮膚

まずは皮膚をチェックしてみましょう。両生類の皮膚は湿っていて柔らかいのが特徴で、触ると少しヒンヤリとしていることが多いですね。
一方、爬虫類の皮膚は乾燥しており、鱗で覆われて硬いです。この違いは、一目見ただけでも比較的判断しやすいでしょう。

次に目を見てみましょう。多くの両生類は、目が大きくて外側に突き出ています。
これに対して、爬虫類は目が平らで、瞼によって保護されていることが多いですね。また爬虫類の中には瞬膜(まばたきをするときに目を保護する薄い膜)を持つ種類もいます。

生活環境・行動パターン

そして、生活環境も重要なポイントになります。水辺や湿った場所で見かける場合は、両生類の可能性が高いです。
逆に乾燥した環境や岩場、砂漠などで見かける場合は、爬虫類である可能性が高いと考えられます。

行動パターンも参考になります。例えば、湿った場所で活発に動いている場合は、両生類であることが多いですね。
一方、太陽の下でじっとして体温を調節している動物は、爬虫類の可能性が高いです。

これらのポイントを押さえておけば自然の中で出会ったときに判別しやすいでしょう。

両生類の種類は?

両生類には様々な種類が存在し、それぞれに異なる特徴と生態があります。

カエル

カエルは両生類の中でも最も多様で、世界中の様々な環境に適応しており、強力な後脚を使った高い跳躍能力を持つことで知られています。
カエルの多くは水中で卵を産み、幼生期にはオタマジャクシとして水生の形態をとります。
成長すると、陸上で生活する肺呼吸の成体に変態します。

イモリ

イモリは湿った森林や水辺に生息していますが、人間の生活圏内でも見かけることがあります。
イモリの多くは、夜行性で捕食者から身を守るために毒を持っています。
色が鮮やかであるほど警告色として機能し、捕食者に対して有毒であることを示しています。
よく見かける「二ホンイモリ」も毒を持っているので、もし触った場合は必ず念入りに手を洗って下さい。

ウーパールーパー

ウーパールーパーは、成長しても幼生と同じような形態でいるサンショウウオの一種です。
水中で生活し続け、エラを使用して呼吸しますが、一部の個体は陸上で生活するために変態することもあります。
愛らしい見た目からペットとしての人気もありますが、水質の悪化や生息地の破壊により特に絶滅の危機に瀕している種で、保全活動が必要です。

世界には数千種類の両生類がいるとされていますが、急速に減少していることが問題となっています。
薄い皮膚が環境汚染物質に対して弱いこと、気候変動や生息地の環境変化に適応できていないことが挙げられます。

両生類を飼うときの注意点

両生類の可愛らしい姿やユニークな行動は癒しを与えてくれて、ペットとしても飼うことができます。
しかし、飼育する前には特性や要件をよく理解することが重要です。

まず両生類は水を必要とする生物のため、飼育する際には水場を提供する必要があります。
水を清潔に保つためには定期的に交換をするようにしましょう。
また体温が外部環境に依存しているので、体温が適切に保たれないと体の機能に問題が生じることがあります。
そのため、飼育する際には適切な温度と湿度の管理が必要です。

主な餌として昆虫や小動物を摂取しますが、これらを手に入れることは簡単ではありません。
餌を十分に摂取できない場合、栄養不足や成長の遅れが生じる可能性があるため、専用の配合飼料なども検討してしっかりと用意できるようにしておきましょう。

これらの点を考慮し、両生類を飼育する際には十分な知識と責任を持つことが重要です。
飼育環境や餌、健康管理についてはペットショップなどでアドバイスを受けることをおすすめします。

自然で見かけたら興味深く観察してみよう

両生類の特徴や生態についてご紹介しましたが、どれくらいご存知でしたか?
もし自然の中で出会った際には、ここでお伝えした知識を思い出しながらぜひ観察してみて下さいね!

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知る・学ぶ 2024-02-26

人間はいつからペットと暮らしてる? 長い歴史を共に歩んできた動物たち

人間と動物が一緒に暮らすようになったのは少なくとも1万年以上前だといわれています。時代の流れのなか、人々の暮らしや文化は変化を遂げてきました。ペットとの関わり方にもそれがあらわれています。
頼もしい相棒、権力の象徴、そして愛らしい家族へ。今回は歴史のなかで変遷してきた関係性についてご紹介します。

犬は1万年以上前から、猫は5000年前から?

