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知る・学ぶ 2024-03-25

黄色いリボンは何のサイン? 犬を守る「イエロードッグプロジェクト」

黄色いリボンをつけてお散歩している犬を見かけたことはありませんか? もしかすると「イエロードッグプロジェクト」に関わる犬かもしれません。
その場合は周囲の人の配慮が必要になる可能性もありますが、聞き慣れない人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、イエロードッグプロジェクトについて詳しく解説します。

犬を守るイエロードッグプロジェクト

イエロードッグプロジェクトは、一部の犬を守るために立ち上げられたプロジェクトです。より多くの犬が安心して外出や散歩ができるよう、その概要や歴史について知っておきましょう。

イエロードッグプロジェクトとは?

散歩中の犬のリードに黄色いリボンがついていたら、それは「近づかないでほしい」「そっとしておいてほしい」という意思表示です。これは飼い主のわがままではなく、なんらかの事情を抱える犬をストレスや衝撃から遠ざけるためにつけられています。
ただ、近づかないでほしい理由は決してその犬が攻撃的だからではありません。むしろどちらかといえば、近づくと怖がったり、ストレスを感じたりしてしまう状態の犬がイエロードッグプロジェクトに参加しています。
リードに黄色いリボンをつけた犬を見かけたら、声をかけたい気持ちをぐっとこらえ、少し離れた場所から静かに見守ってあげましょう。愛犬との散歩中にすれ違ったときには、愛犬も同じように見守ってあげられるように導いてあげてください。

イエロードッグプロジェクトの歴史

イエロードッグプロジェクトは2010年代にスウェーデンで始まりました。オーストラリアでほかの犬や人に対して強すぎる興味を示したり、ストレスを感じたりする犬に目印をつけていることを知ったスウェーデンの学者が提唱したことがきっかけです。
この活動には早い段階から賛同者が集まり、犬を愛する人々の間で積極的に取り入れられるようになりました。最近は日本でも認知度が高まり、取材メディアや口コミなどを通して、一般の人の間でも知られるようになりつつあります。
リードについた黄色いリボンは「事情があるため距離を取ってほしい」という意思表示です。見かけた時にはぜひ意識してあげてください。

こんなアイテムを身につけている犬には配慮を

配慮が必要な犬のリードにつけられているのは黄色いリボンだけではありません。最近は大きめのタグやワッペン、サコッシュなども見かけるようになりました。
タグやワッペンにはメッセージが記載されていることも少なくありません。たとえば分かりやすく「近づかないでください」と書いてあるものや、「治療中です」「トレーニング中です」などの事情説明がされていることもあります。
いずれにせよベースには黄色が使われているため、イエロードッグプロジェクトに参加している犬(イエロードッグ)であることは分かりやすくなっています。リボン以外でも認識できるグッズがついている場合には、イエロードッグが飼い主さんと安心して散歩できるよう、そっと見守ってあげましょう。

なぜ黄色いリボンをしているの? イエロードッグの特徴

黄色いリボンをしているイエロードッグはそれぞれ個々の事情を抱えています。いくつか代表的な事情をご紹介します。
また、このほかにもなんらかの事情で黄色いリボンをつけているイエロードッグもいるかもしれません。見かけた時には「何かあるんだな」と考えることが一番の助けになるでしょう。

健康上に問題を抱えている、治療中である

身体に健康上の問題があったり、手術をしたあとだったりした場合(回復期の場合)、ほかの犬や人に近づいてほしくないときがあります。接近に興奮して激しい動きをすると、体調悪化や手術後の傷口に悪影響が出てしまう可能性が考えられるためです。
仲良しの犬とすれ違っても、イエロードッグのマークをつけているときには遊びを遠慮して、改めて元気に遊べる機会を待ちましょう。その配慮に、飼い主さんもきっと喜んでくれるでしょう。

社会復帰のトレーニング中

なんらかの事情で社会になじむトレーニングが不十分なまま大きくなった犬は、改めてトレーニングが必要になることがあります。また、残念ながら虐待が理由で社会から遠ざかりたがる犬もいます。
そのような犬も社会で快適に暮らせるようにするためには、社会復帰のトレーニングが重要です。トレーニング中はほかの犬や人とうまく関わることが難しいため、イエロードッグは黄色いリボンをつけて外出します。
社会復帰のトレーニング目的で黄色いリボンをつけているイエロードッグは、ほかの犬や人が親しみの気持ちから気軽に近づくと、適切な行動ができない可能性が否定できません。
トラブルの原因になり、どちらも哀しい思いをしてしまうことがあります。社会復帰のトレーニングをしているイエロードッグを見かけたら、心の中で「がんばれ!」と応援してあげてください。

