歴史

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知る・学ぶ 2023-12-22

鳥類は恐竜から現代の姿になった? 進化の関連性と生態について

近年、羽毛恐竜の化石が発見されたことによって、鳥類が恐竜の時代から現代に至るまで、進化をしながら姿を変えて生き延びてきたことが研究でわかってきました。
これは生物が環境に適応し、生き残り、繁栄するためにどのように変化していったのかという貴重な事例となっています。

今回は、鳥類がどのように恐竜から進化していったのか、また、現存する恐竜に近い鳥などについて解説していきます。

鳥類進化の歴史

まず、鳥類の起源は約1億5000万年前のジュラ紀後期にまで遡り、恐竜の一群から進化したとされています。
直接の祖先は「獣脚類」と呼ばれる小型で二足歩行の肉食恐竜で、鋭い爪と歯、優れた運動能力を持っており、その中の一部の種が羽毛を持つようになったようです。

最も有名な中間種が始祖鳥(学名:アーケオプテリクス)で、鳥類と恐竜の特徴を併せ持つ化石として発見されており、鳥類と恐竜の中間的存在として位置付けられています。
始祖鳥は発達した羽毛を持ち、現代の鳥類の羽毛と非常によく似ています。(しかし、鳥類のように飛行に適応していなかった可能性も一部で指摘されています。)
その一方で、恐竜独特の特徴である長い尾骨と、鳥類には無い歯を持っています。
ただ始祖鳥の化石はまだまだ不明な点もあり、科学者たちによって今もなお詳細に研究されています。
また、始祖鳥以外にも同時期に中間種が存在していた可能性があるとの説も最近になって浮上してきています。

進化のメカニズム

鳥類の進化を理解する上では、羽毛、骨格、飛行能力の進化は非常に重要なポイントです。
これらの特徴は、鳥類が現代の多様な環境に適応し、独自の生態となったものです。

羽毛の進化

羽毛は鳥類の進化において最も顕著な特徴の一つです。
初期の羽毛恐竜では飛行とは直接関係がなく、体温調節のために使用されていた可能性が高いとされています。
その後、時間が経つにつれて羽毛はより複雑な構造を持ち、飛行に適した形に進化していったようです。
現代の鳥類では、飛行、保温、水の防御、さらには異性を惹きつけるためにも使われています。

骨格の進化

鳥類の骨格も、飛行能力に関連して独自の進化を遂げました。
軽量で空気を入れられる骨を持ち、飛行の効率を高める構造に進化しています。
また、尾骨が短縮し、飛行中の機動性を高めるために適応しています。
これらの変化は、鳥類が空中での優れた機動性と持続力を獲得するためのものだと考えられています。

飛行能力の向上

鳥類の飛行能力の向上は、上述した羽毛や骨格の進化によるものです。
初期の鳥類は、木から木へと滑空することから飛行を始めた可能性が高く、徐々に羽毛と骨格の進化が組み合わさり、より効率的な飛行が可能になったようです。
鳥類の飛行能力は食物を探し、捕食者から逃れ、新しい生息地に移動する能力に大きく貢献しています。

現代の多様な鳥類

現代の鳥類は進化の歴史を通じて9,000種以上に分かれ、多様な形態、サイズ、習性を待ち、独自の特徴と適応力を持っています。
ここでは、いくつかの特徴的な鳥類を見ていきましょう。

ハチドリ

鮮やかな色彩と驚異的な飛行能力を持つハチドリのサイズは、鳥類の中で最も小さく、全長で平均10センチメートル前後です。
羽ばたきは非常に速く、空中で静止する能力も持っており、花から花へと素早く移動し、長い舌を使って花蜜を吸います。

ペンギン

水中生活に特化した鳥類であるペンギンは主に南半球の寒冷地域に生息しています。
鳥類であるものの飛行能力は無く、羽毛は短くて脂肪と共に低温に耐えられる役割を果たしています。

フクロウ

夜行性で、独特な首の構造を持つフクロウは、ほとんど音を立てずに飛行できることが特徴です。
体長に対して顔の比率が大きく、首は左右に270度まで回転します。
聴覚と視覚が非常に優れており、その感覚を利用して獲物を捕らえます。