人間と動物の関わりは、人類が文明を生み出す以前から続いています。長い歴史を共に歩んできた動物たちのなかでも、犬と猫はとくに人間と深い関係を結んでいました。

ペット化は1万5000年前という説もある犬

人間と犬の関わりは人類の歴史でもっとも長いものにあたるでしょう。約1万5000年前にはすでに深い関係が築かれていたと考えられています。
集団生活が得意な犬は人間の暮らしに順応し、狩猟のサポートをしていました。人間は狩猟を手伝う犬を愛し、大切に扱ったと言われています。
1万2000年前のイスラエルの遺跡には人間と犬が一緒に葬られているお墓もあるほどで、どれほど大切にされていたかが想像できますね。日本でも9000年前(縄文時代)の遺跡から、丁寧に埋葬された犬の骨が発見されています。

ほかにも牧羊犬や牧畜犬などのように人間の生産生活を支えたり、盲導犬や聴導犬、警察犬などのように社会性の高い仕事を担ったりなど、犬は人間の生活から切り離せない存在です。
また、優れた仕事をしてくれるだけではなく、愛情深く優しい気質で幸せを感じさせてくれることも、人間が犬を愛する理由のひとつですね。

5000年前から文明の発展を助けた猫

猫が人間とともに暮らすようになったのは犬より少し遅く、約4000年前からだと言われています。それよりも前、約5000年前からだという説もありますが、いずれにせよ人間との付き合いが長いことには変わりません。
人間の暮らしのなかで猫が重宝されるようになったのは、その狩猟能力が理由でした。ネズミが穀物を食い荒らして困っていた人々は、猫が退治してくれることに気づいたため、一緒に暮らすようになりました。
狩猟能力ももちろんですが、その愛らしさが人々を虜にしたのかもしれません。

犬や猫以外にも愛された動物たち 近世のペット事情

ペットとして愛されたのは犬や猫だけではありません。江戸時代には金魚が、明治時代にはうさぎが大ブームになり、近世の日本ペット界隈を盛り上げました。

【金魚】江戸後期には庶民の間で大人気

江戸時代後期、金魚の飼育が一大ブームを巻き起こしました。きっかけは寛延元年(1748年)に金魚の飼育書が発売されたことです。
ブームのはじめは金魚の価格がとても高く、一部の富裕層の間で飼育されていました。しかしやがて大量飼育が可能になったため、庶民の手が届くようになり、金魚の飼育が一般的なものになりました。
お祭りの縁日でよく見かける金魚すくいはこの頃に始まったといわれています。

【うさぎ】明治時代に突然起きた大ブーム

うさぎはもともと日本人のなかでよく知られた動物でした。昔話や民話によく登場し、現代でも多くの人に愛されています。
とはいえ、昔は犬や猫ほどペットとして扱われていませんでした。どちらかといえば野生のうさぎが畑を荒らすため、嫌われていた一面もあったそうです。
しかし明治維新を経て人々の生活様式に変化が訪れた頃、突然うさぎブームが巻き起こったことで状況が一変します。
そのブームはすさまじく、珍しいうさぎは投資対象になったほどです。庶民の間ではうさぎの売買が過熱し、時には人同士のトラブルまで発生したのだそう。
あまりの過熱ぶりに政府はうさぎ1羽につき1円の税金を支払う「うさぎ税」を制定。政治や経済にまで影響を与えたとは驚きですね。

昭和以降はペットも多様に! 愛され続けるペットたち

ペットブームは明治時代以降も続きます。昭和初期には熱帯魚が、経済成長時代には小鳥や小型犬がとくに人気を集めました。
特定の動物を求めるブームが終わってもペットを愛する心は消えることがなく、平成、令和もペットとともに暮らす人々は増加傾向にあります。

昭和初期から始まった熱帯魚ブームはいまでも根強い人気

昭和元年(1926年)に開業した有名百貨店に熱帯魚コーナーが設置されたことをきっかけに、熱帯魚の愛好家が急増しました。当時の飼育用機器が高価であることから、そのブームは富裕層の間で広がるにとどまったようです。
しかし経済成長を遂げた昭和後期には庶民も裕福になり、憧れの熱帯魚を家で飼育したいと思う人々が急増。熱帯魚を求める人が増え、過去にない熱帯魚ブームが日本を席巻しました。
ブーム当時も高価であることは変わりなく、飼育用機器だけではなく熱帯魚そのものも高い値段がついていました。ネオンテトラ1匹が10万円になることもあったのだそうです。庶民の手が届くとはいえ、やはり富裕層向けだったのですね。
やがて品種改良や技術革新が進み、無理をしない予算で飼育できるようになったため、幅広い人が熱帯魚と暮らしやすくなりました。いまでも根強い人気があり、優美に泳ぐ姿で家族を癒してくれています。