ほかの犬や人間が怖い、過剰反応してしまう

犬の性格はそれぞれで、なかにはほかの犬や人に好奇心を持つあまり、過剰な反応をしてしまう犬もいます。
飛びついたり吠えかかったりなどの行動はトラブルの元になるため、ほかの犬や人から遠ざけておきたいと考える飼い主さんもいるでしょう。そのような場合にもイエロードッグとして黄色いリボンをつけることがあります。
また、その反対のケースもあるでしょう。性格や過去のトラウマから、ほかの犬や人を過剰に怖がる犬もいます。パニックの原因になってしまうため、やはり遠ざけておきたい、そっとしておいてほしいと願う犬や飼い主さんもいることもあると覚えておきましょう。

介助犬のトレーニング中

イエロードッグの中には、介助犬になるためのトレーニングをしている犬もいます。盲導犬、聴導犬をはじめ、セラピードッグなど、訓練を積んだ犬の仕事振りを見て頼もしいと感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
トレーニング中、好意でも声をかけたり飼い犬が交流したがったりすると、イエロードッグの気が散り、訓練の効果が薄れてしまうことがあります。立派な介助犬になれるよう、交流したい気持ちを我慢して、心の中で応援してあげましょう。

愛犬がイエロードッグでは?と感じたら慎重な対応を

イエロードッグの特徴を知り、「もしかすると自分の飼い犬もイエロードッグかも…」という疑問を持つ人もいるかもしれません。確かに、周囲の配慮が必要な行動をする犬がいることも確かです。
しかし、必ずしもイエロードッグであるとは限りません。むしろあらためてしつけをしたり、外部との関わり方を変えてみたりするだけで、今までとは違う前向きな行動になる可能性もあります。

すぐにイエロードッグだと判断する前に、獣医さんやイエロードッグの活動をしている団体などに相談してみることをおすすめします。

少しの配慮でイエロードッグが安心できる環境を!

イエロードッグはさまざまな事情を持った犬たちです。そんな犬たちを支援するイエロードッグプロジェクトは、わたしたちの少しの配慮と協力で大きな効果を発揮することにつながるかもしれません。
犬は社会で人と幸せに暮らせる性質を持った動物です。黄色のリボンをつけた犬を見つけたら、その犬が幸せに暮らせるよう、少しだけ配慮してあげてください。

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知る・学ぶ 2023-11-28

犬の散歩は子供だけでもOK? 大人の付き添いが必要な理由と注意点

子供の成長にともない、「そろそろ愛犬の散歩を任せてみようかな」と考える保護者は多いでしょう。
年齢にもよりますが、子供だけで犬の散歩をすることは危険な一面があり、大人のサポートが望ましいと考えられています。
今回は子供と犬の散歩で注意するべき点や、大人が付き添ったほうがよい理由などについて解説します。

大人が散歩に付き添ったほうがよい理由とは?

子供だけで犬の散歩に行く場合、子供視点では思い付かないようなトラブルの可能性がひそんでいるものです。「うちの子はまだこんなトラブルに対応できそうもない」と考えられるのなら、大人が付き添いましょう。

1.主導権は子供と犬のどちらが握っている?

大人から見た子供と愛犬の関係において、どちらが主導権を握っているかを見極めることはとても重要です。その理由は子供が主導権を握っていない場合、犬が散歩中に勝手な行動をしてしまいかねないからです。犬は「自分に主導権がある」と認識している子供が相手では、「子供が導くコースへ行きたがらない」「リードの合図を無視する」など、言うことを聞かないことによって安全に関わるトラブルが起きてしまう心配があります。
そのため、子供が主導権を握れるようになるまでは、大人が指導しながら一緒に散歩をしたほうが安心です。ご家庭内でも生活での関わり方に注意を配り、子供と愛犬が上手な関係を築けているかを見極めましょう。

2.子供の力は犬よりも強い?

