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知る・学ぶ 2023-10-30

猫が歴史を動かした驚きの逸話とは?

世界中で愛されている猫。もちろん猫を愛するのは一般人だけではありません。国を治める権力者や人類史に影響を与えたような科学者も猫が大好きでした。猫が好きすぎて神様にしてしまった人たちもいるほどです。
今回は、そんな猫の魅力にあらがえなかった人間たちをご紹介します。

「猫は神様です」古代エジプト女神や猫神社まで!

古代エジプトや日本では、猫を神様として崇める文化があることをご存知でしょうか。猫の魅力は猫自身を神様にまで進化させたようです。

古代エジプトの女神「バステト神」

猫の発祥の地と言われるエジプトでは、古代から猫を愛する人々がとても多い地域です。その猫愛は猫の姿をした女神「バステト神」を生み出したほどでした。
バステト神は猫の顔と人間の女性の身体を持つ姿、いかにも「猫!」といった姿の2種類が伝わっています。壁画では猫顔の女神様、神像では豪華な装飾や美しい瞳が印象的な猫の姿が多いようです。
バステト神の役目は、太陽神・ラーの瞳でした。その美しく神秘的な瞳で人々の行いを監視し、過ちがあれば正す役割を担っていたのだとか。猫独特の瞳がそんな役割を連想させたのかもしれませんね。

日本の神社では猫が祀られている

日本での猫はその魅力だけではなく、穀物をネズミから守るありがたい動物として感謝される存在でもありました。人々はその感謝の気持ちから猫を神聖な存在として扱うようになります。
穀物倉庫のネズミ避けのお札に猫の姿を描いたり、養蚕がうまくいくように猫に願掛けをしたりなど、猫は生活や経済に欠かせない存在になります。やがて神社で祀られるようにもなりました。

例えば新潟県にある「八海山尊神社」はそのような人々の想いを継いだ神社で、ネズミ避けの猫札(護符)をいつも取り扱っています。いまでは日本全国から愛猫家が集まるそうですよ。
また、鹿児島県にある「猫神神社」は戦に貢献した猫の逸話で有名です。16世紀末、猫の瞳孔の開き方で時間を計れると気づいた島津義弘は、文禄・慶長の役に7匹の猫を連れて行きました。
残念ながら猫は2匹しか生き延びられませんでしたが、島津義弘は猫たちに感謝し、神様として祀るようになりました。その場所が現在の猫神神社として知られています。

日本の権力者も猫にメロメロ!

権力者にも猫好きがたくさんいました。皇族や幕府の寵姫も猫の魅力にすっかりとりこになっていたそうです。

「猫かわいい!」の日記が伝わる宇多天皇

天皇の現存する最古の日記として「寛平御記」。記したのは宇多天皇です。宇多天皇は父から贈られた黒猫をとてもかわいがっていました。
寛平御記には「父上から猫をいただいた。黒くてかわいい! 瞳が宝石のようにきれい!」(意訳)と、猫のかわいさについて熱く書かれています。「好きだよと話しかけてみたが伝わっていないようだ」など、宇多天皇自身がかわいく思えてしまう描写もありました。

大奥の御台所は犬好きから猫好きに!

江戸時代の大奥で有名な篤姫も猫好きだったそうです。結婚前は犬好きでしたが、夫の将軍が犬嫌いのため、嫁いでからは猫を愛するようになったそう。
権勢を誇った大奥の愛猫だけあって、その暮らしぶりは豪奢なものでした。食費だけで年間25両(現在の価値換算で約450万円以上!)にもなったというのですから、人間がうらやましくなるようなラグジュアリーライフだったのでしょう。

猫ドアを開発したのはあの天才科学者だった?!

