
犬と関わる仕事を調べると、「家庭犬訓練士」「犬訓練士」「ドッグトレーナー」など、さまざまな名称が見つかります。
いずれも犬のトレーニングに関係しますが、資格制度や学習内容、想定される働き方は同じではありません。
犬に関わる資格の選択肢の一つが、一般社団法人全日本動物専門教育協会(SAE)が認定する「家庭犬訓練士」です。
資格取得を目指すなら、資格名だけで判断せず、「どんな知識や実技を学べるか」「希望する仕事に合っているか」まで確認する必要があります。
今回は、ドッグトレーナーになる方法を中心に、家庭犬訓練士の資格で学べることや資格取得方法、適性について解説します。
家庭犬訓練士は、一般社団法人全日本動物専門教育協会(SAE)が認定する民間資格です。
一般家庭で暮らす犬のしつけやトレーニング、適正飼養、飼い主への指導などに関する知識、技術を学びます。
ドッグトレーナーを目指す人にとって、家庭犬への対応を体系的に学べる資格の一つです。
「家庭犬訓練士」には、初級、中級、上級、教師の4区分があります。
初級は指定校で1年間の学科と実技を修了した人、中級は初級取得後に指定校でさらに1年間学んだ人など、区分ごとに受験資格が定められています。
ドッグトレーナーを目指して家庭犬訓練士を取得する場合は、区分ごとの受験条件や学習内容を確認しておきましょう。
「ドッグトレーナー」は、犬のトレーニングに関わる職業を広く示す名称です。
しつけ教室や犬の幼稚園、ペットホテル、ペットショップなどで、犬のしつけやトレーニングを担当する人も含まれます。
民間資格を取得して働く人もいれば、専門学校や訓練所で知識・実技を学び、経験を積んで活動する人もいます。
そのため、ドッグトレーナーを目指すなら「どの資格を取るか」だけでなく、「どのような実習や経験を積めるか」まで確認する視点が大切です。
資格や養成機関によってカリキュラムは異なりますが、家庭犬のトレーニングでは幅広い知識と実技を学びます。
「おすわり」や「待て」を教えるだけでなく、犬の行動を読み取り、性格や生活環境に合わせて対応する力も求められます。
ドッグトレーナーを目指すなら、学んだ知識を実際の犬への対応に活かせるかも重要です。
家庭犬訓練士では、主に日常生活に必要となる犬のしつけやトレーニングについて学びます。
例えば、飼い主の合図で座る、呼ばれたら戻る、散歩中に強く引っ張らない、人へ飛びつかない、決められた場所で排泄する、留守番中に落ち着いて過ごす、ほかの犬へ過度に反応しないといった家庭犬への対応です。
犬種や年齢、性格、生活環境によって反応は異なるため、その犬に合わせてトレーニング方法を考える知識や技術も求められます。
家庭犬のトレーニングでは、犬への指導だけでなく飼い主への説明も重要です。
トレーナーの前では指示を聞いていても、自宅では同じようにできない場合があります。
そのため、飼い主が家庭でも実践しやすい接し方やトレーニング方法を、分かりやすく伝える力も必要です。
その際は、家族構成、散歩へ行ける時間、犬が普段過ごしている場所なども確認し、犬と飼い主の生活に合った方法を考えます。
ドッグトレーナーを目指すなら、犬への訓練技術だけでなく、飼い主へ分かりやすく伝える力も身につけておきたいところです。
犬は耳や目、口元、尾、姿勢、動きなどで状態を表します。
一見おとなしく見えても、緊張して動きを止めている場合があり、このようなサインを見落として無理に接すると、逃走や咬傷などの事故につながるおそれがあります。
家庭犬訓練士だけでなく、日本ドッグトレーナー協会(JDTA)のC級ライセンスでも、犬のボディランゲージやカーミングシグナルが学習内容に含まれています。
同じ犬種でも、性格や反応は一頭ずつ異なります。
人が好きな犬もいれば、見知らぬ人を警戒する犬、食べ物や遊びへの反応が強い犬もいます。
犬種だけで方法を決めず、目の前の犬を観察しながら対応を変える力が必要です。
ドッグトレーナーとして働くうえでも、個体差を見極める視点は重視されます。
前述したように、家庭犬訓練士には初級、中級、上級、教師の4区分があります。
いずれも誰でもすぐ受験できる資格ではなく、区分ごとに受験資格が定められています。
家庭犬訓練士の初級を受験するには、SAEが指定する専門学校などで1年間の学科と実技を修了する必要があります。
試験には学科と実技があり、知識だけでなく犬を扱う技能も確認されます。
そのため、家庭犬訓練士の取得を目指す場合は、進学先がSAEの指定校なのか確認しておきましょう。
また、SAEペットe-カレッジの家庭犬訓練士取得対策講座を通じて受験を目指す方法もあります。
これらの受験条件や対象講座は変更される場合があるので、申込前にSAE公式サイトで最新情報を確認してください。
中級は、初級取得後にSAE指定校でさらに1年間の学科と実技を修了した人が受験できます。
上級は、中級取得後に指定校で1年間学ぶ方法に加え、中級取得後に該当する職種で1年以上働いた人にも受験資格があります。
さらに教師は、上級取得後に該当職種で3年以上働き、勤務先の所属長から推薦を受けた人が対象です。
ドッグトレーナーを目指す人は、まず初級や中級を目標にしながら、学校での実習や卒業後の実務経験まで考えて学ぶとよいでしょう。
ドッグトレーナーを目指すうえで、「犬が好き」という気持ちはとても大切です。
一方、実際の仕事では犬と触れ合うだけでなく、排泄物の処理や清掃、安全管理、飼い主への説明なども行う必要があります。
そのため、観察力やコミュニケーション力、継続して学ぶ姿勢も求められます。
トレーニングでは、犬の反応を細かく観察する力が必要です。
昨日まで平気だった刺激を急に警戒したり、体調や環境によって集中力が落ちたりする場合もあります。
決まった方法を繰り返すだけではなく、「今日はいつもと違う」と気づき、対応を変えられる人はドッグトレーナーに向いています。
家庭犬のトレーニングでは、飼い主とのコミュニケーションも重要です。
犬がなぜその行動をするのか、自宅ではどのように接すればよいのかを、専門用語に頼らず伝える力が求められます。
ドッグトレーナーは犬だけを相手にする仕事ではなく、飼い主を支える役割も担います。
犬の行動やトレーニング、動物福祉に関する考え方は変化しています。
資格取得後も、新しい知識や技術を学び続ける姿勢が大切です。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)でも公認訓練士に毎年の義務研修を設けており、継続的な学習が重視されています。
ドッグトレーナーになるために必須となる国家資格はありませんが、今回ご紹介した家庭犬訓練士のほかに、JKCの公認訓練士、JDTAのドッグトレーナーライセンスなど、犬の訓練に関する民間資格は複数あります。
家庭犬訓練士は、家庭犬のしつけや飼い主への対応を学び、ドッグトレーナーを目指す際に活かせる資格の一つです。
しつけ教室、犬の幼稚園、ペット関連施設、独立など、目指す働き方によって必要な経験は異なります。
自分がどのようなドッグトレーナーを目指したいのかを考え、その方向に合った資格や学校、学習方法を選びましょう。