オウム

高い知能を持つオウムには模倣能力があり、人間の言葉を真似ることができ、中にはカラスと並んで人間の幼児ほどの知能を持つ個体も存在します。
強力なくちばしを使って、硬いナッツや果物を食べられます。

フラミンゴ

長い脚と特徴的なピンク色の羽毛を持つフラミンゴは、捕食する甲殻類や藻類に含まれる色素によって、本来白いはずの羽毛がピンク色に変色しています。
湿地や浅瀬に群れで生活し、片足で立っている姿をよく見かけますが、これは身体が冷えないための対策をしているのです。

恐竜に近い現存の鳥たち

恐竜に近い現存の鳥たち
鳥類の進化の過程で飛行能力が身につかず、地上生活に特化している種もいくつか存在します。

エミュー

オーストラリアに分布している大型の鳥であるエミューは、ダチョウに次いで世界で二番目に大きい種です。
全長は平均して約1.5~1.8メートルに達し、体重は約30~45キログラムになり、長い首と脚、そして短い翼を持ちます。
エミューは飛べない代わりに、強力な脚を使って高速で長距離を走ることができます。
大きな体格、地上での生活スタイル、そして飛べないという点は、恐竜を思わせる特徴です。

ヒクイドリ

ヒクイドリもまた恐竜に近い特徴を持つ鳥類の一種として知られています。
主にインドネシアを中心とした低地の熱帯雨林に生息しており、多くの生物学者たちの研究対象となっています。
ヒクイドリはエミューに次いで世界で三番目の大きさの鳥で、比較的長い尾と短い翼を持っており、喉元の赤色がシンボルマークです。
歩行方法が恐竜に似ているとされており、エミューと同じく素早く走ることができ、地上での生活に適応しています。
また、「世界で最も危険な鳥」としてギネスブックに掲載されています。

キーウィ

キーウィはニュージーランド固有の鳥類で、こちらも飛行能力がなく力強い脚を使って移動します。
エミューやヒクイドリとは異なり、首が短く、全長も約20~40センチメートルという小さなサイズが特徴で、茶色や灰色の毛皮のような羽毛に覆われています。
鳥類にはほとんど嗅覚がありませんが、キーウィは優れた嗅覚器官を持っており、これを利用して地面に埋もれている昆虫など探知して捕食します。
また、非常に大きな卵を産むことでも知られており、体重比で見ると鳥類の中で最も大きな比率になります。

これらの種は恐竜に近い特徴を持つことから、恐竜が生活していた時代の生物の生態や行動についての研究の手がかりになっています。

適応放散と生態系での役割

適応放散とは、主に様々な生態系で多様な形態を発展させることを意味します。
この過程を通じて、鳥類は地球上のほぼ全ての環境に適応し、多様な食性、繁殖戦略、そして行動を展開しています。
また、種子の散布者、自然の清掃係、昆虫や小動物の捕食者として機能し、生態系のバランスと健全性、多様性を保つために不可欠で、他の動物との共進化を促進しています。

このような多様性と適応の範囲、役割から、鳥類は生命の進化に成功した動物群の代表的な例と言えるでしょう。
しかし、その鳥類の中には生息地の破壊、気候変動、狩猟、汚染などの原因で絶滅の危機に直面している種もいるため、環境を整え、保護活動をすることも急務となっています。

新たな視点から鳥の観察をしてみよう!

私たちが普段目にする鳥たちの姿は数億年の時間をかけて形作られたもので、生物が多様な形態と機能を発展させ、環境に適応してきたことの証となっています。
このような背景を知った上で、動物図鑑で興味のある鳥について調べてみたり、直接動物園に行って観察したりすることで、新たな発見や楽しみ方ができるかも知れませんね!

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知る・学ぶ 2023-10-30

猫が歴史を動かした驚きの逸話とは?

世界中で愛されている猫。もちろん猫を愛するのは一般人だけではありません。国を治める権力者や人類史に影響を与えたような科学者も猫が大好きでした。猫が好きすぎて神様にしてしまった人たちもいるほどです。
今回は、そんな猫の魅力にあらがえなかった人間たちをご紹介します。

「猫は神様です」古代エジプト女神や猫神社まで!

