注意点は? ペットの去勢・避妊について考えておきたいこと

ペットを飼うとき、多くの方が動物の去勢・避妊手術について考えるのではないでしょうか? 適切ではない繁殖を防ぐだけではなく、特定の病気を予防する効果があります。
しかし、それでも大がかりな手術になってしまうことは確かです。ペットの身体への負担やその後の健康状態に不安を感じるのではないでしょうか。また、費用についても気になりますよね。

そこで今回は、ペットの去勢・避妊手術について詳しく解説します。

去勢・避妊手術は受けるべき? メリット・デメリットとは

適切な去勢・避妊手術は「ペットの健康を守ること」を重要な目的としておこなわれます。繁殖を防ぐ効果も重要視されますが、それも最終的にはペットの健康に繋がる一面があります。

望まない繁殖はペット(とくにメス)の身体に大きな負担をかけてしまいがちです。そのあとの育児も大変ですし、そのサポートや里親探しで飼い主にも負担が生まれます。飼い主、ペットともに疲れ果ててしまうことになりかねません。
去勢・避妊手術は飼い主が選択する大切な事項です。ご自身やご家族、ペットが暮らす環境を考えて決定しましょう。

手術を受けるメリットは?

繁殖面の理由のほかにも、特定の病気を予防する効果があります。たとえば犬・猫については以下のようなメリットが生まれます。

1.発情ストレスを防げる
2.病気の予防になる

ペットが発情しても解消させてあげることが難しいため、発情期はペットにとってストレスが生まれがちです。手術によってそのストレスを防げるメリットがあります。
また、生活習慣の改善や病気の予防になることも大きなメリットです。
オスは攻撃性の緩和やマーキング癖やスプレー行動の改善、睾丸系の病気の予防に繋がります。メスは糖尿病・子宮系・乳腺系の病気の予防効果が高まるとともに、偽妊娠の防止の効果も。
特に猫のメスの乳腺腫瘍は高い確率で悪性(がん)だと言われています。避妊手術によって予防性が高まり、寿命が延びる可能性を高められるでしょう。

デメリットはあるの?

去勢・避妊手術のデメリットは以下のことが考えられます。

1.太りやすくなる
2.麻酔で死亡リスクがある
3.子孫を残せない

去勢・避妊手術をしたペットは太りやすくなります。そのため、飼い主は食事管理や運動に気を遣う必要が生じるでしょう。
麻酔による死亡リスクも人によっては大きな心配ごとです。決して確率は高くありませんが、万一を考えて躊躇うのも仕方がないかもしれません。
また、ペットの子孫を残したいと考えている飼い主にとっては、子孫を残せないこともデメリットだと感じられるでしょう。

手術はペットが何歳で受ければいい?

手術を選択するのなら、適切なタイミングで受けられる準備を始めましょう。まずはペットの年齢です。法的な規則は定められておらず、動物病院の方針や飼い主の考えが影響します。ただ、あまりに早すぎると尿漏れになりやすくなるという説も。
日本では一般的に生後6ヶ月~7ヶ月の手術が多い傾向です。初めての発情期を迎える前におこないます。
とくにメスの場合はこの時期に手術をすることによって、約95%の確率で乳腺腫瘍の予防効果が期待できます。一度発情期を過ぎると乳腺腫瘍の発生確率が上がってしまうというデータもあるため、適切な時期の手術が望ましいでしょう。

同じくこの時期に手術をしたオスは、マーキングやマウンティング、スプレーなどの問題行動を起こしにくくなります。人間と生活する上でとても重要な結果ですね。
また、去勢をしない5歳以上のオスの成犬は約60%が前立腺肥大になる可能性があると言われています。子犬のうちに手術をしておくことは、やはり病気予防に役立つでしょう。

手術の流れと術後の注意点

手術の流れや術後の注意点を見てみましょう。

1:健診・説明

まずは健診です。身体検査をおこない、手術をしても問題ないかを確認します。このときに手術の流れ・内容・麻酔の心配についてなど、手術に関する事項を詳しく説明してもらえます。

2:前日の絶食

手術前日はおよそ12時間の絶食が必要です。手術中に胃の内容物の逆流による窒息を防ぐためです。子犬や子猫の場合はもう少し短い時間でも良いとする動物病院もあります。事前の説明で必ず確認しておきましょう。

3:当日の術前検査

身体検査をおこない、手術が可能な状態か判断します。触診や聴診など基本的な身体検査のほか、血液検査がおこなわれることもあります。また、高齢の場合にはX線検査で胸部を撮影する動物病院もあります。

4:手術

麻酔をし、ドクターが手術をおこないます。麻酔をかけてからオスの場合は約10分~約15分程度、メスの場合は約30分~約40分が目安です。麻酔を含めると約1時間~約1時間半程度が一般的です。

5:術後管理

手術が完了すれば、あとは麻酔からの覚醒と術後管理へ進みます。呼吸や心拍数などの身体状況をチェックし、自力で立てるようになるまで慎重に観察します。
動物病院によっては一泊~数泊することになりますが、一方では当日に帰宅できる動物病院もあります。こちらも事前に確認しておきましょう。開腹手術になるメスの避妊手術の場合、入院するケースがあるようです。

6:自宅療養

エリザベスカラーやエリザベスウェアを着用し、処方された抗生剤を飲んで回復につとめます。何か異常があればすぐにかかりつけのドクターに連絡しましょう。
大きな手術を頑張ったペットをたくさん褒めてあげてくださいね。

手術の費用はどうなる? ペット保険は使えるの?

去勢・避妊手術はそれなりに大きな金額がかかります。動物病院や手術内容によりますが、約5,000円~約50,000円と幅が広く、猫よりも犬、オスよりもメスのほうが高くなる傾向です。
そこでペット保険の活用を考えるかもしれません。しかし残念なことに、去勢・避妊手術ではペット保険が使えないのです。手術を考えたとき、あるいは家にペットを迎え入れる前に手術費用について考えておいても良いかもしれませんね。

また、自治体によっては犬や猫の去勢・避妊手術に助成金を出していることがあります。とは言え、全国の自治体で対応しているわけではない上に、なかには飼い猫ではなく地域猫に限るといった制限を設けているケースもあります。
お住まいの自治体の公式サイトや窓口で確認してみてください。

去勢・避妊手術を受けない場合に気を付けることは?

去勢・避妊手術を受けない場合に気を付けることは
去勢・避妊手術を受けないペットもいます。その場合には発情期に起こる身体的な現象に積極的なケアをしてあげる必要があります。

メスの犬は発情期に出血します。年に一回~二回ある生理現象です。この期間は食欲不振や情緒不安定になりやすいため、飼い主が見守り、ケアしてあげましょう。出血量が多いときにはおむつの着用が役に立ちます。
一方、メスの猫は発情期でも出血しません。その代わり大声で鳴くようになり、ご近所迷惑になってしまうことも。オスはスプレー行動をする・性格が攻撃的になるなどの様子が見られます。犬と同様、やはり飼い主の適切なケアが必要です。

去勢・避妊はペットを守る大切な選択のひとつ

去勢・避妊手術は大がかりな手術です。ペットにとっても身体に負担がかかるため、「本当に手術をするべきか」と悩む飼い主も多いでしょう。
ただ、手術は望まない繁殖を防ぐためだけではなく、愛するペットの健康を守り、長生きできる可能性を高めてくれるのも事実です。迷ったときにはぜひかかりつけの獣医さんと相談してみてください。

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