昭和後期の小鳥ブームで日本の鳥が海外へ

昭和50年前後には小鳥ブームが起きました。小柄で可憐な姿と可愛らしい鳴き声が人々の心をつかんだようです。飼育しやすいという現実的な点も人気のひとつだったのかもしれません。
おしゃべりをしたり歌を歌ったりなど芸達者な品種も多く、景気のよい時代にぴったりの華やかさが感じられます。玄関に鳥かごを置き、お客さんへ挨拶をさせていたご家庭も多かったようですよ。
このブームをきっかけに、日本の鳥(和鳥)が海外の人々に知られるようになったそうです。セグロセキレイやオシドリなど日本に住む鳥をきっかけに、日本文化に興味を持ってくれたら嬉しいですね。

思わず抱っこしたくなる人が続出 お座敷犬ブーム

昭和40年代から小型犬、いわゆるお座敷犬が富裕層の間で人気を集めました。マルチーズやポメラニアンなど思わず抱き上げたくなるような愛らしさを持つ犬が人気だったそうです。
また、当時は戸建てが多く、番犬代わりによく吠えるスピッツも大人気でした。集合住宅が増えてからはほかの犬種も求められるようになりましたが、お座敷犬のブームに火を点けたのはスピッツだといわれています。

人気作品が火付け役 シベリアンハスキーとハムスター

平成に入った頃、シベリアンハスキーが大ブームに。犬を飼う人の間で圧倒的な人気を誇りました。シベリアンハスキーが登場する「動物のお医者さん」漫画がヒットしたことがきっかけです。
シベリアンハスキーだけではなく、大型犬の飼育に注目が集まるようになったのもこの頃でした。
メディアから広く知られるようになった動物は人気を得ることも多く、ほかには「とっとこハム太郎」がきっかけになったハムスターブームもありました。

人間の暮らしをサポートしながら癒しもくれる動物たち

1万年以上前から人間に寄り添い、生活や文化をサポートしてくれる動物たち。いまではサポート役そのものよりも、一緒に暮らしたいと考える人も多くなっています。
とはいえ、ペットは一緒に暮らすだけでも癒しや責任感を与えてくれます。昔から同じく、人間の成長や暮らしをサポートしてくれているのかもしれませんね。

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知る・学ぶ 2024-02-20

寒さに強い生き物は? マイナス120℃まで耐える強者も!

寒い時期、人間なら暖房器具や厚着で暖を取ることができますが、野生の生き物はそういう訳にもいきません。どのように寒さに対処しているのか、または、何か秘訣があるのでしょうか?
最も寒さに強い生き物はなんとマイナス120℃まで耐えられるのだそうです。そこまでではないとはいえ、寒い地域に住む生き物たちについても気になります。

寒さに最も強いのは意外な生き物だった!?

「最も寒さに強い生き物」と聞くと何を想像しますか。ホッキョクグマやアザラシなど、極寒の地域で生きる動物を思い浮かべるかもしれません。
ところが意外にもそのような動物ではなく、なんと「カタツムリ」の可能性があるのだそうです。しかもマイナス120℃まで耐えられるという説もあり、あまりの意外性に驚くばかりですね。

とはいえ、この説はまだ確定しているわけではないようです。真偽がわからないため、噂にすぎないと考える人もいるとのことでした。
それでも「もしもマイナス120℃まで耐えられる生き物がいたら」と考えるだけで楽しくなりませんか。これからはカタツムリを見て「こんな見た目で実はすごいのかも…」と思うかもしれません。

動物たちの防寒方法は? 寒さに適応する身体の構造

厳寒の地域で生きる動物たちはそれぞれの防寒方法を持っています。人間にも真似できるようであれば冬の時期に取り入れたいものですが、どのような方法なのでしょうか。

海で生きるなら必須? 分厚い脂肪で体温を確保

極寒の場所で生きる秘訣は「体温を逃さないこと」。外気温が寒いばかりか水温まで極寒になる場所で生きる海生哺乳類(セイウチやアザラシなど)は、そのために分厚い脂肪をたくわえています。
脂肪は身体の熱を外に逃しにくい構造になっているため、体感温度を保ちやすいのだそうです。そのため、凍てつくような海中でもセイウチたちはゆうゆうと泳ぐことができるのでしょう。
しかも脂肪は浮力が強い性質も持っています。水の中で素早く動き、獲物を逃さないためにも、あの分厚い脂肪は必要なのですね。
人間も真似しようと思えばできるかもしれませんが、健康を考えると少し遠慮したほうがよさそうです。それぞれの種に合った脂肪量で健康に暮らしましょう。