古代エジプトや日本では、猫を神様として崇める文化があることをご存知でしょうか。猫の魅力は猫自身を神様にまで進化させたようです。

古代エジプトの女神「バステト神」

猫の発祥の地と言われるエジプトでは、古代から猫を愛する人々がとても多い地域です。その猫愛は猫の姿をした女神「バステト神」を生み出したほどでした。
バステト神は猫の顔と人間の女性の身体を持つ姿、いかにも「猫!」といった姿の2種類が伝わっています。壁画では猫顔の女神様、神像では豪華な装飾や美しい瞳が印象的な猫の姿が多いようです。
バステト神の役目は、太陽神・ラーの瞳でした。その美しく神秘的な瞳で人々の行いを監視し、過ちがあれば正す役割を担っていたのだとか。猫独特の瞳がそんな役割を連想させたのかもしれませんね。

日本の神社では猫が祀られている

日本での猫はその魅力だけではなく、穀物をネズミから守るありがたい動物として感謝される存在でもありました。人々はその感謝の気持ちから猫を神聖な存在として扱うようになります。
穀物倉庫のネズミ避けのお札に猫の姿を描いたり、養蚕がうまくいくように猫に願掛けをしたりなど、猫は生活や経済に欠かせない存在になります。やがて神社で祀られるようにもなりました。

例えば新潟県にある「八海山尊神社」はそのような人々の想いを継いだ神社で、ネズミ避けの猫札(護符)をいつも取り扱っています。いまでは日本全国から愛猫家が集まるそうですよ。
また、鹿児島県にある「猫神神社」は戦に貢献した猫の逸話で有名です。16世紀末、猫の瞳孔の開き方で時間を計れると気づいた島津義弘は、文禄・慶長の役に7匹の猫を連れて行きました。
残念ながら猫は2匹しか生き延びられませんでしたが、島津義弘は猫たちに感謝し、神様として祀るようになりました。その場所が現在の猫神神社として知られています。

日本の権力者も猫にメロメロ!

権力者にも猫好きがたくさんいました。皇族や幕府の寵姫も猫の魅力にすっかりとりこになっていたそうです。

「猫かわいい!」の日記が伝わる宇多天皇

天皇の現存する最古の日記として「寛平御記」。記したのは宇多天皇です。宇多天皇は父から贈られた黒猫をとてもかわいがっていました。
寛平御記には「父上から猫をいただいた。黒くてかわいい! 瞳が宝石のようにきれい!」(意訳)と、猫のかわいさについて熱く書かれています。「好きだよと話しかけてみたが伝わっていないようだ」など、宇多天皇自身がかわいく思えてしまう描写もありました。

大奥の御台所は犬好きから猫好きに!

江戸時代の大奥で有名な篤姫も猫好きだったそうです。結婚前は犬好きでしたが、夫の将軍が犬嫌いのため、嫁いでからは猫を愛するようになったそう。
権勢を誇った大奥の愛猫だけあって、その暮らしぶりは豪奢なものでした。食費だけで年間25両(現在の価値換算で約450万円以上!)にもなったというのですから、人間がうらやましくなるようなラグジュアリーライフだったのでしょう。

猫ドアを開発したのはあの天才科学者だった?!

現代の住宅では珍しくない猫ドア。猫の出入り口ですが、昔は人間優先の文化のためか、存在しないものでした。
その猫ドアを開発したのがアイザック・ニュートンです。人類の歴史に大きな影響を与えた「万有引力」を発見した天才科学者が猫ドアを開発したとは意外ですね。

ニュートンは大変な猫好きだったそうです。当時は猫にご飯をあげることは一般的ではありませんでしたが、ニュートンは自分のご飯を分けてあげることもあったのだとか。塩分や栄養素を考えると現代では推奨できませんが、飼い猫でも自力で食力を確保しなければならなかった当時の猫にとって、最大の愛情表現だったかもしれませんね。
その猫愛が高じ、猫ドアの発明に至ったそうです。天才にとってはどうということのない発明だったかもしれませんが、その発明が現代の愛猫家たちに感謝されているとは思いも寄らないのではないでしょうか。

