
テレビや雑誌、CMなどで活躍する「モデル犬」。可愛らしい姿や落ち着いた振る舞いに憧れて、「うちの子もモデル犬に挑戦してみたい」と考える飼い主さんも少なくありません。しかし、モデル犬になるには外見の可愛さだけでなく、適性やしつけ、撮影現場でのマナーといった様々な条件が求められます。
今回は、モデル犬を目指す方法や、向いている犬の特徴、必要なしつけなどについて分かりやすく解説していきます。
モデル犬とは、主に雑誌やテレビ、CM、広告ポスター、ファッションショー、ペット関連イベントなどで活躍する犬を指します。
単に可愛らしい外見を持つだけでなく、撮影現場や人が多い場所で落ち着いて行動できる能力が求められ、例えば、カメラの前で長時間じっとしたままポーズをとったり、スタッフの指示に従ってスムーズに動いたりすることが必要になります。
また、モデル犬は「特別な犬」だけに限られているわけではありません。犬種や血統による制約は少なく、性格や健康状態、飼い主との信頼関係次第でどんな犬でも活躍できる可能性があります。特に、人や他の犬に対してフレンドリーで、初めての環境にも順応できる犬は現場で重宝されます。
モデル犬は、見た目の美しさや整った毛並みをアピールする場面が多い一方で、実際には「外見だけでなく、しつけや社会性を備えている犬」という点が大きな魅力になります。つまり、モデル犬は単なるアイドル的存在ではなく、飼い主と共に努力を重ねながら多くの人に癒しや楽しさを届ける役割を担っている存在なのです。
モデル犬として活躍するためには、まずどのような形で活動するのかを考える必要があります。
最も一般的な方法は、ペットプロダクションや動物専門のタレント事務所への登録です。こうした事務所は、テレビやCM、雑誌撮影などの案件を抱えており、登録している犬にオーディションや撮影のチャンスを提供してくれます。
所属することで、現場での立ち振る舞いやマナーについてのサポートを受けられるため、飼い主にとっては心強い存在となります。
最近は、SNSを活用してモデル犬として注目されるケースも増えています。InstagramやTikTokといったプラットフォームに、愛犬の写真や動画を定期的に投稿し、フォロワーを増やしていく方法です。
特に独自のキャラクターやユニークな表情、センスのある写真が人気を集めやすく、企業から広告やタイアップの依頼や、事務所から勧誘がくる場合もあります。SNS発信は飼い主の努力が大きく影響しますが、誰でも手軽に挑戦できる点が大きな魅力です。
トリミングサロンの「トリミングモデル」として活動する方法もあります。こちらは雑誌や広告ではなく、サロンのカット技術を披露するための被写体として活躍する形です。
専門学校などで募集される場合もあり、モデル犬の第一歩として挑戦しやすい分野です。人や環境に慣れる訓練にもなり、後の活動につなげやすいメリットがあります。
このように、モデル犬になる道は一つではありません。飼い主が愛犬の個性や性格を見極め、それに合った方法を選ぶことが成功への第一歩になります。
モデル犬として活躍するためには、見た目が可愛らしいだけではなく、性格などの適性が大きなポイントになります。
最も重要なのは、人や環境に対する順応性です。撮影現場では、カメラのフラッシュや大勢のスタッフ、慣れない照明や音響機材など、普段とは異なる刺激が多くあります。そのような環境でも落ち着いていられる犬は、モデルとして活躍しやすいといえます。
人懐っこさも大切な適性です。初対面のカメラマンやスタッフに対しても自然に接することができ、怖がったり警戒心を強く示したりしない犬は、撮影のスムーズな進行にもつながります。
集中力も欠かせない要素です。撮影中にじっとポーズを取る、カメラに向かって動かずに待つといった場面では、犬がどれだけ飼い主の指示に集中できるかが試されます。遊び好きで活発な犬であっても、切り替えが早く「やる時はやる」という姿勢を見せられる犬は、現場で非常に重宝されます。
毛並みが美しく保たれている、元気で活発に動ける体力があるなど、健康面も適性の一部として考えられます。病気がちで体調が安定しない場合は撮影スケジュールをこなすのが難しくなるため、日常的な健康管理が重要になります。
モデル犬として活動するためには、基本的なしつけが欠かせません。
「待て」と「おすわり」は撮影の際にポーズを取ったり、一定の位置で静止したりするための基礎となります。例えば、カメラを構えるスタッフが準備を整えるまでの間、犬がじっと動かずにいられるのは、撮影をスムーズに進める上で不可欠です。
「呼び戻し」のしつけも大切です。広いスタジオや屋外のロケ現場では、犬が気を取られて離れてしまう場合もあります。その際、飼い主が名前を呼んだらすぐに戻って来る習慣が身についていれば、安全確保だけでなく、撮影の効率も大きく向上するでしょう。
撮影では道具や衣装を使う場合も多いため、どこを触られても嫌がらないかチェックしておきましょう。帽子や服を着せたり、スタッフに体を触られたりしても落ち着いていられる犬は、現場で信頼されやすくなります。日常の段階からブラッシングや爪切り、抱っこの練習をして、人に体を預けるのに慣れさせておくとよいでしょう。
無駄吠えのしつけも欠かせません。撮影現場は音響や会話で騒がしい環境になる場合が多く、犬が必要以上に吠えてしまうと作業が滞る原因になります。普段から落ち着きを保つ練習や、吠えるきっかけを減らす工夫を行うことで、現場でも安定した振る舞いができるようになります。
このように、モデル犬に必要なしつけは、基本動作の習得だけでなく、現場特有の状況に順応する力を育てるのに直結しています。
一方で、犬自身が楽しみながらしつけを覚えられることも大切です。しつけを「訓練」として厳しく行うよりも、ご褒美や遊びを取り入れたポジティブな方法で練習すれば、犬は自然に楽しい体験として受け止めるようになるでしょう。
モデル犬の活動は華やかに見えますが、実際には犬にとって大きなストレスになる場面も少なくありません。
長時間の待機や慣れない場所での撮影は負担となるため、体調や気分をよく観察し、無理をさせないことが大切です。
また、活動に必要なしつけや社会性が十分でない場合は、練習や経験を積んでから挑戦したほうが犬にとっても良い結果につながります。
さらに、事務所への登録やSNSでの発信などは飼い主の責任において行う必要があり、情報発信の内容や撮影の安全面には十分注意を払わなければなりません。犬の安全と幸福を最優先に考える姿勢が、長く活動を続けていくための基本となります。
モデル犬を目指す道のりは簡単ではありませんが、愛犬と一緒に新しいことに挑戦する時間そのものが大切な思い出になります。
たとえモデル犬として活躍できなかったとしても、しつけやコミュニケーションを通じて得られる経験は、飼い主と愛犬の絆をより深めてくれるはずです。無理をせず楽しみながら、愛犬の魅力を最大限に引き出してあげましょう。