現代の住宅では珍しくない猫ドア。猫の出入り口ですが、昔は人間優先の文化のためか、存在しないものでした。
その猫ドアを開発したのがアイザック・ニュートンです。人類の歴史に大きな影響を与えた「万有引力」を発見した天才科学者が猫ドアを開発したとは意外ですね。

ニュートンは大変な猫好きだったそうです。当時は猫にご飯をあげることは一般的ではありませんでしたが、ニュートンは自分のご飯を分けてあげることもあったのだとか。塩分や栄養素を考えると現代では推奨できませんが、飼い猫でも自力で食力を確保しなければならなかった当時の猫にとって、最大の愛情表現だったかもしれませんね。
その猫愛が高じ、猫ドアの発明に至ったそうです。天才にとってはどうということのない発明だったかもしれませんが、その発明が現代の愛猫家たちに感謝されているとは思いも寄らないのではないでしょうか。

なお、ニュートンは親猫用の大きなドアと子猫用の小さなドアを作ったのですが、親猫も子猫も大きなドアから出入りするため、それを不思議に思っていたのだそうです。
一般人からすれば「大きなドアひとつで足りるのに」と思うところですが、そこで不思議に思うのが天才ならではの思考回路だったのかもしれませんね。

猫の魅力はあらゆる人をとりこにする

気まぐれでわがまま、でもそこがかわいくてたまらない…そんな猫は古代から人々をとりこにしてきました。権力者や天才だけではなく、神話にも影響を与えている事実と人々の猫愛に感心するばかりです。いまも愛され続けている猫が、これから人々にどんな影響を与えるか楽しみですね。

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楽しむ 2023-06-22

スクリーンでも可愛さ無限! 猫好きならたまらない映画4選

猫の映画は大人も子どもも楽しめることが多いのも人気の秘密ではないでしょうか。猫の可愛さはスクリーンのなかでも変わりません。
ときには可愛く、ときには賢く、ときには勇敢に活躍する猫の姿は最高の癒やしです。なかには愛猫の姿と重ねて楽しむ人もいるかもしれませんね。

今回は、猫が出てくるおすすめの映画をご紹介します。

旅猫リポート(松竹/2018年)

「旅猫リポート」は心優しい青年・悟と元野良猫・ナナの愛情を描いたハートフルストーリーです。

交通事故に遭った野良猫のナナ。悟に助けられ、それからは飼い猫として暮らすことになりました。大好きな悟と幸せな生活を満喫していた5年間でしたが、ある事情からナナを手放さなければならないことに。
ナナと悟は銀色のワゴンに乗り込み、新しい飼い主を探す旅に出ました。悟の古い知り合いを訪ねることにもなったその旅で、ナナと悟はどのような日々を送るのでしょうか。

旅を通して描かれるナナと悟の交流や登場人物たちの感情に、心を揺さぶられる人が多いはず。出演者やナナの熱演も素晴らしく、知らず知らずのうちにストーリーに引き込まれてしまいます。見終わったとき、思わず愛猫を抱き締めたくなるかもしれません。

猫侍(AMGエンタテインメント/2014年)

時は幕末、人斬りも出る時代。「猫侍」は物騒なはずの世の中で、気ままな猫の行動に翻弄される侍の奮闘を描く時代劇コメディです。

かつては腕利きの人斬りでしたが、いまは貧しい暮らしをする侍・斑目久太郎のもとへ、「人を惑わす魔性の猫を斬ってほしい」という依頼が。依頼を請けた久太郎はさっそく標的の猫を斬りに行きますが、その猫があまりにも可愛すぎて…。
白玉のように可愛らしい白猫と、不器用にしか生きられない侍。ひとりと1匹のツンデレめいた交流、いつしか深まっていく絆、そして猫に振り回される人間たち。そのうち「猫派」「犬派」に分かれた大騒動に発展してしまいます。

「立派な侍たちが何をしているんだ?」と思わせる、俳優陣の高い演技力もお見事ですが、賢い猫の演技も見どころのひとつ。大きな目を輝かせて上手に演じる姿は必見ですよ。心がとろけてしまいそうになるほど可愛い猫を堪能しつつ、思い切り笑いたい人におすすめです。

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(コムストック・グループ/2016年)

1匹の野良猫がひとりの人間を立ち直らせることもあります。「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」は、実話をもとにした感動ストーリーです。

ジェームズはストリートミュージシャンとして日銭を稼ぎつつも、ホームレス同然の生活を送っていました。とある事情でジェームズは行政が用意した部屋に入居することになります。すると、そこに1匹の猫・ボブが迷い込んできました。
怪我をしていたボブの手当をしたことから、ジェームズとボブはいつも一緒に行動するように。そんなひとりと1匹の姿に、やがて注目が集まるようになり…。

