ペットにも歯磨きが必要な理由とおすすめのデンタルケアグッズ
歯の健康は快適な生活を送る上で不可欠な要素ですが、それは動物にとっても同じです。最近ではペットのデンタルケアへの呼びかけが盛んに行われており、飼い主の方の意識も高くなっています。
ペット用品の店舗でもデンタルケアグッズが数多く並べられているため、「うちの子にも必要かな?」と購入を検討したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、ペットの代表格である犬と猫に歯磨きが必要な理由や歯磨きのポイント、おすすめのデンタルケアグッズ、注意が必要な症状などについてご紹介します。
犬も猫も! ペットに歯磨きが必要である理由とは?
動物愛護やペットの飼い方への意識向上の流れを受け、犬や猫の健康管理項目の一つに「歯磨き」があがるようになりました。
ペット用の歯ブラシや歯磨き粉などを置く動物病院も多くなっていますが、こういったペットの健康志向の高まりに対し、なかには「不要なのでは?」と歯磨きの必要性を疑問視している方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論から言えば、さまざまな症状を引き起こす歯周病を予防するために、犬や猫にも歯磨きをはじめとするデンタルケア(またはオーラルケア)が必要なのです。
歯周病がペットの健康に及ぼす悪影響とは?
歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が入り込むことによって歯茎が炎症を起こしてしまう口内疾患であり、主な原因は歯に残った歯垢と歯石です。
歯周病の症状は最初に口臭から始まりますが、進行すると次のような重い症状が現れます。
歯茎の腫れや出血
歯周病になると歯茎が赤く腫れ、出血することも増えてきます。これらの症状は健康な歯茎と比べてみると一目瞭然で、歯周病の歯茎は全体的に盛り上がっていることがわかるでしょう。唾液や鼻水に血が混じることもあります。
歯がグラグラする・抜ける
歯周病になると歯を支える歯茎が弱るため、歯がグラグラと不安定な状態になってきます。そのような状態の歯はいずれ抜けるので、床に落ちている歯を見て初めてペットの異変に気付く方もいらっしゃいます。
口内炎ができる
口内に激しい痛みが出る口内炎も歯周病の症状の一つです。口内炎ができると痛みで食欲がなくなったり、よだれがたくさん出たりするため、最初は風邪でも引いたのかと勘違いする場合もあるでしょう。
また、口内炎ができると口元を触られるのを嫌がるようになります。
内臓疾患を誘発する可能性も
歯周病を放置していると口内の細菌が全身に行きわたってしまい、心臓や肺、肝臓などの内臓疾患を誘発してしまう恐れがあります。
このように、歯周病は歯から体全体の不調を引き起こす、決して甘くみてはならない口内疾患だということがおわかりいただけたでしょうか。
ペットの食生活の変化も歯周病の一因に
歯を使って食べる動物であれば多少の歯垢・歯石は仕方がありません。
しかし、他の動物と違って人間に飼われている犬と猫に歯磨きが必要なのは、人間に飼育されて食生活が劇的に変化したためであり、ペットフードはそのような食生活の変化の代表的な例です。
ペットフードは歯垢がたまりやすい
ペットの主食であるペットフードは各メーカーがさまざまな調査を重ねて開発したフードであり、一定以上の価格・品質のものであればペットの健康維持には最適な餌です。
しかし、加工品であるペットフードには糖質が含まれていることが多く、定期的に歯磨きをしなければ歯垢が溜まりやすくなってしまうのです。
また、柔らかいウェットフードが登場したことも一因といえるでしょう。
ウェットフードは体力のない子や高齢の子、水をあまり飲まない子には最適なフードですが、使われている素材や加工の仕方によっては歯垢がつきやすいというデメリットがあるため、ウェットフードを常食にしてしまうと口内環境が悪化してしまう可能性があります。
ペットフードを与えるなら歯磨きは必要
つまり、ペットフードは犬と猫の健康を考慮して作られた大変優秀なフードですが、バランスの取れた栄養を手軽に摂取できる分、歯に負担がかかってしまうということです。
