「ブンブン」は怒っていることも? 尻尾に表れる犬の気持ちについて

太古から人間と生活を共にしてきたパートナーであり、「人間の一番の友達」といわれてきた犬。
今日も世界のいたるところで人と犬との温かい、愛情に溢れた交流が展開されていますが、愛犬家の方であれば「犬の気持ちがもっとよくわかったら」と思ったことはないでしょうか?

このようなときに、非常に有効な犬の気持ちの判断基準となるのが尻尾です。
犬の尻尾は犬の気持ちを表すシグナルの一つ。尻尾の状態をよく観察すれば、愛犬の気持ちをある程度は推測できることがあります。
そこで今回は、犬の尻尾の位置や動きからわかる犬の気持ちについてご紹介します。尻尾の状態に注目して、愛犬とのコミュニケーションを深める手立てにしてくださいね。

尻尾の位置や振り方にはどんな気持ちが表れている?

犬が尻尾を振っているのは、楽しかったり嬉しかったりといった好意的な感情だと思われるかもしれません。
しかし、尻尾を振っていても、尻尾の位置や振り方によっては、不安や緊張、警戒などあまり良くない感情を表しているときもあります。
それでは早速、犬の尻尾の位置や動きがどのような気持ちを表しているのかみていきましょう。

高い位置で小刻みに振っているのは興奮状態のとき

尻尾を高い位置で小刻みに振っているときは、基本的に興奮状態になっていることを表しています。
お散歩で他の犬に会ったときの愛犬の様子をよく観察してみましょう。相手の犬を見据えながら尻尾を高い位置で小刻みに振っていないでしょうか。
この場合は相手に対して威嚇する意味で興奮・緊張しており、飼い主さんが目を離した隙に相手の犬に飛びかかろうとする場合もあるため、少々注意が必要な場面でもあります。
また一方で、うれしさや楽しさを表している場合も。
このときは顔の表情も嬉々としているので、飼い主さんはそのときの状況と愛犬の様子をよく観察して気持ちを察してあげてくださいね。

高い位置で大きく振っているのは楽しいとき! ただし例外も

尻尾を高い位置で「ブンブン!」と音が聞こえてきそうなほど大きく振っているときは、基本的にうれしい・楽しいといったポジティブな気持ちである場合が多く、犬を飼っている方は朝のお散歩のときにこのような「ブンブン」をよく見かけるのではないでしょうか。

ところが、場合によってはこれもマイナスの意味での緊張・興奮を示しているときがあり、「ブンブン=うれしい」とは一概に言えないのです。
それではどうやって「うれしいとき」と「緊張・興奮のとき」を見分ければ良いのでしょうか。
ポイントとなるのは耳の状態と、そのときの状況。うれしい場合は耳がいつもの状態ですが、緊張・興奮しているときは耳を後ろに倒していることがあります。
また、家族以外の知らない人や動物が近づいている状況では緊張・興奮と怒りの感情を持って、尻尾をブンブンと振る場合があります。
したがって、自宅にお客様をお招きする際、飼い主さんは愛犬の様子を注意深く観察し、尻尾をブンブンと振ったからといって愛犬を安易にお客様に近づけないように気をつけましょう。思わぬアクシデントが発生する可能性があります。

尻尾をだらんと下げているのは悲しいときや不安を感じているとき

尻尾を力なくだらんと下げ、飼い主さんから目をそらしているときは、悲しみや不安を感じている可能性があります。
愛犬がいたずらをして飼い主さんが叱る際、このような状態になっていなかったでしょうか。
人と同じように犬もこのような「しょぼん」とした態度を見せるのですから、おもしろいものですね。

尻尾でお尻を隠しているのは強い恐怖を感じているとき

あまり頻繁に見られる光景ではありませんが、犬が強い恐怖を感じたときは尻尾でお尻(具体的には肛門)を覆うように隠す仕草を見せるときがあります。
これは急所である肛門を隠して身を守っていることから由来するものであり、自分より大きな犬に飛びかかってこられたり、動物病院に連れて行かれたりした際にこのような態度が出る子もいます。
どちらにしても、尻尾でお尻を隠すのは「こちらの方が弱い」と認めたときしかないため、飼い主さんがこの状況を見かけた際は、愛犬に優しく声をかけて落ち着かせてあげましょう。
なお、この仕草は猫についても同じです。

尻尾をぴんと立てているのは自信の表れ

犬が尻尾を上の方へぴんと立てているときは自己主張していることが多いようです。この場合の自己主張とはズバリ、自信。もちろん、そのときの状況にもよりますが、他の犬の前で尻尾をぴんと立てていた場合は、「自分の方が上」と主張している可能性が高いでしょう。
今度愛犬がこのような様子だった際は顔をよく観察してみましょう。勝ち誇ったような顔をしているかもしれませんよ!

尻尾を水平にゆっくり振っているときは好奇心か迷い

「あれは何だろう?」と何かに興味を持っているとき、犬は尻尾を水平にゆっくり振ることがあります。
また、困惑しているときにも同じ振り方をすることがあるため、そのときの状況も併せて判断しなければなりません。
どちらにしても、尻尾がこのようなときは怒っている可能性が低いと予想されます。

尻尾をプロペラのように回転させるのは大きな喜びの表れ

飼い主さんが「お散歩行くよー」「ご飯だよー」と話しかけると尻尾をまるでプロペラのように勢い良く回転させることがありますが、これはうれしさでいっぱいの気持ちを表しています。
この尻尾の大回転を見かけた際は、愛犬の気持ちに十分応えてあげてくださいね。

尻尾だけで犬の気持ちを判断するのは禁物

尻尾だけで犬の気持ちを判断するのは禁物
確かに、犬の気持ちは尻尾の位置や動きである程度予測できることがありますが、これはあくまで私たち人間側による「推測」に過ぎず、尻尾だけでは判断できません。
犬によっては尻尾より脚の動きで喜びを表現することもありますし、怒っていても尻尾を下げている子もいるでしょう。
犬の気持ちを理解しようとする場合は尻尾だけではなく、耳や目、口元など顔の表情や体全体の仕草も見ながら判断することが大切です。
特に顔には気持ちが表れやすく、目を大きく見開いているときは興奮または期待しているとき、耳を前に向けて立てている時は威嚇や集中しているとき、口角を上げている場合はうれしいときやリラックスしているときなど、意外にもわかりやすいものです。

また、愛犬の周りで起こった出来事や状況を考慮することも不可欠。
犬が怒るのも当然だと思われるような状況ではいくら尻尾をブンブンと振っていても、これを簡単に喜んでいるとは判断できないでしょう。
つまり、人間が犬の気持ちを推し測ろうとすること自体、非常に難しいのです。しかし、毎日愛情を持ってお世話していれば、犬は必ず何らかの形で気持ちを表現してくれるでしょう。
「うちの子は表現に乏しいな」と感じたとしても、飼い主さんに対して何の感情も抱いていないわけではないので安心してくださいね。

まとめ

犬の尻尾の位置や動きからわかる犬の気持ちについて紹介しました。
尻尾をはじめ、犬の体の状態をよく観察すれば、愛犬の気持ちを推測して、今まで以上に深いコミュニケーションを取れるようになります。
ただし、犬の気持ちの表現方法はさまざまであるため、一筋縄ではいかない点には注意が必要です。犬は人が思うほど単純ではありません。犬にもそれぞれ個性があり、感情の表現方法も多種多様であることを認識しながら接するよう心がけましょう。

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