動物専門学校とはどんなところ? 学べる内容や目指せる資格、就職先について

「動物が好き」、「ペットに関わる仕事がしたい」と思ったとき、多くの人が選択肢の一つとして考えるのが、動物関連の専門学校への進学ではないでしょうか。
犬や猫などのペット市場は年々拡大しており、動物業界では人材のニーズが高まっています。

今回は動物専門学校について、学べる知識や技術、卒業後の進路の選択肢、入学するために必要な準備などをご紹介します。

動物専門学校とは

動物専門学校とは、犬や猫をはじめとする動物たちと関わる職業に就くために、実践的な知識や技術を学べる教育機関です。
一般的な大学や短大とは異なり、より実務的で職業訓練に近いスタイルのカリキュラムが組まれており、卒業後はすぐに現場で活躍できるように設計されています。
最近では動物業界そのものが多様化してきていることもあり、トリマーや動物看護師といった職種に加え、ドッグトレーナーやペット栄養管理士、さらにはペットショップのマネジメント、ペット商品の企画、販売、動物イベントの運営といったビジネス系の内容まで学べる学校も増えています。

学校の目的は「動物のプロ」を育てること

動物専門学校は、獣医学部のように長期間の学術研究を経る大学とは違い、現場で即戦力となるスキルを重点的に学べる点が特徴で、例えばトリマー志望の学生であれば、1年次からハサミやバリカンの使い方を学び、実際にカット練習を重ねていきます。
動物看護師(2022年より国家資格「愛玩動物看護師」)を目指す学生は、体温の測定や投薬補助、カルテの書き方など、動物病院の中で必要とされる基本的な医療知識と実践技術を徹底的に習得し、専門学校を卒業した時点である程度の経験を積めているのが大きな強みとなります。

高校卒業後に進学する人が多い

動物専門学校には、高校卒業と同時に進学する人が主流ではありますが、近年は社会人経験を経てから「動物の仕事に就きたい」と再進学を選ぶ人も増えてきました。
動物に関する知識がゼロの状態でも丁寧に指導してもらえる環境が整っており、年齢に関係なく実技中心の授業スタイルの中で確実にスキルを身につけていけます。
また、通信制や夜間コースを設けている学校も一部あり、仕事をしながら学びたい人にとってもチャレンジしやすくなっています。

動物専門学校で学べること

実技中心のカリキュラムで「即戦力」を養成する

動物専門学校の授業は、現場に出たときにすぐ役立つ実践力をつけるために、毎日のように実習や技術トレーニングが行われるのが特徴です。
例えばトリマー志望のコースでは、犬種ごとのカット技術を学ぶために、シザーの持ち方から始まり、足回りの整え方、耳掃除、爪切りなどを一つひとつ丁寧に練習していきます。
ぬいぐるみやモデル犬を使った模擬練習から始め、段階的にトリミング実習へと進んでいくため、現場感覚を養いやすいカリキュラムになっています。
動物看護師コースでは、犬や猫の健康管理に必要な基本的な医療知識を学び、体温や心拍数の測定、保定の方法、注射の準備、検査補助、カルテの記入といった動物病院で求められる実務が主な内容です。
また、ドッグトレーナーやペットショップスタッフを目指すコースでは、犬の行動学や心理学をベースに、しつけ方法や顧客対応のスキル、販売管理の基礎まで幅広く学びます。

専門知識だけでなく「動物と人の関係」も学べる

動物の仕事は、動物だけを相手にするのではなく、飼い主さんやお客様とのコミュニケーションがとても重要になるため、多くの専門学校では「ホスピタリティ」や「カウンセリング基礎」「マナー研修」など、人との関わりを学ぶ授業も組み込まれています。
また、ペット業界の動向やマーケティング基礎、店舗運営や商品知識などを学べるコースを設けている学校もあり、「いつか独立してトリミングサロンを開きたい」「ペットショップを経営したい」と考えている人にとっても有意義な学びが用意されています。

卒業までに目指せる主な資格

動物専門学校では国家資格から民間資格まで、複数の資格取得を目指せます。
トリマー志望であれば、愛玩動物飼養管理士やJKC公認のトリマーライセンスなどがあり、動物看護師志望であれば、愛玩動物看護師や、関連する医療補助の資格、ドッグトレーナー系では、家庭犬訓練士の認定や、しつけインストラクターの資格なども狙えるのです。
ペット販売士やペット栄養管理士など、専門性が高い資格を複数取得できるカリキュラムが用意されている学校もあります。

動物専門学校卒業後の就職先は?