なお、ニュートンは親猫用の大きなドアと子猫用の小さなドアを作ったのですが、親猫も子猫も大きなドアから出入りするため、それを不思議に思っていたのだそうです。
一般人からすれば「大きなドアひとつで足りるのに」と思うところですが、そこで不思議に思うのが天才ならではの思考回路だったのかもしれませんね。

猫の魅力はあらゆる人をとりこにする

気まぐれでわがまま、でもそこがかわいくてたまらない…そんな猫は古代から人々をとりこにしてきました。権力者や天才だけではなく、神話にも影響を与えている事実と人々の猫愛に感心するばかりです。いまも愛され続けている猫が、これから人々にどんな影響を与えるか楽しみですね。

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知る・学ぶ 2023-07-21

神社にいる「狛犬」の役割は? 長い歴史や人々の暮らしとの関わり

多くの神社で見かける「狛犬」。犬好きなら一度は気になったことがあるのではないでしょうか。
狛犬は長い歴史のなかで人々の生活に溶け込み、親しまれてきました。また、沖縄には狛犬によく似た「シーサー」もいます。

今回は狛犬の歴史や意味、シーサーとの違いなどについてご紹介します。

狛犬は古代オリエント時代からという説も

日本の狛犬は海外から伝わったといわれています。起源は諸説あり、古代オリエント時代という説もあります。日本に伝来するまでどのような歴史をたどってきたのでしょうか。

起源はライオン? あのスフィンクスも仲間かも

狛犬の起源でもっとも古い説では、古代オリエント時代だといわれています。
かつてオリエントでは獅子を守護神として信仰する文化がありました。その獅子が狛犬となって世界に広がったとのことです。
なお、エジプトのピラミッドで有名なスフィンクスも獅子がモチーフになっています。そう考えると、狛犬はスフィンクスの仲間かもしれませんね。

ご近所で生まれたのかも? 原型は中国という説もあり

狛犬の起源は中国であるという説もあります。オリエントからローマを経て、インドから獅子が伝わったそうです。
中国で獅子は権力や守護の象徴として崇められるほか、宗教的な意味合いも持つことになりました。

高麗を通って日本へやって来た狛犬

宗教的な意味合いを持った獅子は、やがて高麗(いまの朝鮮半島)に渡り、そこからさらに海を渡って日本へやってきました。
狛犬の「こま」は「高麗(こうらい)」が語源だという説もあります。

日本の「狛犬」が生まれた経緯や役割

高麗からやって来た狛犬は、やがて日本中へ広まります。その経緯や役割を見てみましょう。

仏教とともにやって来た狛犬の祖先

狛犬が高麗から日本へやって来た経緯は、遣隋使や遣唐使がきっかけだと考えられています。大陸と交流するとき、仏教や文化と一緒に入ってきたのでしょう。
西暦607年に建立された法隆寺には獅子の像があります。その頃にはすでに狛犬が日本に入っていたと考えられそうですね。

宮中の守護から神社へ

日本へ伝来した当初、狛犬はいまのように人々に身近な存在ではありませんでした。当時は天皇や皇統の守護獣として扱われていたようです。この時代の古典文学にも尊い存在として登場しています。
やがて狛犬は天皇と縁のある神社にも置かれるようになり、日本へ広がりました。伝来当初は左右対称だった狛犬は、時代を経るにつれて非対称になり、いまの「阿吽」の形になったそうです。

狛犬の役割は? 神社の守護と人々の魔除け

かつては宮中の守護を担っていた狛犬ですが、日本中の神社に広がり、人々の生活に登場するようになってからは、少しずつ役割が変化しました。
神社では参道を守り、魔除けの役割を担っています。神域が侵されないよう、最前線で重大な役割を果たしているのですね。
また、人々はその魔除けの力を借り、身体の痛みを取ってもらえるよう信仰していたそうです。
身体の痛みと同じ場所をなで、「早く痛みがよくなりますように」とお祈りしたのだとか。効果のほどは分かりませんが、人々が大切に信仰していたことは確かでしょう。