しっかりとしつけされている賢い愛犬でも、散歩中に人や物とぶつかりそうになったり、他の犬に吠えられてしまったりすることがあれば、驚いて暴れる可能性は否定できません。
その際、子供の力で愛犬の行動を制御できるでしょうか。もし制御できなければ重大な事故につながってしまう恐れも考えられます。犬種によっては大人でも制御に苦労するほどです。
格闘家のような筋力が必要とまでは言いませんが、最低限、愛犬の動きを制御する力を持っていることが望ましいでしょう。

3.お散歩マナーを理解して実践できる?

犬の散歩にはさまざまなルールやマナーがあります。リードをつけた犬と歩けばOKというわけにはいきません。
たとえば愛犬が排泄をしたとき、始末をせずに立ち去ることは重大なマナー違反です。地域の環境にも関わります。また、犬友達との挨拶は円滑な人間関係や愛犬同士の穏やかな交流に欠かせません。
子供でもそのようなルールやマナーを理解し、実践できるように教えてあげて下さい。「子供だから多少できなくても多めに見てほしい」ではなく、「子供だからこそ今から教えておかなくては」と考えましょう。最初は完璧にできなくても、保護者と一緒に練習を重ねるうちに、立派な飼い主に成長するはずです。

大人が散歩に連れて行けないときだけでもダメ?

急な仕事や体調不良で、いつも散歩を担当する大人が出かけられない日もあるでしょう。「散歩は毎日行かせたいし、今日だけは子供に…」と考える人がいるかもしれません。気持ちは分かりますが、そんな日は散歩をお休みにして下さい。
「犬の散歩は毎日しなければ!」という考えも間違いではありません。散歩は愛犬の健康管理やストレス解消にとても役立ちます。かといって、子供だけで散歩に行かせることは、前述のとおり危険が伴いがちです。愛犬と子供のために思い切って散歩をお休みする勇気も必要ではないでしょうか。

散歩をお休みした日は、その代わりに愛犬と思い切り家の中で遊んであげたり、普段より広い行動スペースを作って歩き回らせてあげたりしてみるのも良い方法です。
大人が対応する時間がない場合は、子供に「一緒に遊んであげて」「歩くスペースを作って見守ってあげて」とお手伝いをしてもらうこともおすすめです。犬との関係を深める絶好の機会にもなります。

もし外でしかトイレをしない犬なら、ベランダや庭先に外と似た環境を作ってみましょう。また、いざというときに備え、室内でトイレができる「おうちトイレ」の練習も役立ちます。

子供に愛犬の散歩を任せる準備や練習を

今はまだ安心できなくても、子供がもっと成長すればいずれ安心して愛犬の散歩を任せられるようになります。その時を楽しみに、犬の散歩に必要なマナーや行動を練習させることもおすすめです。
次にご紹介する5つのポイントは特に意識しておきましょう。

愛犬と確実な意思疎通ができる関係に

保護者が決めた散歩コースから外れずに適切なペースで歩くことは、安全な散歩に欠かせない条件です。そのためには、子供と愛犬がしっかりと意思疎通できる関係性を築く必要があります。
「犬が行きたがっても違う道へ行かない」「引っ張られても従わない」「保護者が教えたルールを愛犬と一緒に守りながら歩く」などの約束を作り、実現できるような関係性が築ければ安心感が増すでしょう。最初は保護者も一緒に散歩をし、散歩中の愛犬の挙動や指示の出し方などを見せてあげると理解しやすいはずです。

集中力を身に付ける

子供はしっかり成長したと思っても、まだまだ好奇心が旺盛です。散歩中、目を引かれたものに集中力を奪われ、リードのコントロールや愛犬の挙動への配慮がおろそかになってしまう可能性があります。その場合、思わぬ事故やトラブルにつながりがちです。
「まだ集中力が足りない」「スマホに夢中になりながら歩いてしまいそう」という心配があるうちは、保護者も一緒に散歩へ行き、注意を払った方が安心でしょう。

散歩コースを覚える

単純なことですが、重要なことでもあります。保護者が決めた散歩コースを覚えないまま子供だけで散歩へ出ると、迷子になってしまったり、普段とは違う環境で愛犬が興奮したり、逆に脅えてしまったりする可能性があります。
子供だけでは対処が難しい状態になることも考えられるため、散歩コースは必ず覚えてもらい、守らせるように指導しましょう。