「本当に実話なの?」と思ってしまうほどハートフルでドラマチックな話ですが、実話だからこそ実感できる人間と猫の絆や感情のリアリティに引き込まれていきます。ジェームズがボブへ向ける深い愛情、見守る人々の優しさ、そして何より愛らしいボブの姿など、見どころが盛りだくさんの映画です。

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争(Warner Bros/2010年)

猫と犬が大戦争を繰り広げるコメディアニメーション「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」。ファミリーで楽しめる明るい映画です。「猫も犬も好き!」という人に特におすすめですよ。

キティ・ガロアは元猫スパイ。ある日、「猫も犬も支配したい」と唐突な野望を持ちました。最新技術を駆使し、野望達成に向けて着々と動き始めます。
野望に気付いた猫族と犬族は大騒ぎに! 猫族と犬族は長い間対立してきましたが、キティ・ガロアの野望が実現してしまえば大変なことになります。ここは今までの確執をいったん忘れ、協力してキティ・ガロアを倒すために手を取り合ったのでした。

「もともとは天敵同士の猫族と犬族」という世界観も楽しく、猫のスパイ、犬のエージェントなど、人間社会顔負けの設定も見どころのひとつ。吹き替え版で聞ける声優さんたちの熱演も、キャラクターにぴったりでたまりません。
犬と猫、どちらも可愛い姿を楽しめるおすすめのファミリー映画です。ぜひ家族みなさんで楽しんでください。

猫の可愛さ無限大! 猫の熱演とストーリーに引き込まれそう

猫の可愛さ無限大! 猫の熱演とストーリーに引き込まれそう
猫の映画は多数ありますが、どれも猫の魅力に取りつかれたスタッフたちが丁寧に作ったものばかりです。鑑賞中、猫の姿をフィルムに残す熱意がきっと伝わるはず。
猫や俳優さんたちの熱演に感心したり、ストーリーに感動したり、1本の映画を観ている間にいろいろなことが楽しめるでしょう。是非お気に入りの猫映画を見つけてくださいね。

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美容・健康 2023-03-30

「デブ猫」は要注意? 猫が太る原因と肥満対策

いわゆる「デブ猫」といわれるぽっちゃりした猫ちゃんの姿はとても可愛らしく、飼い主さんもあまり気にしないという方が多くいらっしゃいます。
しかし、猫の肥満は知らず知らずのうちに様々な病気を引き起こすリスクがありますので、健康管理上は適正な体重を維持することが大切です。

今回は、猫が太る原因や肥満対策、注意点などについてご紹介します。猫の肥満度のチェック方法も解説しますので是非参考にしてくださいね。

猫の肥満を判断する基準がある?

はじめに、猫は全ての個体が同じ大きさ・体重というわけではもちろんありませんので、その子にとってのベストな体重・体型は種類などによってもそれぞれ異なります。
猫が太っているかどうかを判断する基準としては、一般的に成長期が終わる1歳ごろの体重を理想体型の基本として比較し、ベスト体重のおよそ20~30%を超えた場合は「肥満」だといわれます。
ただし、成長がゆっくりな大型猫などはこれに当てはまらない場合がありますので、あらかじめ獣医さんなどに確認してみることをおすすめします。

また、猫の肥満度を確認するには、「BCS」(ボディコンディションスコア)という方法を用いることである程度判断が可能になります。
BCSは主に下記の5段階に分かれ、猫の外見や触り心地で脂肪がどれくらいついているのか肥満度をチェックします。

・BCS1 痩せ
・BCS2 やや痩せ
・BCS3 理想的
・BCS4 やや肥満
・BCS5 肥満

BCSの評価は上述のとおり、痩せ〜肥満までとなっており中間のBCS3が理想的とされBCS4以上はダイエットが必要です。
※猫の「BCS」(ボディコンディションスコア)詳細については、環境省が発行している
「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」をご覧ください。