似ているけど違う? 狛犬とシーサー

沖縄でよく知られる「シーサー」は、狛犬とよく似た外見をしています。沖縄は独特の文化をつむいできた土地ですが、やはり魔除けとして置かれているのだそうです。その起源もやはり「獅子」にあり、土地は違っても共通する人々の想いに感慨深さを感じます。

ただ、狛犬と違う部分も多々あるようです。狛犬は神社の参道に置きますが、シーサーは一般家庭の屋根や玄関で見かけることも珍しくありません。
また、狛犬は神社に邪気が入らないように守り、ときには邪気と戦うそうです。いっぽう、シーサーは家の中に邪気が入らないようにしながらも、ときには幸運を招き入れることがあるのだとか。

カラーリングやサイズにも違いがあります。シーサーは狛犬よりも小ぶりで赤茶色の見た目です。狛犬はそれよりも大きく、灰色をしています。置き方も狛犬は左右非対称の阿吽ですが、シーサーは左右対称になっています。

魔除けという役割は同じなのに、違う部分が見えるのは興味深いですね。ただ、どちらも人々の生活に溶け込み、大切にされていることは間違いありません。

狛犬が見守る神社と人間の暮らし

狛犬が見守る神社と人間の暮らし
神社の邪気を払い、人々の身体から痛みを取り除くと言われている狛犬。普段なにげなく通っている参道でよく見かける狛犬たちが、そんな働き者だったと知らなかった人も多いのではないでしょうか。
これからは神社の前を通るとき、「がんばってね」と心のなかで声をかけてみるのも楽しいかもしれません。愛犬のお散歩ついでにエールを送るのも素敵ですね。

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楽しむ 2022-07-27

恐竜たちの世界を堪能しよう! 人気の「恐竜博物館」5選

毎年、夏休みのシーズンになると恐竜の大型イベントが各地で開催されています。動物園や水族館などでは味わえない恐竜たちの迫力満点な姿を楽しめるのが魅力ですよね。
そして、期間限定でこうしたイベントの会場になっていることもある「恐竜博物館」では恐竜の全身骨格標本や模型などが常設展示されているので、「図鑑や映画で恐竜に興味を持った」という方はもちろん、「今年はあまりお出かけできなかった」という方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

今回は、ご家族で楽しみながら生物の歴史が学べる「恐竜博物館」や「恐竜の化石が展示されている博物館」を5つピックアップしてご紹介しますので、休日のお出かけの参考にしてみてくださいね。

※新型コロナウイルス感染拡大の影響で各施設の営業日や営業時間、予約状況や入場方法、イベント内容やスケジュールなどが変更となっている可能性がありますので、お出かけの際は各公式サイトをご確認ください。

福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)

福井県勝山市・長尾山公園内にある福井県立恐竜博物館は、「世界三大恐竜博物館」と称される日本を代表する恐竜博物館です。
館内には展示面積4500㎡を誇るドーム型の常設展示室があり、恐竜骨格や化石、ジオラマや標本、復元模型などが展示され、「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴史」の各エリアに分かれて恐竜をはじめとする古生物や地球史の展示などが充実しています。

なかでも、まるで立体の図鑑のような44対もの恐竜の全身骨格は圧巻で、そのうち10対は実物の骨格となっています。
また、恐竜の時代にタイムスリップしたような気分が味わえる中国四川省の中生代の情景を再現した復元ジオラマ・対面シアターや、展示室の中央で来場者を出迎える迫力満点のティラノサウルスのロボット、常時公開されている化石クリーニング室なども人気を博しています。
さらに、日本最大の恐竜化石発掘現場である勝山市北谷町の「野外恐竜博物館」のバスツアーでは「観察広場」「展示場」「化石発掘体験広場」の3つのゾーンに分かれて、実際に恐竜の化石発掘を見学・体験することができます。

福井県は「恐竜王国」とも呼ばれており、福井県立恐竜博物館以外にも各地に恐竜スポットが点在していますので是非セットで訪れてみてはいかがでしょうか。

国立科学博物館(東京都台東区)

東京・上野にある国立科学博物館は1877年に創立された日本で最も歴史のある博物館の一つであり、国立としては唯一の総合科学博物館です。
自然と科学技術に親しむことができるスポットで、日本の自然環境が学べる「日本館」と人類の歴史や地球の自然を学べる「地球館」という2つの建物でフロアごとに展示が行われ、450万点以上の貴重なコレクションを保管しています。