犬同士、飼い主同士のマナーを学ぶ

散歩中、ご近所の犬と飼い主に会うことは少なくありません。飼い主とは挨拶をし、犬同士が遊べそうであれば遊ばせるなどのマナーやルールを教えましょう。
思春期の子供は挨拶を恥ずかしがり、早足で立ち去ろうとするかもしれません。しかし、それは社会的なマナーとして失礼であることや、よその犬と遊びたい愛犬ががっかりすることなども説明しておきましょう。
分かっていても素っ気ない態度を取ってしまいそうなら、誤解されないよう先に保護者がご近所の人に説明しておくと良いかもしれませんね。

排泄物の処理を覚える

大小関わらず、トイレの処理方法を覚えてもらいましょう。排泄物に慣れていない子供は怯むかもしれませんが、飼い主が避けて通れない責任のひとつです。
最初は上手にできないとしても、慣れればきっとスムーズに処理できるはず。見守りながら上達を待ちましょう。お家で愛犬のトイレ掃除を担当してもらい、排泄物への抵抗感をなくしていく方法もおすすめです。

まずは大人の付き添いを! 子供の成長も楽しんで

まずは大人の付き添いを! 子供の成長も楽しんで
慣れていない子供だけでの犬の散歩はおすすめできません。まずは大人がリードを持ち、どのように散歩をしているのかを見せながら教えてあげましょう。その過程で散歩中の注意点やマナー、ルールなどを学んでいけるはずです。
子供は愛犬の散歩を通し、安全な散歩の仕方をはじめ、社会的なマナーやルールなどを学ぶことでしょう。散歩は愛犬の健康管理に大切ですが、子供の成長の機会にもなります。その姿を楽しみつつ、必要なときはサポートしてあげて下さい。

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知る・学ぶ 2023-10-23

セラピードッグは何をするの? 人々の生活と心に寄り添う犬たち

セラピードッグは身体や心に病気を持つ人々、障がいを持つ人々に寄り添う犬のことです。ふれあいを通して癒やしや勇気をもたらし、ときには回復に好影響を与えます。
今回は、人間たちを大きな愛情で支えてくれるセラピードッグについて詳しくご紹介します。

ドッグセラピーで活躍するセラピードッグ

ドッグセラピーとは、動物を使った治療方法「アニマルセラピー」のひとつです。ドッグセラピーで活躍する犬を「セラピードッグ」といい、ふれあいによって対象の人々に安心感や癒しを与え、現状の改善に役立てる仕事を持っています。

セラピードッグは高度な訓練を受け、一般的な犬とは違うスキルを身に付けて人間に貢献してくれる貴重な存在です。高齢者施設や病院、ホスピス、心身障がい者の入所施設や児童施設、教育現場で人々の心身に好影響を与えるほか、刑務所で服役囚の社会復帰の一助になったり、被災地で人々の心を支えたりするなど、幅広い活動をしています。

犬とふれあうだけで何が変わるの?

たとえば、あなたが仕事や学校でつらいことがあった日を想像してください。落ち込んで家に帰ったとき、愛犬があなたを見て喜び、しっぽを振って迎えてくれたらどれほど癒やされることでしょうか。
犬にはそんな癒しの力があります。セラピードッグは飼い主だけではなく、多くの人々と安全にふれあえるスキルを身に付け、同じように癒やしや元気をもたらすのです。

セラピードッグは具体的にどんな効果があるの?

セラピードッグは人々に癒やしや元気をもたらすだけではなく、心身の成長やマイナス状態からの改善、ときには病状の回復に好影響を与えます。

心身の成長

セラピードッグは学校や児童養護施設を訪問することがあります。はじめは犬とふれあえなかった子どもたちも、回数を重ねるうちにふれあえるようになったり、笑顔を見せるようになったという報告があります。
また、参加した児童や生徒たち同士の関係がセラピードッグを通して深まることも期待できます。

認知症状や抑うつ症状への好影響

セラピードッグとのふれあいは、認知症状や抑うつ症状に好影響を与えるといわれています。ふれあいにより心の安定やストレス解消が促進されるそうです。
科学的な根拠はないとのことなのですが、ペットを飼っている人なら癒やされた経験から「ありえる」と思えるのではないでしょうか。