猫が肥満になる原因

猫が肥満になる原因は様々ですが、その多くが以下の3つに分けられます。
現代は肥満猫が増加傾向にあるといわれていますので、思い当たる原因があれば一つ一つ改善していきましょう。
猫は肥満になると糖尿病や高血圧、脂肪肝や関節疾患などの病気リスクが高まるため注意が必要です。

1.食べ過ぎによるカロリーオーバー

猫が肥満になる原因として最も多いのが、人間と同じく食べ過ぎによるカロリーオーバーです。
飼い猫は食べるのに困ることもなくフードが与えられ、ついついあげすぎてしまっているという飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
食事に加えて、喜んで食べるからといっておやつも与えすぎているのであれば1日の摂取カロリー基準を簡単にオーバーしてしまい、太りやすくなる原因となります。
猫に与える食事は適正な量を心がけ、おやつも必要以上にあげてしまうのはなるべく避けましょう。

2.運動不足

運動不足も人間と同じく肥満の原因となります。特に猫の場合は1日中室内でゆっくり寝て過ごしている子が多いため、食事の摂りすぎに加えて運動不足に陥ると肥満になりやすくなってしまいます。
摂取したカロリーよりも消費カロリーが少ないと太る原因となりますので、時間を決めておもちゃで遊んであげるなど、なるべく運動させるように心がけましょう。
キャットタワーなどを設置して猫が運動できる環境を整えるのもおすすめです。

3.避妊や去勢手術

避妊や去勢手術を行うと猫はホルモンバランスが変化し、代謝エネルギー量が減ることに加え、食欲は逆に旺盛になるためどうしても太りやすくなってしまいます。
避妊や去勢は猫を安全に飼育する上で大切な処置ですが、肥満になる最も一般的な原因でもありますので、術後は食事のコントロールなどに気をつけましょう。

このほかにも、引越しなどの環境変化からストレスが溜まり過食に走るケース、遺伝的な要因、投薬によるものなど様々なことが原因としてあげられます。

猫の肥満対策

猫の肥満対策・予防は「食事のコントロール」と「適度な運動」が基本となります。
無理なダイエットは禁物ですので、適切な方法で根気よく行いましょう。

食事・カロリー量を見直す

まずは普段の食事量・カロリー量を見直すところから始めていきましょう。
1日に必要なカロリーは猫の現在の体重、目標とする体重、年齢、運動量などによっても変わるため、はじめにかかりつけの動物病院で獣医師の指示を仰ぐことをおすすめします。
簡易的にはダイエット開始時点の摂取カロリーに対して7割程度に抑えるのが一般的とされていますが、あくまで目安ですのできちんと相談しましょう。
決められた食事の1日の分量を一度に一気に食べさせるのではなく、数回に分けて与えるようにするとダイエットはしやすい傾向にあります。食べ残しがある場合はすぐに片付けましょう。

また、いくら食事量を見直してもおやつを多く食べてしまっていては意味がありませんので、おやつも含めて計算に入れましょう。
急におやつを抜いてしまうとストレスにつながるため、はじめは上手く回数や量を調整してください。

カロリー計算が難しい場合は肥満猫用のダイエットフードを取り入れるのもおすすめです。カロリーバランスが調整されており、空腹感を満たすために食物繊維が含まれている商品もあるので、猫のストレスが少なくダイエットが行えます。
一方で誤った与え方をすると別の健康被害を引き起こす恐れがありますので、獣医師の指導のもとで取り入れましょう。

猫の食事を見直す際は、早く痩せさせようと考えてフードの量を極端に減らすのは避けてください。
猫に必要な栄養素も同時に減ってしまうばかりか、極端に食事量が減ることで「肝リピドーシス」という命を落としてしまう恐れもある病気を引き起こす危険があります。

適度な運動を行う

食事のコントロールに加えて、猫の運動量を増やすことも肥満対策・予防に効果が期待できます。
しかし、猫の場合は運動だけで体重を落とすのは難しいため、あくまで食事管理の補助的なポイントとして考えてください。

外で暮らす猫に比べて室内猫は運動量が少なくなりがちですので、運動する機会を増やすために猫じゃらしなどのおもちゃを活用して遊んであげましょう。コミュニケーションもとれるので一石二鳥ですし、時間を決めて習慣化すると効果的です。

また、狭い室内でも設置できるキャットタワーもおすすめです。
猫は上下運動が得意ですので登ったり降りたりできて運動不足の解消になるだけでなく、ストレス解消させることでイタズラなどの軽減にもつながります。
ただし、太っている猫はジャンプの着地などのときに関節を痛める危険があるため、フロアマットなどを用意して衝撃を和らげる工夫をしておきましょう。

愛猫の日頃の健康管理と適度な食事・運動を心がけよう!