陸上は毛皮がお役立ち! 驚きの暖熱性能

主に陸上で暮らす生き物の場合、脂肪をたくわえようにも限界があります。そこで厳寒地域で生きる陸上動物は毛皮をまとうことによって防寒するようになりました。
毛皮は体毛の集まりです。その体毛の1本1本の間に空気を抱き込み、熱を逃がさないようにします。人間も衣類の間に空気を入れるとあたたかさが増すという防寒テクニックがあるのですが、それと同じようなものですね。
体毛が長ければ長いほど抱き込める空気の量は多くなります。そのため、同じ種でも生息地域によって体毛は長くなるそうです。
体毛が長い上に厳寒地ならではの工夫をしているのがホッキョクグマです。ホッキョクグマの体毛はストロー状になっており、より多くの空気を抱き込めるようになっています。
さらに、あれだけの美白を誇りながら実は皮膚が黒いのもホッキョクグマの特徴です。太陽光の熱を吸収し、保温に役立てているそうですよ。厳寒地ならではの進化には感心するばかりです。

寒さに強い動物は大きくなるって本当?

寒い地域で厳寒を生き抜く動物は多種多様ですが、「寒さに強い動物は身体が大きい」という傾向が見られます。
もちろんすべてではなく、ユキウサギやシマエナガなど小さくてかわいい動物もいますが、前述のホッキョクグマをはじめ、エゾシカやヒグマなど、北方に多く生息する動物は確かに大きい種類が多いかもしれません。

寒冷地の動物ほど大きくなる「ベルクマンの法則」

生息地の寒さと身体の大きさが比例する法則は、発見したドイツの生物学者クリスティアン・ベルクマンにちなんで「ベルクマンの法則」と呼ばれています。
ベルクマンの法則とは、簡単に言うと「北へ行くほど動物の身体が(同種で比較すると)大きくなる」というものです。
たとえばクマですが、日本の本州に生息するツキノワグマはオスの平均体長が約1.2~1.4メートルです。対して北海道に生息するヒグマの平均体長は約1.8~2メートル、さらに北に住むホッキョクグマは約2.2~2.5メートルにもなります。

逆にタイやマレー半島などの温帯に生息するマレーグマは約1.1~1.5メートルと小柄になり、「北へ行くほど大きくなる」という法則に真実味が出る結果に。
これは体重に対して体表面積が小さいほど放熱しない(体温を逃がさない)という仕組みが関係しています。身体を大きくすると体重に対する体表面積も大きくなるため、厳寒地に生きる動物たちは必然的に身体が大きくなるということなのですね。

ベルクマンの法則は人間にもあてはまる?

北へ行くほど動物の身体が大きくなるのであれば、人間も南国より北国に住む人のほうが大柄なのでしょうか。
考えてみると日本人よりも北欧の人々の身長は高いイメージがあります。実際に各国平均身長の統計では、北に住む人々が大きいという数値的な結果が出ていました。
各国や各地域の社会経済、食生活、親からの遺伝によって差が出ることも多いため、必ずしもすべての人間がベルクマンの法則にあてはまるわけではありませんが、北国の人を見て単純に「背が高い!」と思ったら、ベルクマンの法則を思い出してみるのもいいかもしれませんね。

寒い地域でもこんなに元気! 厳寒で生きる動物たち

寒い地域でも元気に生きる動物たちは多種多様です。人気の動物たちを見てみましょう。

ニホンザル

寒い季節に温泉へ入ることもあるニホンザル。赤い顔とお尻が特徴的です。寒さにはとても強いのですが、逆に暑さには弱いのだそう。最近の日本の暑さでは心配になりますが、元気に過ごしてほしいですね。
なお、山口県の秋吉台では遺跡から50万年前のニホンザルの化石が見つかっています。古くから日本に住む歴史的な動物とも言えるでしょう。

アムールトラ(シベリアトラ)