機能回復への好影響

セラピードッグがリハビリをサポートすることにより、記憶を取り戻したり、機能がおとろえていた手足が回復したりすることもあります。
セラピードッグが寄り添ったからといって必ずしもその効果が出るわけではありませんが、「もっとふれあいたい」「お世話をしたい」という心が身体機能に好影響を与える可能性は否定できないでしょう。

コミュニケーションの充実

セラピードッグが刺激になり、コミュニケーションが円滑になることがあります。
たとえば毎日それほど大きな変化のないケア施設では、高齢者の生活が単調になりがちです。刺激の少ない生活では表情や会話が少なくなってしまいがちですが、セラピードッグとのふれあいがきっかけでほかの入所者と会話が弾んだり、表情が豊かになることが期待できます。

どんな犬がセラピードッグになるの? その方法は?

セラピードッグになれる犬種や方法などについては、あまり知られていません。もしも興味を持ったかたはぜひ参考になさってください。

セラピードッグの犬種はとくに決められていない

セラピードッグになれる犬種に制限はありません。犬種よりも以下のような性格が重視されます。

・穏やかで人間が好き
・人見知りをしない
・大きな音や見知らぬ場所でも落ち着いていられる

このような性格であり、基本的なしつけがされていれば、多くの犬がセラピードッグの候補になれます。

必要な資格

セラピードッグになるために、国家資格はとくに設けられていません。しかし、セラピードッグを輩出する各NPOが設けた試験をクリアしなければ登録ができないとしている団体も少なくありません。
愛犬を本格的にセラピードッグとして活躍させたいのであれば、登録したいNPOが指定する認定試験を受けたほうがよいでしょう。

訓練内容

訓練は一般的なしつけに加え、以下のような点が重視されます。

・人の膝の上で落ち着いていられるか
・無駄吠えをしないか
・おもちゃやエサを見て興奮しないか
・ほかの犬を見て興奮しないか
・飛びつき癖、突進癖がないか
・セラピードッグの仕事を楽しめそうか

個々に犬の得意分野を伸ばしつつ、苦手分野を克服する訓練方法が必要です。個人で訓練するよりも、NPOなどが提供する専門的な訓練を受けたほうが安心だと考える場合には、対応している団体への連絡をおすすめします。

人々をよりよい方向へ導いてくれるセラピードッグ

人々をよりよい方向へ導いてくれるセラピードッグ
無償の愛を向けてくれるセラピードッグたちは多くの人々を助けてくれます。心身の成長、社会性の促進などの効果もあり、最近は需要が高まるようになりました。どこかでふれあう機会があったときには「ありがとう」と伝えてあげてください。きっと喜んでくれるはずです。

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知る・学ぶ 2023-08-25

警察犬になるためには? 向いている犬種や訓練方法

事件解決で活躍する警察犬。真面目に仕事を果たそうとする姿に「かっこいい!」と思う人も多いでしょう。飼っている犬を警察犬にしたいと考えるかもしれません。
ひとくちに警察犬といっても、どんな仕事を任されているのでしょうか。また、どのような方法で警察犬になるのでしょう。
今回は、警察犬について詳しく解説します。

警察犬の仕事は? 賢さと勇猛さが必要な任務が多数

私たちが警察犬を見かけるのは、おもに事件のニュース報道ではないでしょうか。あまり身近ではないため、「事件があるときだけ仕事をするのかな?」と考える人のほうが多いかもしれません。
でも、警察犬は事件があってもなくても毎日しっかりと仕事をしています。

優れた嗅覚で捜査に貢献

犬の五感は人間の何倍も敏感です。優れた嗅覚を活かして捜査に貢献します。事件では地面のにおいを察知し、犯人や行方不明になっている人を追跡する仕事を担当。映画やドラマでもよく見かける光景ですね。

警官と一緒にパトロール

普段は可愛らしい犬でも、仕事になればビシリと威厳ある姿になります。相棒の警官と一緒にパトロールへ出て、地域の治安維持に努めることもあるそうです。
見かけたらつい声をかけたくなってしまうかもしれませんが、お仕事中は集中を欠かないよう、できるだけそっとしておいてあげましょう。

テロリストを警戒!