愛猫の日頃の健康管理と適度な食事・運動を心がけよう
猫が太る原因や肥満対策、注意点などについてご紹介しました。
猫は肥満になると糖尿病など様々な病気を引き起こす恐れがあるため、日頃から定期的に体型・体重のチェックと適度な食事・運動で健康維持することが大切です。
猫は一度太ってしまうと運動だけでは痩せにくいため、1日の食事量・カロリー量の管理が重要になります。
ただし、極端に食事の量を減らすのは「肝リピドーシス」などの危険な病気につながる恐れがありますので注意しましょう。

また、猫の現在の体重、目標とする体重、年齢、運動量によっても1日に必要なカロリーは異なりますので、まずはかかりつけの動物病院で獣医師に相談し猫に合った肥満対策・予防を行ってくださいね。

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知る・学ぶ 2023-01-12

犬や猫の肛門線絞りは行うべき? 肛門線の役割・ケアについて

愛犬や愛猫の「肛門線絞り」は大切なケアのひとつです。定期的に絞ってあげたほうがいいと言う獣医さんも多いため、意識している飼い主さんも多いでしょう。
また、肛門線を絞るべきか悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。

肛門線を絞ることにはどのような意味があるのでしょうか? 今回は、肛門線の役割やケアなどについて詳しくご紹介します。

肛門線とは? 肛門にある一対の袋

「肛門線」は肛門の左右に対のような形でついている袋のことです。「肛門嚢」とも呼ばれています。愛犬や愛猫の尻尾を持ち上げてみると見えやすくなり、時計の4時と8時の位置にあることが分かります。
肛門線のなかでは分泌液が作られ、溜まっています。この分泌液はかなり強烈なニオイをはなち、出てきたときには驚いてしまうのではないでしょうか。

肛門線から出る分泌液で有名なのはスカンクです。スカンクは身を守るために肛門線から強烈なニオイの分泌液を出すのですが、犬や猫にも同様の肛門線があり、分泌液が出るとやはり強烈なニオイを生じます。
分泌液はすべての犬や猫が同じニオイをしているわけではありません。個体ごとにニオイが異なり、状態や色もさまざまです。

犬猫の肛門線の役割はおもにマーキング

犬や猫が出会ったとき、お尻をクンクンと嗅ぎあっている光景を見たことはありませんか?あれは肛門線のニオイを嗅ぎ、個体識別をしているのです。
前述の通り、肛門線から出る分泌液は個体によって異なっています。ニオイを嗅ぐことによって「このニオイはあの犬だな、あの猫だな」と理解できるシステムです。
また、犬や猫はマーキングをおこないます。そのマーキングの主も肛門線のニオイを嗅げば分かるため、縄張りを主張するためにも犬猫にとっては重要な機能だと言えます。

肛門線絞りをしないとどんなリスクがある?

肛門線で作られる分泌液は、通常であれば便と一緒に排出されます。しかし何らかの事情で排出しきれず、過剰に溜まってしまった場合、肛門線絞りが必要です。
そのようなケースで肛門線絞りをしないとどのようなリスクがあるのでしょうか?

