見た目だけじゃない! 犬にとってトリミングが大切な理由

犬を飼い始めると、「トリミングって必要?」「グルーミングとは何が違うの?」といった疑問を抱く飼い主さんも多いのではないでしょうか?
見た目を整えるだけではなく、健康や快適な生活を支えるためにも、トリミングには大切な役割があります。

今回は、トリミングとグルーミングの違いや、メリットなどについて分かりやすくご紹介します。愛犬の健やかな毎日のために、ぜひ参考にしてみてください。

トリミングとは?

犬の「トリミング」とは、被毛をカットして整えることを中心としたケアを指します。見た目を美しく保つ美容的な目的もありますが、実はそれ以上に、健康を維持するための大切なケアでもあります。
伸びすぎた毛を放っておくと、毛玉や蒸れによって皮膚炎が起きたり、視界や歩行の妨げになるおそれもあります。特にプードルやマルチーズなど、被毛が伸び続ける犬種では、定期的なトリミングが必要不可欠です。

トリミングには、全身の毛をバリカンやはさみで整える「カット」のほか、足裏や顔まわりの部分カット、ヒゲの処理なども含まれます。多くの場合、専門のトリマーが犬の骨格や被毛の状態、環境に合わせてスタイルを提案してくれます。可愛らしい見た目に仕上がるのはもちろん、犬自身が過ごしやすいように配慮された施術がされるのも特徴です。

「おしゃれのため」と思われがちなトリミングですが、実際は犬の清潔さと健康を保ち、生活の質を高めるために欠かせないケアといえます。特に家庭でのケアが難しい部分は、専門家の手を借りることで、犬も飼い主さんもより快適な日々を送れるようになります。

グルーミングとの違いについて

「トリミング」と「グルーミング」は、どちらも犬のケアに関わる言葉であるものの明確な違いがあります。両者はしばしば混同されがちですが、役割や目的を正しく理解することで、より適切なケアを行えるようになります。

まずグルーミングとは、ブラッシング、爪切り、耳掃除、肛門腺絞り、シャンプーなど、犬の身体全体を清潔に保つための基本的なケア全般を指します。これは美容目的というより、健康を維持するための衛生的なお手入れであり、自宅でも日常的に行うことができます。例えば、毛のもつれを防ぐためのブラッシングや、皮膚トラブルを未然に防ぐためのシャンプーなどが該当します。

一方、トリミングは、グルーミングの一部に含まれることがありますが、先述のとおり特に被毛のカットやスタイリングといった「見た目を清潔に整える」ための処置を指します。美容院でのヘアカットのような感覚に近く、犬の種類や飼い主の好みに合わせてデザイン性を重視する場合もあります。もちろん、視界を遮る毛のカットなど快適な生活を送るうえで必要な実用的カットも含まれます。

簡単にまとめると、グルーミングは「衛生面での日常的ケア」、トリミングは「見た目と快適さを保つための毛のカット」で、どちらも愛犬の健康と幸せのためには欠かせない要素です。

トリミングを行うメリット

ここでは、トリミングを行うメリットについてより詳しく解説します。

衛生状態の維持

最も大きなメリットは衛生状態の維持です。被毛が長くなりすぎると、目や口、耳の周りに汚れが溜まりやすくなり、炎症や感染症を引き起こすリスクが高まります。また、肛門まわりの毛が伸びすぎると排泄物が付きやすくなり、不衛生な状態になりやすいため、定期的なカットが必要です。

皮膚トラブルの予防

皮膚トラブルの予防という観点でもトリミングは重要です。毛が絡まってフェルト状になる毛玉は、皮膚を引っ張って痛みを伴うだけでなく、通気性を悪くし、湿気がこもって皮膚炎の原因になります。定期的に毛を整えることで、こうしたトラブルを防げるようになります。

犬の体調管理にもつながる

犬自身の快適さを保つことも重要なポイントです。暑い季節に被毛が伸びたままだと体温調整が難しくなり、熱中症のリスクが高まります。逆に冬場には適度に被毛を残しておくことで、防寒効果も期待できます。トリミングは季節や環境に合わせた体調管理の一助ともいえるのです。

どれくらいの頻度でトリミングが必要?

一般的に毛が伸びやすい犬種は、定期的なトリミングが必要です。
例えば、トイ・プードルやヨークシャー・テリア、マルチーズなど、被毛が絶えず伸びるタイプの犬種では、月1回程度のトリミングが理想的とされています。放置すると毛が絡まって毛玉になりやすく、皮膚トラブルの原因にもなります。ロングコートチワワやポメラニアンといった毛が絡まりやすい長毛犬種も、同様に月1回程度のトリミングを心がけることが大切です。
生活環境や飼い主のライフスタイルによっても調整が必要になりますので、まずはトリマーに相談しながら最適なペースを見つけていくのがおすすめです。

一方、フレンチブルドッグやパグ、スムースコートチワワなどは毛が短い犬種となるので、トリミングは基本に不要となりますが、定期的なグルーミングは欠かせません。シャンプーや耳や爪のお手入れを行い、清潔な状態を保ちましょう。

自宅でのケアとトリミングサロンを上手に使い分けるポイント

愛犬の健康と美しさを保つためには、トリミングサロンなどでのケアだけでなく、日常的な自宅での手入れも欠かせません。

自宅でできるケアの代表的なものとしては、ブラッシング、爪切り、シャンプー、耳掃除、目やに取りなどが挙げられます。特にブラッシングは毛玉予防や皮膚の健康維持、抜け毛の軽減にもつながるため、ルーティンとして取り入れたい習慣です。また、定期的なシャンプーも臭いや皮膚トラブルの防止に役立ちます。
ただし、爪切りなどは無理に行うと犬に痛みやストレスを与えるおそれもあるため、犬の反応をよく観察しながら慎重に行うことが必要です。

一方で、全身カットや毛玉取り、肛門腺しぼりといった処置、大型犬のシャンプーやドライヤーが必要な場合は、専門家に任せるのが安心です。
犬の毛質や体格、性格に合わせた施術ができるだけでなく、皮膚の異常など健康面の変化にもいち早く気づいてくれる存在でもあります。さらに、トリミング台や専用バスといった設備が整っているので、犬にかかる負担も最小限に抑えられます。

自宅ケアと専門家によるケアをバランスよく組み合わせることで、愛犬の暮らしやすさを守るとともに、トリミングサロンでの滞在時間も短くでき、犬のストレスを軽減する効果も期待できます。長く健康で過ごすために、無理のない範囲で負担にならないケア体制を整えましょう。

日々のケアで愛犬との絆を深めよう!

トリミングは、見た目を整えるだけでなく、犬の健康的な暮らしを支える大切なケアのひとつです。
グルーミングとの違いやそれぞれの役割を理解し、愛犬に合った方法で無理なく続けていくことが、長く元気に過ごしてもらうための第一歩になります。日々の小さなケアの積み重ねが、愛犬との絆をより深める時間にもつながっていくはずです。

この記事をシェアする

Recommend