警視庁と千葉県警の警察犬に限りますが、テロリストの警戒業務を担当しています。要人の警護や重要な施設警備をおこなうだけではなく、爆発物の発見なども任されるのだそうです。また、災害時には災害現場で被災者の救助に奔走することも。

皇居で警備に参加

都内の皇居や皇族のみなさんがお住まいになる住居を警備します。皇族のみなさんからねぎらいの言葉をかけられることもあるそうですよ。

警察犬になるためには?人間もびっくりの高度なトレーニング

警察犬になるためにはさまざまなトレーニングが必要です。厳しいトレーニングを乗り越えた犬だけが優秀な警察犬として任命されます。

警察犬になれるのはどんな犬種?

日本では警察犬になれる犬種が指定されています。基本的にはシェパード、ドーベルマン、ラブラドールリトリーバー、ゴールデンリトリーバー、ボクサー、エアデールテリア、コリーです。どの犬種も堂々とした体格で、いかにも警察犬といった雰囲気が似合いそうですね。
しかし、こちらは警察が直接育成する「直轄警察犬」です。民間で訓練された「嘱託警察犬」の場合はその限りではありません。実際にチワワやトイプードルのような小型犬も警察犬として活躍している実績があります。

警察犬になるためのトレーニングと試験

警察犬になるため、候補の犬たちは厳しい訓練を受け、最終的に試験にのぞみます。
トレーニングでまず重視されるのは基本的なしつけや素質です。人間との主従関係を理解しているか、集中力はあるのかなどが見られます。数ヶ月の訓練で適性があるかどうかを判断し、適性があれば次の段階へ進むというスケジュールです。
適性を見出された犬は、いよいよ本格的な訓練を受けることになります。現場で警察官の指示に服従するため、「待て」「伏せ」「座れ」といった動作命令からスタートです。
動作命令を身につけたあとは、すぐれた嗅覚を活かすための「臭気選別訓練」や、犯人や行方不明の人の足跡を追う「足跡追求訓練」などが始まります。
また、犬によって個性や適性があるため、一頭一頭に合わせた応用訓練もあるのだそうです。その犬ならではの能力が伸ばされることもあるかもしれませんね。
厳しい訓練を終えた犬は検定試験に進みます。検定試験に合格すれば晴れて警察犬デビューへ。頼もしく、勇ましい姿を見せてくれるようになりますよ。

引退した警察犬の過ごし方

警察犬は一定の年齢になれば引退します。一般的には約10年勤務するそうです。
引退した警察犬は穏やかな余生を過ごせます。訓練中や活躍中に指導した人が引き取ったり、ときには里親に引き取られたりなど、安心して暮らせる環境が用意されるため安心です。
また、直轄警察犬の場合、トレーニングを受けた施設のなかで余生を過ごすこともいるそうです。長年暮らした勝手知ったる場所でのんびりと暮らすのもすてきですね。
いままで人間社会のために尽くしてくれたのですから、やさしい家族に愛されて暮らしたり、気ままに過ごせる環境でゆっくりしたりなど、充実した余生を楽しんでほしいものです。

警察犬は厳しいトレーニングを乗り越えたエリートぞろい!

警察犬は厳しいトレーニングを乗り越えたエリートぞろい
立派なはたらきで社会を守る警察犬は、厳しいトレーニングと検定試験を乗り越えた、いわばエリート犬ばかりです。社会の治安を守ってくれる姿は思わず賞賛したくなることも。
わたしたちの社会を支える警察犬のはたらきに感謝しながら、見かけたときには心のなかで「がんばれ!いつもありがとう!」と声をかけたいものですね。

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知る・学ぶ 2023-05-29

盲導犬になれるのはどんな犬? 適した犬種や私たちとの関わり方

目に障がいを持つ人をサポートする盲導犬。仕事をこなす姿はとても立派です。盲導犬になるためには厳しい訓練が必要だと言われていますが、具体的にはどのような過程を経て盲導犬になるのでしょうか。

今回は盲導犬になるための訓練や歴史、向いている犬種などについてご紹介します。

目が見えない人や目が見えにくい人を助ける盲導犬

盲導犬は「目が見えない人」だけをサポートすると考えている人が多いかもしれません。実際は完全に視力を失った人だけではなく、視力があっても見えづらさを感じる人であればサポートの対象です。日本盲導犬協会では盲導犬のサポートを受ける人を「盲導犬ユーザー」と呼んでいます。