便のニオイがきつくなってしまう

肛門線で作られる分泌液が過剰に溜まると、便のニオイがきつくなってしまいがちです。排出されない分泌液が濃くなり、ニオイのきつさも上がるということですね。
もともと分泌液はマーキングに使うほど強いニオイを持っているものです。できるだけ溜め込まないほうが、飼い主と暮らしやすくなるでしょう。

肛門周辺の重大なトラブルを引き起こす可能性

ニオイの問題だけではなく、肛門周辺でトラブルを引き起こしてしまうこともあります。
まず、肛門線に分泌液が溜まることによって「肛門嚢炎」が起きるリスクが高まります。肛門嚢炎は分泌液を排出する管が詰まり、そこに細菌が感染して起きてしまう炎症です。
放置しておくと膿んでしまったり、食欲不振や発熱などにつながってしまいます。肛門嚢炎の予防には肛門線絞りが有効だと言われているため、愛犬や愛猫が分泌液がうまく排出できない様子を見せたらケアしてあげるといいでしょう。

また、肛門嚢炎のほかにも「肛門線破裂」の心配があります。分泌液が溜まりすぎて肛門線がパンクしてしまう症状です。
どちらも動物病院での治療が必要になる症状です。このようなリスクを避けるためにも、愛犬や愛猫の肛門線には気を配ったほうがいいでしょう。

肛門絞りをしなくていい犬や猫もいる?

飼い主さんのなかには、肛門線絞りを定期的にしてあげている人も多いでしょう。ただ、犬や猫の状態によっては必ずしも頻繁な肛門絞りをする必要はないと言う獣医さんもいます。
とくに通常の排便でスムーズにできているのであれば、そこまで心配しなくても大丈夫です。スムーズに排便できる筋力があり、便の状態が健康な犬や猫なら、トリミングでトリマーさんにしてもらうだけでも大きなトラブルにつながる可能性は低くなるでしょう。
また、肛門絞りは犬や猫にとってストレスになるケアです。ストレス軽減のためにも、適切なタイミングと頻度でのケアがおすすめです。

肛門線絞りの頻度はどれくらい?

トラブル防止のため、定期的に肛門線絞りをしてあげるのなら、おおむね月に1度の頻度がおすすめです。シニア犬やシニア猫は分泌液が溜まりやすくなるため、2週間に1度でもいいでしょう。
ただ、肛門線のトラブルが起きているような様子があればその都度のケアが必要です。

こんな様子に注意! 肛門線絞りをしたほうがいいケース

愛犬や愛猫にストレスをかけたくないといっても、もしも肛門線でトラブルが起きていれば早急に肛門線絞りでケアしてあげる必要があります。もしも以下のような様子を見せたのなら肛門線をチェックしましょう。

お尻をこするように歩く

床にお尻を落とし、ずるずるとこすりつけるように歩くようになったら注意しましょう。一見すると可愛らしい仕草ですが、実際は肛門に違和感を持っている可能性が高い状態です。

お尻を噛む、舐めるなどの仕草が多くなった

肛門線に異常があると、自分のお尻を気にした様子を見せ、お尻を噛んだり舐めたりするような仕草が多くなります。

誰かがお尻を触ろうとすると怒る

違和感のある場所に触れるのは人間でも嫌なものです。飼い主やほかの犬猫がお尻に触ろうとしたとき、怒る様子を見せることがあります。

トイレのときに痛がる、困った様子を見せる

排便時に痛がったり困った様子を見せた場合、肛門線のトラブルだけではなく、腫瘍や誤飲などの可能性も考えられます。状態によっては動物病院の受診も考えましょう。

お尻から分泌液が出ている

マーキングや排便以外で飼い主が気になるほど分泌液が出ているのであれば、肛門線やその付近でトラブルが起きているかもしれません。通常の分泌かどうか判断がつかないときには受診したほうがいいでしょう。

年齢や犬種によっては飼い主がチェック

前述の通り、シニア犬・シニア猫は分泌液が溜まりやすくなります。若い頃よりも飼い主が気にかけ、必要なら肛門線絞りをしてあげましょう。
また、犬種や状態によってはやはり飼い主の積極的なサポートが必要です。小型犬(チワワ、トイプードルなど)、肥満状態の犬、子犬はもともと分泌液を排出しにくい特徴があります。肛門括約筋の強さや発達が関係します。
このような犬たちは自力で分泌液を排出できないことも多いため、飼い主がサポートしてあげてください。

自分では難しい! 動物病院やサロンに頼るのもあり

定期的に、あるいは必要なときにケアしてあげたい肛門線ですが、肛門線絞りを難しいと感じる人もいます。無理な作業でペットに負担をかけたくないというときには、動物病院やトリミングサロンに頼るのもいいでしょう。
動物病院では肛門線絞りの相談ができ、実際に行う際のコツを教えてくれることもあります。