トラのなかでも最も大きいアムールトラ。絶滅危惧種でもあり、世界に約500頭しかいないそうです。シベリアのツンドラを駆け抜けながら狩りをする身体は大きくても引き締まり、猫の仲間とは思えないほど。冬毛は約4~5cmにもなり、防寒対策も安心です。

トナカイ

クリスマスに大活躍(?)のトナカイは、地球の最北でも生き抜けるたくましい動物です。防寒のため肌の露出がほとんどなく、鼻先まで体毛で覆われています。
また、トナカイが歩く時には「カチカチ」と独特の足音がします。これは歩くたびに蹄(ひづめ)が鳴るためです。冬の雪や凍った土をかきわけられるほど強い蹄ですが、サンタクロースのそりを引く光景のBGMとして考えるとなんとも神秘的ですね。

ペンギン

老若男女に大人気のペンギン。水族館や海辺をよちよち歩く姿はかわいらしく、思わずうっとりしてしまいます。主に寒冷地に住んでいますが、赤道直下のガラパゴス諸島に住むペンギンもいて、種の進化と対応能力には驚かされますね。
ペンギンは色々な種類が確認されており、性格も様々です。なかでもアデリーペンギン類は攻撃的で勇気もあり、自分よりも大きな動物が相手でも果敢に挑むのだそう。かわいい姿でもやるときはやる、頼りになりそうなペンギンです。

生息地に合わせて進化した防寒能力でたくましく生きる動物たち

カタツムリがマイナス120℃まで耐えられるという話には諸説あるものの、事実なら素晴らしい発見ですね。
寒冷地に住む動物たちは気候に合わせた進化を遂げ、極寒世界をたくましく生き抜いています。寒い日々が続きますが、私たち人間も寒さに負けず元気に過ごしましょう。

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知る・学ぶ 2024-01-25

ペットを飼う前の参考に! 飼ってよかったこと、気をつけようと思ったこととは?

ペットと暮らす人は「ペットを飼ってよかった!」と感じることが多いのではないでしょうか?家族の一員となり、絆が深まるにつれて大きな愛情を感じることができます。
その一方で、飼い主としての責任や、周囲への配慮に対して気を引き締めなければならないこともあるでしょう。ペットと暮らす人たちはどのようなときに「よかった」「気をつけよう」と考えるのでしょうか。

ペットを飼って「よかった!」と思うことは?

ペットと暮らしていると、人間だけで暮らす場合とは違う「よかった」があるようです。ペットを飼う人ならではの「よかった」を見てみましょう。

1:癒やされる

愛らしい姿や動物ならではの行動に癒しを感じている人はとても多いようです。疲れて帰って来てもペットが無償の愛で迎えてくれる瞬間にはたまらない幸福を感じるのではないでしょうか。
また、ペットの癒し効果には科学的根拠があります。ペットとの触れあいは脳内に癒し効果が高いホルモン(オキシトシン、セロトニン、フェニルエチルアミン)を発生させ、ストレスの軽減効果やメンタルの安定効果が期待されるのだそうです。
そのなかでもオキシトシンはペットと触れあうことで分泌量がとくに増えるといわれており、お互いの絆を深める効果があるとのこと。たくさん触れあえば、別名「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンもたくさん増えるでしょう。

2:家族のコミュニケーションが増える

家族関係はご家庭それぞれで違いますが、ペットを迎え入れてから「家族の交流が深まった」と感じる人も多いようでした。「会話が増える」「喧嘩をしても間を取り持ってくれる」という効果があるようです。
ペットのお世話を通して家族同士の会話が弾んだり、喧嘩をしても仲直りのきっかけになったり…など、ペットは家族関係のバランスをよい方向へ向ける力を持っているのでしょう。
例えば、少し気まずいときでも「一緒に愛犬の散歩に行こうよ」とコミュニケーションのチャンスを作り出せるのは、ペットがいるご家庭ならではの素敵な一面です。
前述の通り、ペットと触れあうことで幸せホルモンの分泌量が増えるという事実があります。ペットと暮らすことで、家族の皆が幸せを感じる時間が増え、家族関係が良好に保たれることでしょう。

3:子どもの成長をサポートしてくれる

ペットとの暮らしを通し、子どもの成長を感じる人も少なくありません。
「お世話をすることで命の大切さを理解し責任感が生まれた」「優しさや思いやりを持てるようになった」「遊び相手や兄弟のような存在を得た」など、数え切れないプラス効果があるようです。
教育目的だけでペットを飼うわけではないとしても、このようなプラス効果が実感できるのは嬉しいことですね。一緒に成長していく子どもとペットを見守り、幸福を感じている人も多いのでしょう。

ペットを飼って「気をつけよう」と思ったことは?