トリミングサロンや動物病院は定番の進路

定番の就職先として挙げられるのが、トリミングサロンと動物病院です。
トリマーコースの卒業生は、ペット美容室やサロンで勤務しながら、カットやシャンプー、爪切り、耳掃除などの施術を担当します。
技術はもちろん、信頼関係を築く接客力も求められ、リピーターを増やすには丁寧な仕上がりや、犬や猫に優しく接する姿勢が評価されるポイントです。

動物看護なら、動物病院での勤務が主な選択肢で、診察の補助、体温や体重の測定、カルテの記入、飼い主への説明、入院動物の管理など、医療と介護の現場を支えるポジションとして活躍します。
動物の異変に早く気付ける観察力や、獣医師の指示を的確に理解する力も重要で、知識だけでなく気配りや体力も求められる仕事です。

ペットショップ、ブリーダー、動物園など多彩な現場

ペットショップでは、販売だけでなく飼育、しつけの知識を活かして接客にあたる場面も多く、接客業と動物知識のハイブリッドな人材が求められています。
最近はペットの家族化が進んでいることもあり、生体管理や適切なアドバイスができる専門スタッフの存在が重要視されています。

また、ブリーダーや動物飼育施設に勤務する卒業生も少なくありません。
犬や猫の繁殖管理、妊娠出産のケア、離乳後の育成など、生体に関する深い知識と実務経験が必要とされ、法規や倫理にもしっかり理解が求められ、専門学校での学びがそのまま活かせる分野です。
さらに、動物園やふれあい施設、観光牧場などの就職先もあり、これらの施設では犬や猫以外の動物(小動物、鳥類、家畜など)を扱う場面も多く、動物の扱い方を広く柔軟に理解している人材が重宝されます。

独立、開業という選択肢もある

現場経験を積んだあとに独立して開業を目指す人も多く、特にトリマー業界では、自宅の一室で開業したり、サロンを立ち上げたりと、自身のスタイルで働く人が増えています。
動物看護師についても、獣医師と協力して開院準備を行うケースもみられますが、独立には技術だけでなく経営的な知識や集客スキルも必要です。

動物専門学校に入学するには?

入試の傾向について

動物専門学校の入試は、多くの場合「AO入試」「推薦入試」「一般入試」の3種類が基本です。
大学受験のような筆記試験は行われないケースが多く、面接や作文、小論文などを通じて「どれだけ動物の仕事に本気なのか」を見られる傾向があります。
特にAO入試は、志望動機や将来のビジョンを重視される入試スタイルで、早期に進路を決めたい人には人気があります。
指定校推薦や学校推薦を利用する場合も、面接時の意欲や態度が評価されることがほとんどです。
一般入試では、作文や基礎的な国語や英語などが出題される場合もあります。

入学に必要な費用と考え方

動物専門学校は学費に加えて、教材費や実習道具など、入学後にかかる諸経費も想定しておく必要があります。
決して安い金額ではありませんが、「手に職をつけて動物業界で働く」という将来の投資だと考えると、その価値は決して小さくありません。
奨学金や学費サポート制度を用意している学校も多いため、経済的な不安がある場合は、早めに相談してみるのが良いでしょう。

入学前にはオープンキャンパスを活用しよう!

動物専門学校への入学は、動物に関わる職業を本気で目指す人にとって最も実践的で現実的なスタートラインです。
多くの学校は体験入学やオープンキャンパスを定期的に開催しており、在校生や先生と話せたり、施設見学や実習体験ができたりする機会はとても貴重です。
ネットやパンフレットだけでは伝わらないリアルな空気感を感じ、自身に合う学校かどうかを確認してみて下さい。

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