また、多くのトリミングサロンではトリミングのときに肛門線絞りをしてくれます。念のため、トリマーさんに「肛門線絞りをしてください」とお願いしておくと安心ですね。

ペットの様子をよく観察して肛門線のケアを

ペットの様子をよく観察して肛門線のケアを
肛門線のトラブルは、ときとして肛門嚢炎や肛門線破裂をまねきます。分泌液をスムーズに排出できる犬や猫ならあまり心配する必要はありませんが、もしも心配する要素があるのなら、年齢や状態にあわせて定期的な肛門線絞りをしてあげましょう。

ペットがお尻を気にする様子を見せたらお尻付近のトラブルかもしれません。普段からよく観察して、トラブルを未然に防いであげてくださいね。

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知る・学ぶ 2022-11-30

野良猫を保護したときに行うべき準備や注意点

街のさまざまな場所で見かける猫。
一部の飼い猫を除いてそのほとんどが過酷な外の世界で生きる野良猫ですが、もしも保護した場合は最初にどう対応すればよいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、野良猫を保護したときにまずやるべき準備や注意点などについてご紹介します。

猫を保護する前後にまず行うべきポイント

野良猫を保護する前後にまずやるべきポイントは以下の3点です。

1.猫の周囲を確認する

猫を見かけた時は保護する前に、最初に周りの状況を確認してください。特に子猫の場合は近くに母猫がいる可能性があります。
猫は一度人間の匂いがついてしまうと、母猫が警戒して育てることを放棄してしまうといわれていますので注意が必要です。
子猫が一匹で迷子になっているところを発見したと思っても、実は母猫が周囲に隠れてひっそりこちらの様子をうかがっている可能性がありますので、少し現場から離れて様子を見てみるのもよいでしょう。
母猫が現れた場合、無理に保護しようとしても親子離れ離れになってしまいますので見守ってあげてくださいね。

2.本当に野良猫かどうか確認

親がいない猫であっても、飼育を検討する前に本当に野良猫かどうか確認しましょう。
たとえ首輪を付けていなくとも、実は放し飼いされている飼い猫であったり、警察や保健所へ飼い主から迷い猫の届け出がされていたりする可能性も考えられます。
また、最近では首輪ではなくマイクロチップがつけられている場合も多いほか、一度捕獲されてその地域で保護・管理されている地域猫である可能性もあります。
そのため猫を保護したときは、念のためまずは最寄りの警察や保健所へ届け出が出ていないか確認するようにしましょう。SNSで迷い猫の情報が拡散されている場合もあります。
はじめから猫が人懐こかったり、太ったりしている場合は上記のいずれかに該当している可能性がありますので特によく確認してください。

3.動物病院へ連れて行く

保護した猫が、野良猫・捨て猫である可能性が高いことが分かった場合はすぐに動物病院へ連れて行ってください。怪我をしている・体調が悪そうなときはもちろん、元気そうに見えても必ず獣医師に診せて猫の健康状態をチェックしましょう。
過酷な外の環境で暮らす野良猫は、ノミやダニに寄生されていたり、何らかのウイルスに感染したりしている場合も多いものです。特に既におうちで他の動物を飼育しているならば、隔離するなどして悪影響を及ぼさないよう注意が必要です。感染症は人にうつる可能性もあります。

また、動物病院では健康状態の検査・ノミやダニの駆除のほかには、予防接種や不妊手術を受けることもできます。費用は病院やコースによっても異なるものの、猫を保護すると決めたならば医療費の負担は覚悟しておく必要があります。
なお、動物病院へ迷い猫の届け出が出されている場合もありますので、併せて確認してみましょう。

猫を迎え入れる際にやること・用意するもの

猫をこれまで飼育したことがない場合、急に野良猫を保護することになっても慌てずにまず下記の5つのポイントをチェックしましょう。

1.猫に合わせた食事を用意

野良猫を保護したときはお腹を空かしている場合がほとんどですが、猫の年齢や体の大きさによって適した食事が異なります。
動物病院を最初に受診しておけば、猫の年齢によって適した飼育方法もアドバイスしてもらえますので必ず行っておきましょう。