地球館・地下1階の恐竜展示室ではティラノサウルスやトリケラトプス、ステゴサウルスやアパトサウルスなどの骨格標本が展示されており、迫力満点なスケールの大きい姿で来場者を驚かせています。
さらに、日本館・3F北翼では日本で初めて化石が発見されたフタバスズキリュウの復元骨格も展示されています。
常設展のほかにも、期間限定の特別展で恐竜や化石に関するイベントが行われている場合もありますので是非チェックしてみてくださいね。

また、最新の宇宙開発技術や日本に落ちた隕石・鉱物、アメリカ政府から寄贈された「月の石」、日本で発見された様々な生物の化石など、恐竜以外にも興味深い展示物が数多く常設されているので1日かけてゆっくりとお楽しみください。

御船町恐竜博物館(熊本県御船町)

熊本県上益城郡にある御船町恐竜博物館は町立の自然史博物館です。
九州最大規模の骨格展示数を誇る恐竜博物館として知られ、県外からも多くの人々が足を運ぶ人気観光スポットとなっています。
御船町は白亜紀後期の恐竜化石の産出量が日本一のエリアであり、御船層群から日本初となる肉食恐竜「ミフネリュウ」の化石が発見され、その後も様々な恐竜の化石が発見されたことから「御船町恐竜博物館」が開館しました。

館内では、御船層群から発掘された恐竜の化石をはじめ、魚類や哺乳類、爬虫類、貝や植物の化石も展示されており、世界中から集められた恐竜の全身骨格などもあわせてその数約850点にのぼる資料が常設展示されています。
さらに化石クリーニング作業室や研究室、収蔵庫まで公開されており博物館の職員の仕事を見学することができます。
また、化石発掘体験場の「みふね化石ひろば」では貝や植物の化石採集などを家族みんなで楽しめるプログラムが充実しています。

常設展のほかにも、期間限定で特別展や企画展も開催されていますので、熊本を訪れる際は是非最新の情報をチェックして恐竜博物館へ足を運んでみてはいかかでしょうか?

長崎市恐竜博物館(長崎県長崎市)

長崎県長崎市で2021年10月29日にオープンした長崎市恐竜博物館は、世界最大級のティラノサウルス・レックスの大型全身骨格レプリカをはじめ、長崎で発見された貴重な化石など、約180点にのぼる標本が展示されています。
長崎県では2010年に初の恐竜化石が発見され、その後も長崎市内でこれまで1,300点以上もの化石が発見されたことから、特に多くの化石が見つかった野母崎地区に長崎市恐竜博物館が開館しました。

常設展示室は、「長崎の大地」「生命の記録」「恐竜の時代」など生物の進化や地球環境に関する5つのテーマ毎に構成されており、ティラノサウルス・レックスの骨格レプリカのほかに、鎧竜や翼竜などのユニークな化石が展示されています。
触ることもできる本物のトリケラトプスの角や、2階展示室の全長6mのリアルなティラノサウルス科復元ロボットなども必見です。
「オープンラボ」では恐竜の化石などについての研究の様子を無料で見学することもできますよ。

また、恐竜博物館の外に出ても恐竜のデザインの遊具が整備された公園や、海に目を向けると見える世界遺産・軍艦島など、まさに子供から大人まで夢中で楽しめる施設となっています。

神奈川県立生命の星・地球博物館(神奈川県小田原市)

神奈川県立生命の星・地球博物館は小田原市の自然科学系の博物館です。
46億年にわたる地球の歴史や、神奈川を中心とした自然科学に関する資料などが展示され、巨大な恐竜や隕石から、豆粒ほどの昆虫まで1万点にのぼる充実の実物標本で子供も大人も楽しめます。

常設展示は「地球を考える」「生命を考える」「神奈川の自然を考える」「自然との共生を考える」の4つの総合展示室があり、恐竜の全身骨格も4体展示されています。そのなかでも、エドモントサウルスはほとんどが実物化石のパーツから組み上げられているので必見です。
また、「恐竜の足跡の壁」や「アンモナイトの壁」などの展示をはじめ、実物標本が大きな本の形で展示された「ジャンボブック展示室」では地球博物館が収集した資料を見ることができます。期間限定の特別展やイベントなども行われています。

そのほかにも、恐竜の化石を見下ろしながら食事が楽しめるレストランなど、恐竜好きにはたまらないスポットですので、是非神奈川の豊かな自然を満喫しながら足を運んでみてはいかがでしょうか。

太古の生き物たちの世界へ出かけよう!

