メリットや注意するべきことは? 子供とペットの関わり方

ペットとの関わりは子供の情操教育に良い影響を与えると言われています。情緒面や責任感、生命との関わりについての思考が深まるなど、保護者として注目したいメリットがいくつもあるようです。

子供の情操教育に興味がある・動物が好きという方なら、ご家庭にペットを迎え入れたいと考えることでしょう。同時に、子供とペットの共同生活で注意するべき点についても気になります。
今回は、ペットとの共同生活によって子供に与える影響や、注意点について詳しくご紹介します。

注目される子供とペットの関係

ペットと子供との共同生活については、日本だけではなく世界的にも注目が集まっており、研究者による研究発表や自治体のアンケートなどが実施されています。

イギリス:子供の感情や社会認知能力への好影響

2017年、イギリスの研究者たちによって「コンパニオンアニマルと子供/青年期の発達:証拠の系統的レビュー」が発表されました。幅広い研究結果が記載されている論文です。

この論文の中で保護者がとくに注目したいのは「幼少期からのペットの飼育は、子供の感情や社会認知能力に対して健康的な成長をうながす傾向がある」という点ではないでしょうか。
子供の頃のペットとの生活経験は、情緒や社会的スキルの成長に好影響が期待できるということですね。

日本:アンケートで「子供の情操教育」に注目する保護者が多数

2018年には東京都が「東京におけるペットの飼育アンケート」をおこないました。回答者のうち、11.3%がペットを飼う理由を「子供の情操教育のため」と答えています。
東京都に限らず、複数の自治体でも同種のアンケートがおこなわれています。やはり子供の情操教育に強い関心を持つ保護者が少なくない傾向が見られました。
子供とペットのかかわりを重視し、生活の中に迎え入れるご家庭は決して珍しくないと言えるでしょう。

ペットがもたらす子供への好影響とは

ペットと共同生活をすることにより、具体的にはどのような好影響があるのでしょうか。代表的な好影響を見てみましょう。

感情が健康的に成長する

ペットを飼うご家庭の子供は、感情面において健康的に成長する傾向があるようです。
ペットとの共同生活だけが理由ではないかもしれませんが、それでも感情の成長に大きな影響を与えていると考えられます。

・愛情深くなる
・命の大切さを学ぶ

ペットと共同生活をするご家庭では、子供にこのような好影響が見られます。ひとつの生命をはぐくむ環境の中、ペットに対して愛情を持つこと、そしていずれ訪れる別れのときに知る命の大切さなど、さまざまな体験が自然と成長をうながすのでしょう。

社会生活に必要なスキルが成長する

ペットとの共同生活を通し、社会生活に必要なコミュニケーションスキルや自尊心が育つ傾向も好影響のひとつです。

・コミュニケーションスキルが発達する
・自尊心が高くなる

ペットとは会話ができませんが、その分、表情をはじめとした全体的な様子で「何を求めているか」「どう感じているか」を理解するようになります。
その過程で身につけた想像力や分析力が、コミュニケーションスキルに反映されるケースが少なくありません。学校生活や社会生活においてコミュニケーションスキルは重要です。

また、親からペットの世話の仕方を学び、実際に面倒をみることによって、自尊心がはぐくまれます。世話をするうち、子供は「この命は自分が世話をしてあげなければ」と考えるようになるでしょう。それが「自分は必要とされている」という意識を芽生えさせ、自尊心に繋がります。
自尊心も子供の社会的な成長に大切な項目です。ペットとの共同生活で身につけやすいのであれば、間違いなく好影響だと言えるでしょう。

責任感、自立心、忍耐力が生まれる

ペットの世話をする子供は責任感がはぐくまれます。自分の手でひとつの命のケアをする事実と意味に気付いたとき、責任感が生まれるでしょう。
責任を持って世話をするうち、いつの間にか自立心が育つことも珍しくありません。そして言葉や人間の都合が通じないペットを相手に、いつしか忍耐を学ぶようになるでしょう。
責任感、自立心、忍耐力のいずれも、子供に身につけて欲しいスキルです。ペットは可愛いだけではなく、子供の成長を支える大切な存在にもなってくれそうですね。

生活に運動習慣を取り入れやすくなる

外での散歩が必要なペットとの共同生活なら、ペットがいないご家庭と比べ、外出と運動の機会が増加します。毎日の散歩で体力がつき、健康の向上が期待できるでしょう。
運動習慣としても散歩は良い選択肢です。ペットの散歩を通し、子供のうちから身体を動かす習慣を身につけられるのは間違いなく好影響と言えるのではないでしょうか。
また、散歩の途中ですれ違う地域の人々との交流も嬉しいものです。顔見知りが増えるのも子供にとって好影響ですね。

孤独をまぎらわせてくれる

生まれてからしばらくは保護者の腕に抱かれ、守られるばかりだった子供も、いつしか成長していきます。成長過程では、孤独を感じる機会が増えるものです。
反抗期、友人との喧嘩、人に相談しにくい悩み。孤独を感じやすくなるとき、ペットは何も言わずに寄り添ってくれます。成長している子供にとって、あたたかい存在になってくれるでしょう。

子供とペットの共同生活で注意したいこと

良い影響が多い子供とペットの共同生活。しかし、注意する点もあります。ペットをご家庭に迎え入れる前にチェックしておきましょう。

アレルギーの有無をチェックする

動物の毛やフケ、唾液や排泄物が人間にとってアレルゲンになってしまうことがあります。くしゃみや目のかゆみ、じんましん、呼吸器系の問題など、多くのアレルギー症状が確認されています。
ご家庭にペットを迎え入れる前にアレルギー検査をしたり、可能であればペットと数日間一緒に暮らせる「お試し期間」を利用し、家族全員の体質をチェックしておきましょう。

保護者もペットに愛情を持てるかどうか

子供の情操教育に良いからといって、そのためだけにペットを飼うのはあまり良いことではありません。保護者があまり動物に愛情を持てない場合、保護者自身がペットとの共同生活に苦痛を感じるようになってしまいかねないためです。

また、ペットの世話は子供だけでは難しいものです。やはり大人の手も重要になります。ペットの世話はそれなりに時間を割く必要がある上に、病気や怪我をすれば献身的な看病が必要です。愛情を持てない対象に時間を割くことは難しいのではないでしょうか。

「子供のためなら我慢できる」と言う保護者もいるかもしれません。しかし、保護者とペットの関係が良くないと感じた子供は哀しい気持ちになるでしょう。子供だけではなく、保護者もペットを飼いたい、愛したいという気持ちを持った上で、ご家庭に迎え入れるのが大切です。

金銭面で問題が生じないか

ペットの飼育は思った以上にお金がかかります。予防接種や医療費、餌代、生活に必要な雑貨の購入費など、年間で万単位の金額が必要です。
ペットにとって暮らしやすい環境を整えられるかどうか、家計と相談してから飼う・飼わないを決定しましょう。

ペットを飼うからこその恩恵がある

ペットを飼うからこその恩恵がある
感情の健康的な成長や社会的スキルの向上をはじめ、ペットを飼うことによって、子供の情操教育にいくつものメリットが期待できます。子供だけではなく、一緒に暮らす家族全員が望むのなら、ぜひ家族の一員として迎えてみてはいかがでしょうか。

ペットとの暮らしは人にとって癒やしや楽しみを与えてくれるものですよね。情操教育ももちろん大切ですが、何よりもご家族全員がペットとの生活を楽しんでください。それが何よりの情操教育になるかもしれません。

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