個体によっても異なりますが、体重が400g未満の子猫の場合はまだミルク叉は離乳食が必要ですので市販のキャットフードなど固形のものは避けましょう。
また、牛乳を飲ませると下痢になってしまう恐れがあり、体力を消耗させるだけでなく脱水症状になってしまう危険がありますので、猫用ミルクを用意してください。
反対に、体重400g以上であれば一般的にはキャットフードなどでも問題ありません。現在はさまざまなフードが販売されていますが、「総合栄養食」と記載されたものがオススメです。

2.いきなりお風呂には入れない

野良猫を保護したときは体のノミやダニが気になって、ついお風呂にすぐに入れたくなりがちですが、猫にとってお風呂は非常にストレスが大きいためいきなり入れるのは避けましょう。
特に衰弱しているときは体への負担も大きくなってしまいますので、どうしても汚れが気になる場合は体をサッと拭いてあげるくらいにしておきましょう。
また、実はノミやダニはお風呂でシャンプーしても取りきれず、卵なども動物病院で処方される駆除薬でなければ除去が難しいため、まずは薬の投与後に猫が環境に慣れてきたらお風呂に入れることをオススメします。

3.先住猫・他の動物との接触を避ける

既におうちに先住猫がいる場合は、保護した野良猫から寄生虫やウイルスなどが感染しないようにまずはしっかり隔離してください。
動物病院へまだ連れて行っていない場合は病気をうつしてしまう恐れがありますので、きちんと受診して必要な治療や検査が終了し安全が確認されるまでは十分に注意しましょう。
また、飼い主さんにウイルスが付着する可能性がありますので、ペットのお世話の際しばらくは手袋などを使うことを心がけ、こまめに清掃・消毒を行いましょう。

猫同士が喧嘩をしてお互いに怪我をしてしまう危険もありますので、なるべく別々の部屋に隔離するのがベストですが、部屋を分けるのが難しい場合は野良猫用に周りを布やダンボールで覆ったケージなどを用意して直接触れ合わないように環境を整備してください。

4.トイレを用意してしつけを行う

飼い猫とは異なり、これまでは外で暮らしていた野良猫ですからトイレのしつけも必要になります。
トイレを用意してあげてもすぐにはうまくいかない可能性があり、初めのうちは粗相を繰り返してしまうことも考えられますが根気よく行いましょう。
猫が家の中を落ち着きなく歩いていたり、そわそわし始めたりしている場合にトイレへ連れて行くなどして少しずつ慣れさせていきます。

また、特に離乳前の子猫は自分で用を足せない場合が多いため、ぬるま湯にティッシュやコットンなどをつけて軽く絞り、お尻を優しく拭くようにして刺激を与えてあげると良いでしょう。離乳食を口にできるようになる頃から徐々に自分でできるようになります。

5.猫のベッド・寝床を用意

ご飯やトイレのほかに、猫がリラックスして過ごせるベッド・寝床も用意してあげましょう。
様々な種類の猫用ベッドが販売されていますが、まずは自宅の毛布やバスタオルを用意するのもよいでしょう。飼い主さんや家の匂いがついたものであれば早く環境に慣れさせるポイントにもなります。
特に子猫の場合は自分で体温調節ができないため毛布やバスタオルで包んであげましょう。

しっかり責任を持って迎え入れよう

しっかり責任を持って迎え入れよう
野良猫を保護したときにやるべき準備や注意点などについてご紹介しました。
初めて猫を迎え入れたという方は、まずはすぐに動物病院へ連れて行き必要な検査や治療を受けつつ、獣医さんから猫に合わせた飼育のポイントなどのアドバイスをもらうことをオススメします。
最初にしっかりとしたケア・準備をしてあげることが猫の健康状態にも大きく左右しますので、きちんと責任を持って面倒をみてあげましょう。
また、猫を保護したものの飼育するのはどうしても難しいと判断した場合は、動物病院や動物保護団体・保護施設などに連絡して、小さな命を守りましょう。

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