犬と猫の本来の食事は肉や魚などの高タンパクのものですが、日常生活ではいつでも新鮮な肉や魚を与えられるわけではないので、一緒に暮らすのであればペットフードの活用は必要不可欠でしょう。それならばやはり、歯周病を防ぐためにも歯磨きは必要です。
犬と猫の歯磨きのポイント
当然ながら、犬と猫は自ら歯磨きができません。したがって飼い主の方から積極的に働きかけなければなりませんが、その際は次のようなポイントを押さえておきましょう。
犬用または猫用歯ブラシを用意する
できれば犬用または猫用の歯ブラシを使いましょう。人間用の歯ブラシはサイズが合わないため磨きにくく、ペットが嫌がってしまうことがあります。
ペット用歯ブラシが手元にない場合は濡らしたガーゼやコットンでも代用できますよ。
前歯から磨く
いきなり奥歯から磨くと嫌がって抵抗する子もいるので、最初は前歯に軽く歯ブラシを当てるところから始めましょう。
慣れてきたら奥歯に移り、歯の内側と外側の両面を丁寧に磨きます。このとき、力を入れ過ぎないように注意してください。
ペットがリラックスしているときを狙う
人間であれば食後30分~1時間後あたりが歯磨きのタイミングですが、犬と猫の場合はそうもいきません。無理に磨こうとすると激しく抵抗し、歯ブラシを見る度に逃げ出すようになってしまう場合もあるため、機嫌が良く、リラックスしているときを狙いましょう。
歯磨きの頻度は1日1回が理想
犬と猫の歯垢は2日程度で歯石化します。人間の場合は1か月弱なので、いかに早く歯石化するかがわかりますね。
したがって、犬と猫の歯磨きの頻度は1日1回が理想です。少なくとも2日~3日に1回は行いたいところです。
歯磨きを嫌がる子におすすめのデンタルケアグッズ
歯磨きは犬と猫にとって一番手軽で確実なデンタルケア方法ですが、なかにはどうしても受け入れられない子もいます。
その場合は次のような便利なケアグッズを利用する手もあるので、飼い主の方はぜひ活用してみましょう。
チキンやミントなどの香り付き歯磨きジェル
チキンやミントなどの香りがする歯磨きジェルを使えば、美味しそうな香りにつられて歯磨きを受け入れる子もいます。「奥歯があと一歩のところで磨けない!」という場合はこのような歯磨きジェルを導入しても良いですね。
歯磨きシート
歯ブラシが苦手な子であれば歯磨きシートを使うのもおすすめです。
歯磨きシートは洗浄成分がシートに染み込ませてあるもので、指に巻き付けて歯磨きします。
デンタルスプレーや液体歯磨き
歯ブラシも歯磨きシートも受け付けない子の場合は口の中にシュッとスプレーするだけでケアできるデンタルスプレーや、飲み水の中に混ぜて歯の汚れを落とす液体歯磨きなどもあります。
歯磨きガム・ジャーキー
「愛犬・愛猫にあまりストレスをかけさせたくない」という方は美味しく、ストレスを解消しながらケアできる歯磨きガムやジャーキーがおすすめです。
若干固めに作られているため、噛んでストレスを解消しながら歯垢を落としてくれます。
歯磨きおもちゃ
好奇心旺盛な子の場合は歯ブラシを導入する前に、遊びながらケアできる歯磨きおもちゃを使う手もあるでしょう。歯磨きおもちゃで遊んでくれればそれだけでケアできるので、飼い主の方の負担も減りますね。
こんな症状が現れたら気を付けよう
毎日歯磨きしていても歯周病を完璧に予防できるわけではなく、知らないうちに状態が悪化していることがあります。
前述の通り、強めの口臭、歯茎からの頻繁な出血は比較的わかりやすい症状ですので、飼い主の方はこのような点を見落とさないようにしましょう。
また、口内の痛みによる食欲不振、これに伴う体重の減少、不機嫌な状態が続くといったことも歯周病にはよくある症状です。
このような症状が現れた場合はなるべく早く動物病院を受診させてください。
まとめ
犬と猫に歯磨きが必要な理由や歯磨きのポイント、おすすめのデンタルケアグッズ、注意が必要な症状などについてご紹介しました。
家畜化した動物は人間の生活様式にどんどん近づいていくものであり、家畜化を決めた私たち人間は彼らの健康をケアする責任があります。
今回ご紹介した犬と猫の歯磨きもその一つです。愛犬・愛猫の健康増進のためにも、飼い主の方は今一度彼らの口の中を細かくチェックしてみてはいかがでしょうか。