恐竜の博物館に行ってみよう
地球環境や生物の歴史が学べる「恐竜博物館」は今回ご紹介したスポットのほかにも、大迫力の展示が楽しめる施設が全国各地に数多くあり、今日も恐竜たちが多くの人々を出迎えています。
なかには、期間限定の特別展やイベントが行われている場合もありますので、是非お住いの地域の博物館に足を運んでみてください。
太古の生き物たちの迫力に子供はもちろん大人も童心に帰って楽しめることでしょう!

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知る・学ぶ 2022-06-29

古くから姿を変えずに暮らしている「生きた化石」たち

「生きた化石」という言葉をご存知でしょうか?
生きた化石とは、はるか昔から進化をせずに現代でもほとんど姿形を変えないで生息している生き物や植物のことを指します。
地層から発見される化石とほとんど同じ姿のままである場合が多く、私たちの身近にも生きた化石と呼ばれる生き物は存在しています。

そこで今回は、「生きた化石」と呼ばれる様々な生き物たちをご紹介します。

退化した肺があるシーラカンス

生きた化石の中でも知名度が高いのが「シーラカンス」という魚で、通常の魚とは一味違う古代的ロマンが溢れる魚です。
シーラカンスは4億年以上前の化石として多く発見されており、淡水、浅瀬の海、深海に多く生息しているとされ恐竜と同じ頃に絶滅したと考えられていました。

しかし、1938年に南アフリカ沖で漁の網に偶然かかり、ほぼ姿を変えずに生息していたことが判明しました。
その後は別の場所でも発見されるようになりましたが、淡水や浅瀬の海では発見されず、現代では深海性の種類のみが生き残っているようです。

シーラカンスが他の魚と異なる点は、ひれのつけ根に骨があり、動物の脚に似た動きをし、陸上の四足動物に近い内臓を持っているところです。
他にも背骨が発達しておらず、軟骨でできた1本の管が背骨の役割をしていることや、お腹の中で卵をかえして産むことなども挙げられます。

「進化論」では、水の中で生活していた魚が進化して陸に上がっていったと考えられていますが、陸に上がるためには肺が必要です。
シーラカンスは、えら呼吸をしているものの、使われなくなったとみられる肺があることがわかっています。
これは浅瀬で生息していたシーラカンスの祖先が再度海へ戻ったものだと考えられており、恐竜などが絶滅した際に深い海に潜っていた深海性のシーラカンスだけが生き延びたという説があります。

卵を産む哺乳類? カモノハシ

オーストラリアに住む「カモノハシ」も生きた化石と呼ばれています。

他の哺乳類と決定的に異なるのが、哺乳類であるのにもかかわらず卵を産むという、常識を覆した不思議な哺乳類だという点です。
カモノハシは恐竜がいた中生代から生息していると言われていて、哺乳類が地上に多く現れた時代から今とほとんど変わらない姿で存在しているのです。

哺乳類の中で一番古い生き物とされていて、鳥類と同じく卵で子どもを産むものの、哺乳類と同じく母乳で育つため哺乳類に分類されています。
カモノハシは卵内で子どもの栄養を作れない代わりに、母乳で栄養を補うのです。
また、幅広いクチバシがあるものの歯が生えていなかったり、後ろ足から分泌される毒素が爬虫類と限りなく近かったりと、まだ多くの謎が残っているようです。

クモやサソリの仲間・カブトガニ

不思議な姿をしている「カブトガニ」も約5億年も前から姿を変えていない生き物の一つです。

生息地はインドネシアやフィリピンが主ですが、実は日本にも一定数生息しており、瀬戸内海と九州北部に分布しています。
カブトガニは、シーラカンスと同じように海にとどまった種類が絶滅期を乗り越え、ほとんど姿を変えずに生き残ったと言われています。
現在カブトガニは4種で、体長30センチを超える個体も存在します。

