一緒に飼うのは難しい? 同居相性の悪い動物の組み合わせとは

「異種でもこんなに仲良くできるんだ!」。
違う種類の動物が仲良くしている様子は大変微笑ましく、信頼や愛、友情といったものが動物間にも存在するのだと気付かされます。
私たちが牧場で穏やかな気持ちになるのは、牛や馬、羊、鶏、牧羊犬などの異種動物が同じ空間でほのぼの仲良く暮らしている様子に心が癒されるからなのかもしれませんね。
このようなことから、異種動物を一緒にお迎えしたいと思っている方も多いでしょう。

しかし、現実は理想通りにはいきません。
飼育する動物によっては相性の悪い組み合わせがあるため、異種動物を一緒に飼う場合は少々注意が必要です。
異種動物を同じ屋根の下で飼うには、それぞれの習性や性格、体の大きさ、飼育環境などを総合的に考慮し、お互いにストレスがたまらないように配慮しなければなりません。

そこで今回は、同居相性の悪い異種動物の組み合わせや、飼育の際の注意点などについてご紹介します。

相性が良くない異種動物の組み合わせとは?

人間界でも何かと問題になる「相性」の問題。相性が良ければさまざまなことが上手く進みますが、相性が悪ければ生活全般に影響が出ます。
動物の相性はほとんどの場合、習性が決め手となりますが人が矯正できるものではないため、最善の対処法は「そもそも一緒に飼わないこと」にほかなりません。
たとえば、次に挙げる動物は一緒に飼わない方が良いでしょう。

犬と小動物

「人間にとっての最良の友」といわれる犬。賢くて従順、そしていざというときは飼い主さんを命懸けで守る勇敢さまで持ち合わせている動物です。
しかし、同居する異種動物に対しても同じかといえば、そうではありません。
犬は基本的に温厚な動物ですが、狩猟犬として飼われていた犬種の場合はハムスターや鳥、ウサギなどの小動物を本能的に襲ってしまうことがあります。

また、狩猟犬でなくても、犬には「動くものを追いかける」という習性があります。
「ちゃんとしつけているし、うちの子は優しい子だから大丈夫」と飼い主さんが思っていても、ふとしたきっかけで追いかけたり、手を出したりしてしまうことは十分起こり得るのです。
犬は遊んでいるつもりでも、小動物にとっては大きなダメージやストレスとなり、食欲不振や脱毛、元気喪失などを招いてしまいます。
小動物は全般的にストレスに弱いので、場合によっては命を落としてしまうことも。

猫と小動物

犬と同じく、人間の長年の友として愛され続けてきた猫。最近は猫ブームで猫をお迎えする方が急増していますが、すでに他の動物、特に小動物を飼っている場合には犬と同様に注意が必要です。
特に猫の捕食対象となり得るハムスターやモルモット、小鳥などは油断すると猫に襲われて怪我を負わせてしまうことがあります。
そうなると当然、小動物は身の危険を感じて大きなストレスを抱えることになりますし、飼い主さんも同じ空間でペットたちを遊ばせることができなくなります。

猫と金魚

猫と金魚の場合は相性というより、猫の習性ゆえ同居しない方がベターです。
水槽の中身に興味を抱いた猫が水槽の蓋をなんとかしてこじ開け、中の金魚を捕まえようとすることが多々あります。
室内スペースの関係上、どうしても猫と金魚を同じ空間で飼わなければならない場合は水槽の蓋にテープを貼ったり、蓋をロック付きのものに交換したりするなどして対策を立てましょう。
猫が金魚を捕獲してしまうと、そのまま食べてしまうことも…。飼い主さんとしては想像したくない光景です。

ウサギとフェレット、モルモット

ふわふわの毛につぶらな瞳。草食動物特有の優しい佇まいが特徴のウサギですが、意外にも縄張り意識が強いので、同じように縄張り意識が強いフェレットとの同居は避けた方が良いでしょう。
また、フェレットは肉食動物であり、肉食動物にとってウサギは捕食の対象、つまり獲物でしかないのです。
ペットとして育てられているフェレットでも本能が消えることはないので、ウサギと一緒に飼うのはオススメできません。
また、モルモットも一緒に飼うのは避けましょう。
ウサギには「ボルデテラ菌」という菌が存在しており、モルモットに感染すると命に関わる恐れがあります。

ペット界のツートップ、犬と猫の相性は?

ペット界のツートップ、犬と猫の相性は?
一般家庭で飼われるペットを語る上で外せないのが犬と猫の相性についてです。
犬と猫の祖先は「ミアキス」という動物であり、お互いにまったく無関係の存在ではありません。そうなると相性は良さそうに思えますね。
しかし、犬と猫の相性については「個体の性格や飼育時期・環境による」としか言えません。

子犬・子猫の時代から一緒に暮らしており、お互いにストレスがたまらない関係であれば何ら問題はありませんが、犬と猫に大きな体格差があったり、犬がよく吠える子だったりした場合は猫が怖がって大きなストレスを抱えてしまうでしょう。
最近の動物病院では犬と猫の待合室を別々にする、診療時間をずらすなどして犬と猫が同じ場所に滞在しないように配慮しているところがありますが、これは猫の恐怖心を少しでも和らげるための対策なのです。
犬は「遊ぼう!」と興奮して吠えていても猫にとっては恐ろしいですし、うるさいのでストレスそのもの。
また、飼い主さんにかわいがられる猫に犬が嫉妬して攻撃してくる可能性も否定できません。

このような理由から、犬と猫を一緒に飼う場合には同居させるときの年齢、それぞれの性格、成長してからの体格差を検討し、どちらにもストレスをためさせない工夫を心がけましょう。

異種動物を一緒に飼う時の注意点

犬と猫、ウサギと鳥、犬とフェレットなど、ペットにする異種動物にはさまざまな組み合わせがありますが、どのようなパターンであっても一緒に飼うと決めた際は次のような点に留意しましょう。

飼育空間を別にすることも考えておく

相性の悪い動物を同じ家で飼う場合は、飼育する部屋を完全に分けて接触しないように気をつけましょう。
また、犬と小動物を飼う場合、部屋を分けても小動物が犬の鳴き声におびえたり、ストレスを感じたりすることもあるので、鳴き声が聞こえない工夫や無駄吠えさせないしつけにも取り組んでみてください。

動物それぞれの習性を理解する

動物の習性を理解していなければそれぞれに快適な飼育環境を与えられません。
お迎えする動物に関する正しい知識を身につけて、快適に過ごせるように環境を整えてあげましょう。

迷ったときは獣医師に相談を!

異種動物を同居させるか検討する際、少しでも不安や迷いがあるようなら動物病院の獣医師や動物看護師に相談してみましょう。
日々、動物たちの病気・怪我の診察にあたっている獣医師や動物看護師は、動物同士の争いや同居ストレスによる病気について熟知しています。

まとめ

同居相性の悪い異種動物の組み合わせや、飼育の際の注意点などについてご紹介しました。
しつけのできる動物は異種動物と同居できる場合もあります。しかし、どんなに賢くても、本能や習性によっては一緒に暮らす動物を襲ってしまうこともあるので十分に注意しなければなりません。
動物の大きさや性質、習性、生活環境などを飼い主さんがしっかりと調べて理解し、ストレスなく安全に過ごせる環境を作ってあげることが大切です。
また、異種動物を狭い空間に同居させること自体、本来非常に難しいので、「仲良くなれること」を前提としたペット購入は控えましょう。

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