レッドリストとレッドデータブックって何?

誰もが一度は聞いたことがあるであろう、「レッドリスト」や「レッドデータブック」という言葉。どちらも生物に関係するものですが、その内容や違いをご存知でしょうか?

今回は実はあまり知られていない、レッドリストとレッドデータブックについてご紹介いたします。

レッドリストとレッドデータブックの違いとは?

「レッドリスト」とは絶滅の恐れがある野生生物種のリストのことで、世界的には国際自然保護連合(IUCN)、国内では環境省や地方公共団体などが作成しており、約5年ごとに見直しが行われています。

一方、「レッドデータブック」とは、レッドリストに掲載されている種の生息状況や絶滅危惧の原因などもまとめた解説本のことで、レッドリストより詳細な情報が記載されており、約10年ごとに見直しが行われています。
これらの情報は環境省がホームページに掲載しているので、いつでも誰でも見ることができますよ。

また、似た言葉に「(外来生物)ブラックリスト」や「ホワイトリスト」などがあります。
これらは外来生物や海外からの輸入生物などに関するリストなので、国際的な生物問題に興味がある方は一度調べてみてはいかがでしょうか?

レッドリストの中身はどんなもの?

レッドリストと一口に言っても、動物は哺乳類、鳥類、両生類、魚類、昆虫類、植物は維管束植物、藻類、菌類などのように分類群ごとにリストが分けられています。これらのリストの中身を見てみると、野生生物1種ごとの絶滅危機度合が、生息状況などによって細かくカテゴリー(ランク)分けされています。

カテゴリーには、まずすでに絶滅したと考えられる種として「絶滅 (EX)」があり、次に飼育や栽培下、または自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種として「野生絶滅 (EW) 」があります。

さらに、絶滅の危機に瀕している種として「絶滅危惧I類 (CR+EN)」、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種として「絶滅危惧IA類(CR)」があります。
そして、IA類ほどではないものの、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いとみられる「絶滅危惧IB類(EN)」や、絶滅の危険が増大している種の「絶滅危惧II類 (VU)」など、危険度別に絶滅のおそれのある種(絶滅危惧種)がカテゴリーされています。

また、現時点での絶滅危険度は小さい一方で、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種として「準絶滅危惧 (NT)」があり、そのほかにも、評価するだけの情報が足りない「情報不足(DD)」、地域的に孤立した個体群で絶滅の危険性が高い「絶滅のおそれのある地域個体群 (LP)」もあります。

レッドリストやレッドデータブックは何のためにあるの?

地球には昔から様々な生物が誕生し、生息しています。その中には大きな気候変動など、自然のプロセスを経て絶滅した種もいます。

しかし現在、自然のプロセスとは異なる人間の活動が原因で、かつてないスピード・広範囲で多くの種が絶滅の危機に立たされています。それらを保護するためには、まず第一に現状の把握が欠かせません。そこで登場するのがレッドリスト及びレッドデータブックです。
生物の保護計画を進めたり、各種開発事業の環境影響評価の際には、専門家によって科学的かつ客観的に評価・作成されたこれらが重要な基本的資料になるのです。

また、レッドリストには捕獲規制など法的な効果はありませんが、私たち一般人への警鐘、啓蒙、自然環境保全の促進など幅広い場面で役立っています。

まとめ

普段の生活において、「レッドリスト」や「レッドデータブック」を耳にする機会は少ないですが、実は地球環境に密接する大切なものであることがお分かりいただけたことと思います。
ぜひ興味がわいた方はリストをご覧になってみてはいかがでしょうか? 「あの動物も絶滅しそうなの!?」と驚きと新しい発見があるかもしれませんよ。

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