「カニ」と名前が付いていますが、甲殻類ではなく、クモやサソリに近い生き物で、血液が青く、穴を掘る習性があります。
食べることも製品にすることもできず、漁の際に邪魔になるとされてきましたが、血液が毒素の検査薬に使われるようになり、今では高価な価格で取り引きされています。
また、日本では数が少なく絶滅危惧種に指定されています。

手軽に飼育できる身近なカブトエビ

カブトガニと似たところでは「カブトエビ」という生き物も存在します。
カブトガニを小さくしたような形をしていますが、カブトガニはクモに近いのに対し、カブトエビはカニなどと同じ甲殻類です。
淡水の田んぼなどに生息していて雑草を食べてくれる有益な生き物として知られ、特に西日本で多く見かけます。

カブトエビは甲殻類の中でも古い形を残したまま、約2億年以上前から存在しているとされています。
大きさは4センチ程度で、裏にはたくさんの脚があり、その姿からも古代生物らしさを感じます。
元々日本には分布しておらず、海外から持ち込まれたとされており、ライフサイクルが田んぼの周期に合っていて、日本の環境に馴染んだとも言われています。

カブトエビは飼育キットも販売されています。成長速度が速く、目に見えないサイズから数日で大きくなり、よく夏休みの自由研究などで使われることもあります。
寿命は2~3ヶ月と短く、孵化から10日程度で産卵が可能となり、水に入れると孵化する不思議な卵は、数年間は持つとされています。
雌雄同体で一匹だけで卵を産むことができる種もいて、これらが古代から生き延びてきた要素とされています。
古代生物を気軽に育てることができるので、興味があれば飼育してみるのも良いでしょう。

イカやタコの仲間・オウムガイ

オウムガイ
初めてオウムガイを見た方の中には、貝なのか、ヤドカリなのか、イカなのか、タコなのかなどと戸惑う方もいらっしゃいますが、イカやタコと同じ軟体動物に分類されていて、大きな殻を持っているのが特徴です。
南太平洋からオーストラリア近海の水深100~600mほどの場所に生息していて、殻がもろく、水深800mを超えると水圧で壊れてしまうため、あまり深くでは生きられません。
約5億年前からほとんど姿形を変えずに生存しています。

殻の直径は約15~20cmで、発見されている化石で最大のものは30cmほどです。口元にある触手は約90本あり、この触手で物に付着したり獲物を捕食したりしています。
主に夜間に活動し、イカやタコと同じく身体から水を噴きだし、その推進力で移動をします。
目はついているものの、イカやタコのようにレンズ機能は無く、視力は良くありません。
巻貝に体を入れていますが、出口に近い場所にのみ体を入れており、その奥にはガスと液体が入っていて、この量を調整して浮いたり沈んだりしています。
なお、オウムガイとよく間違えられる「アンモナイト」はすでに絶滅していて、オウムガイも現在生息が確認されているものは5種類になります。

オウムガイは飼育することができ、海水魚などを扱っているお店やインターネット通販などで販売されていますが、飼育環境を整えるためには10万円ほど費用がかかります。主な餌はエビや魚の切り身になります。
夜行性なので昼間は休んでいることが多いものの、人になつきやすく、自ら寄ってくることもあるようです。
また、記憶を保持することができ、学習できることも判明していて、「学習することが可能な最古の種」とも言われています。
軟体動物にしては寿命が長く、環境を整えてお世話をすれば良いペットになるかもしれません。

たくましく生きてきた「生きた化石」たち

「生きた化石」という表現はダーウィンが著書の「種の起源」の中でカモノハシなどについて使ったのが最初だそうです。
古代の生き物は環境の変化に適応できずに絶滅をしたか、もしくは環境に適応して姿形を変えてきたものがほとんどです。
その点、生きた化石たちは姿を変えることなく、たくましく生き抜いてきました。
考え方によっては、環境に対して変化する必要がない完成された生態だとも考えられます。この先もずっと姿形を変えずに歴史を刻んでいくのかと思うと、なんとも神秘的ですね!

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