ペットを飼っていると「気をつけよう」と考えるタイミングもあるはずです。周囲への配慮や命への責任感を意識する人も多いのではないでしょうか。

1:散歩中のマナー

散歩が必要なペットを飼っている場合、散歩中のマナーは大切です。多くの飼い主さんはしっかりとマナーを守っていますが、一部のマナー違反を気にしている人も少なくないようです。
例えばトイレなら、必ず処理が必要です。あちこちに排泄物を放置することは周囲に大変な迷惑をかけてしまいますし、ペットを飼う人への印象が悪くなってしまいかねません。また、ノーリードでの散歩に不安を覚える人もいます。「うちの子は大丈夫」と分かっていても、お互いが安心できるよう、ノーリードOKの場所以外はリードをつけたほうがよいでしょう。
もっとも、多くの飼い主さんはマナーを守っているはず。「そんなマナー違反をする飼い主もいるのか、自分も気をつけよう」と考える材料になりそうですね。

2:健康管理

ペットの健康管理は飼い主の役割です。話せないペットは身体の不調や異常を詳しく訴えられないため、日頃のお世話を通して気をつけながら観察してあげる必要があるでしょう。
定期的な検診や予防接種など、気を抜けないこともたくさんあります。自分のスケジュールと照らし合わせながらペットの健康管理をすることはとても大変ですが、それでも「健康でいてほしい!」という愛情で乗り切りましょう。

3:しつけ

トイレマナーや無駄吠え、すれ違った人やほかのペットを威嚇しないなど、ペットと人々が良好な関係で暮らすために覚えさせたいしつけは少なくありません。「きちんとしておかなければ」と気をつけている飼い主さんは多いことでしょう。
生活に関するマナーはもちろん、ペットの種類によっては家族間の上下関係が大切な場合もあるため、やはりしつけの中でバランスを取る必要があります。
人によっては自分だけではなく、しつけ教室へ通ったり、ドッグトレーナーに預けたりすることも。時間もお金もかかりますが、ペットへの愛情ならではの選択でしょう。ペットと楽しく暮らすためには有効な手段のひとつですね。

どんなペットが人気? 世界で愛される動物たち

ペットは世界中で愛されています。世界の人々はどんな動物と暮らしているのでしょうか。データサイエンス企業・GfKが2016年におこなった「グローバルのペット飼育率調査」を参考に、トップ3を見てみましょう。

【1位】犬

1位は犬でした。人類が初めてペットにしたといわれ、一番の友達として愛されています。アンケートに回答した22カ国・27,000人のうち、じつに33%もの人が犬を飼っているのだそうです。
また、その中の66%がアルゼンチンの人でした。アルゼンチンでの犬人気の高さには驚きますね。

【2位】猫

2位は猫でした。古代エジプトでは猫の神様がいたほど、古くから愛される存在です。アンケート回答者のうち23%の人が猫を飼っていると答えました。
国別に見てみると、猫を飼っていると回答した人のうち57%がロシア人、41%がフランス人だったとのことです。

【3位】魚

3位は魚でした。多種多様で美しいルックスや、水中で優雅に暮らす姿に心を奪われる人は少なくありません。アンケート回答者のうち12%が魚を飼っているそうです。
とくに魚の飼い主が多い国は中国で、回答者の17%にのぼりました。

日本で人気のペットは?

同調査で日本の項目を見てみると、全体で37%の人がペットを飼っています。そのうち多く飼われているのは犬(17%)、猫(14%)、魚(9%)だそうです。グローバルなランキングと同じ順位です。
日本はペット飼育率が低いといわれていますが、愛情をかける気持ちはきっと世界中の飼い主さんと変わらないはず。ペットがきっかけで国を超えたコミュニケーションが生まれるかもしれませんね。

よかったこと、気をつけること…ペットを愛するからこそ

ペットを飼ってよかったこと、気をつけようと思ったことなど、ペットへの愛情があるからこその気づきは、飼い主や家族の生活や心を豊かにしてくれます。しつけや健康管理など大変なことも多数ありますが、ペットと暮らす喜びが苦労を上回るのではないでしょうか。
「うちの子が最高に可愛い!」と感じられる幸せを楽しみながら、これからもペットと仲良く過ごしてくださいね。

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