段差や障害物を避けるようサポートしたり、目的の場所へ安全に到着できるよう導いたりする盲導犬は、盲導犬ユーザーにとって大切なパートナーです。家族の一員として愛情をそそぎながら共同生活をしています。

古くはローマ帝国時代にいたという説も

盲導犬のはじまりを辿ってみると、古くはローマ帝国時代のイタリア・ポンペイにいたという説があります。犬に導かれて歩く人の姿が壁画に残されているそうですよ。

1800年初期、オーストリアで盲導犬の訓練がスタートしています。1900年初期には戦争の負傷兵をサポートするためにドイツで正式に盲導犬が採用され、その後、欧米で盲導犬の育成が始まりました。

日本に盲導犬がやって来たのは1938年頃です。ドイツから4頭の盲導犬を迎えたことをきっかけに育成が始まり、1957年には日本初の盲導犬・チャンピィ号が誕生しました。現在は国内で多くの団体が盲導犬の育成事業を手がけ、サポートを必要とする人と盲導犬の出会いを生み出しています。

盲導犬になるための訓練とは?

盲導犬になるためにはさまざまな訓練が必要です。まず、生後2ヶ月から1歳までは「パピーウォーカー」と呼ばれるボランティアの家庭で育てられ、人間社会に適応できるよう、社会化訓練がおこなわれます。

1歳からは訓練センターで訓練スタートです。訓練と言っても決してスパルタではなく、何かできるたびに「Good」と褒めながら人のサポートが楽しいと覚えていきます。
訓練を通して「人の指示を聞く」「人を安全に誘導する」「乗り物の乗降」「飲食店やショッピング中のマナー」など幅広いことを学び、テストに合格すれば立派な盲導犬の誕生です。

最後に、これからパートナーとして生活する盲導犬ユーザーの生活環境や諸事情にマッチするよう、細かい訓練をおこないます。パートナー候補の人と一緒に2~4週間ほど共同生活をし、お互いに理解を深め合う過程です。
共同訓練の後はおよそ10歳までの8年間を寄り添いながら過ごします。

引退した盲導犬はどうなるの?

盲導犬は10歳前後で引退します。仕事がなくなったと言って不遇な目に遭うことはありません。新しい家庭に迎えられ、ごく普通の飼い犬として大切にされ、のんびりと第二の人生(犬生?)を楽しみます。

引退後の盲導犬を迎え入れる家庭はボランティアが多く、盲導犬への理解があることがほとんどです。盲導犬ユーザーは引退後のパートナーの今後を心配するかもしれませんが、このような制度が整っているため、安心して任せられます。

どんな犬が盲導犬に向いているの?

盲導犬は温和な性格で、人のサポートを楽しめる犬種が向いています。日本ではラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、その両者の子どもとして生まれたF1が盲導犬として活躍しています。

海外ではこのほかにジャーマンシェパード、ドーベルマン、スタンダードプードルなど数多くの犬種がいるそうですよ。

ただ、この犬種だからといって必ずしも盲導犬に向いているわけではありません。性格によっては向き、不向きがあるため、両親の性格を見て判断されることもあるそうです。

もしもわたしたちが盲導犬と出会ったら

外出先などで仕事中の盲導犬に出会ったら、わたしたちはどうするべきでしょうか。

まず、ハーネスをつけているかどうかを確認します。ハーネスをつけている場合は一緒にいる人をサポートしている時間、いわば仕事中です。集中をさまたげないよう、そっとしておくとよいでしょう。
具体的には「声をかけない」「撫でたりさわったりしない」「興味を引くようなこと(じっと見つめるなど)をしない」「エサをあげない」などが重要です。

また、最近は携帯電話などで手軽に撮影できる時代ですが、仕事中の盲導犬を撮影するのは避けましょう。これも盲導犬の集中を欠き、盲導犬ユーザーと盲導犬を危険な状況にしてしまう可能性があります。

盲導犬は人の大切なパートナー

盲導犬は人の大切なパートナー
盲導犬は盲導犬ユーザーにとって大切な家族であり、生活をサポートするパートナーです。可愛いらしく、でも誇り高く仕事をする姿は思わず応援したくなりますよね。
もしも仕事中の盲導犬を見かけたら、心のなかで「Good!」と声をかけてあげてください。

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