古くから姿を変えずに暮らしている「生きた化石」たち

「生きた化石」という言葉をご存知でしょうか?
生きた化石とは、はるか昔から進化をせずに現代でもほとんど姿形を変えないで生息している生き物や植物のことを指します。
地層から発見される化石とほとんど同じ姿のままである場合が多く、私たちの身近にも生きた化石と呼ばれる生き物は存在しています。

そこで今回は、「生きた化石」と呼ばれる様々な生き物たちをご紹介します。

退化した肺があるシーラカンス

生きた化石の中でも知名度が高いのが「シーラカンス」という魚で、通常の魚とは一味違う古代的ロマンが溢れる魚です。
シーラカンスは4億年以上前の化石として多く発見されており、淡水、浅瀬の海、深海に多く生息しているとされ恐竜と同じ頃に絶滅したと考えられていました。

しかし、1938年に南アフリカ沖で漁の網に偶然かかり、ほぼ姿を変えずに生息していたことが判明しました。
その後は別の場所でも発見されるようになりましたが、淡水や浅瀬の海では発見されず、現代では深海性の種類のみが生き残っているようです。

シーラカンスが他の魚と異なる点は、ひれのつけ根に骨があり、動物の脚に似た動きをし、陸上の四足動物に近い内臓を持っているところです。
他にも背骨が発達しておらず、軟骨でできた1本の管が背骨の役割をしていることや、お腹の中で卵をかえして産むことなども挙げられます。

「進化論」では、水の中で生活していた魚が進化して陸に上がっていったと考えられていますが、陸に上がるためには肺が必要です。
シーラカンスは、えら呼吸をしているものの、使われなくなったとみられる肺があることがわかっています。
これは浅瀬で生息していたシーラカンスの祖先が再度海へ戻ったものだと考えられており、恐竜などが絶滅した際に深い海に潜っていた深海性のシーラカンスだけが生き延びたという説があります。

卵を産む哺乳類? カモノハシ

オーストラリアに住む「カモノハシ」も生きた化石と呼ばれています。

他の哺乳類と決定的に異なるのが、哺乳類であるのにもかかわらず卵を産むという、常識を覆した不思議な哺乳類だという点です。
カモノハシは恐竜がいた中生代から生息していると言われていて、哺乳類が地上に多く現れた時代から今とほとんど変わらない姿で存在しているのです。

哺乳類の中で一番古い生き物とされていて、鳥類と同じく卵で子どもを産むものの、哺乳類と同じく母乳で育つため哺乳類に分類されています。
カモノハシは卵内で子どもの栄養を作れない代わりに、母乳で栄養を補うのです。
また、幅広いクチバシがあるものの歯が生えていなかったり、後ろ足から分泌される毒素が爬虫類と限りなく近かったりと、まだ多くの謎が残っているようです。

クモやサソリの仲間・カブトガニ

不思議な姿をしている「カブトガニ」も約5億年も前から姿を変えていない生き物の一つです。

生息地はインドネシアやフィリピンが主ですが、実は日本にも一定数生息しており、瀬戸内海と九州北部に分布しています。
カブトガニは、シーラカンスと同じように海にとどまった種類が絶滅期を乗り越え、ほとんど姿を変えずに生き残ったと言われています。
現在カブトガニは4種で、体長30センチを超える個体も存在します。

「カニ」と名前が付いていますが、甲殻類ではなく、クモやサソリに近い生き物で、血液が青く、穴を掘る習性があります。
食べることも製品にすることもできず、漁の際に邪魔になるとされてきましたが、血液が毒素の検査薬に使われるようになり、今では高価な価格で取り引きされています。
また、日本では数が少なく絶滅危惧種に指定されています。

手軽に飼育できる身近なカブトエビ

カブトガニと似たところでは「カブトエビ」という生き物も存在します。
カブトガニを小さくしたような形をしていますが、カブトガニはクモに近いのに対し、カブトエビはカニなどと同じ甲殻類です。
淡水の田んぼなどに生息していて雑草を食べてくれる有益な生き物として知られ、特に西日本で多く見かけます。

カブトエビは甲殻類の中でも古い形を残したまま、約2億年以上前から存在しているとされています。
大きさは4センチ程度で、裏にはたくさんの脚があり、その姿からも古代生物らしさを感じます。
元々日本には分布しておらず、海外から持ち込まれたとされており、ライフサイクルが田んぼの周期に合っていて、日本の環境に馴染んだとも言われています。

カブトエビは飼育キットも販売されています。成長速度が速く、目に見えないサイズから数日で大きくなり、よく夏休みの自由研究などで使われることもあります。
寿命は2~3ヶ月と短く、孵化から10日程度で産卵が可能となり、水に入れると孵化する不思議な卵は、数年間は持つとされています。
雌雄同体で一匹だけで卵を産むことができる種もいて、これらが古代から生き延びてきた要素とされています。
古代生物を気軽に育てることができるので、興味があれば飼育してみるのも良いでしょう。

イカやタコの仲間・オウムガイ

オウムガイ
初めてオウムガイを見た方の中には、貝なのか、ヤドカリなのか、イカなのか、タコなのかなどと戸惑う方もいらっしゃいますが、イカやタコと同じ軟体動物に分類されていて、大きな殻を持っているのが特徴です。
南太平洋からオーストラリア近海の水深100~600mほどの場所に生息していて、殻がもろく、水深800mを超えると水圧で壊れてしまうため、あまり深くでは生きられません。
約5億年前からほとんど姿形を変えずに生存しています。

殻の直径は約15~20cmで、発見されている化石で最大のものは30cmほどです。口元にある触手は約90本あり、この触手で物に付着したり獲物を捕食したりしています。
主に夜間に活動し、イカやタコと同じく身体から水を噴きだし、その推進力で移動をします。
目はついているものの、イカやタコのようにレンズ機能は無く、視力は良くありません。
巻貝に体を入れていますが、出口に近い場所にのみ体を入れており、その奥にはガスと液体が入っていて、この量を調整して浮いたり沈んだりしています。
なお、オウムガイとよく間違えられる「アンモナイト」はすでに絶滅していて、オウムガイも現在生息が確認されているものは5種類になります。

オウムガイは飼育することができ、海水魚などを扱っているお店やインターネット通販などで販売されていますが、飼育環境を整えるためには10万円ほど費用がかかります。主な餌はエビや魚の切り身になります。
夜行性なので昼間は休んでいることが多いものの、人になつきやすく、自ら寄ってくることもあるようです。
また、記憶を保持することができ、学習できることも判明していて、「学習することが可能な最古の種」とも言われています。
軟体動物にしては寿命が長く、環境を整えてお世話をすれば良いペットになるかもしれません。

たくましく生きてきた「生きた化石」たち

「生きた化石」という表現はダーウィンが著書の「種の起源」の中でカモノハシなどについて使ったのが最初だそうです。
古代の生き物は環境の変化に適応できずに絶滅をしたか、もしくは環境に適応して姿形を変えてきたものがほとんどです。
その点、生きた化石たちは姿を変えることなく、たくましく生き抜いてきました。
考え方によっては、環境に対して変化する必要がない完成された生態だとも考えられます。この先もずっと姿形を変えずに歴史を刻んでいくのかと思うと、なんとも神秘的ですね!

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